和書>小説・ノンフィクション>ハーレクイン>ハーレクイン・ディザイア
白昼夢の恋人
著: キャサリン・ガーベラ 翻訳: 雨宮幸子発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ディザイア
価格:630円(税込)
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著者プロフィール
キャサリン・ガーベラ(Katherine Garbera)
フロリダで育ったのち、イリノイに引っ越した。テーマパークで知り合った夫との間に二人の子供がいる。高校時代水泳チームの練習中に物語を作り始めた。ジョージア州ロマンス作家協会マギー賞を受賞後、作家デビュー。ウォールデンブックスのベストセラーリストにも登場している。
フロリダで育ったのち、イリノイに引っ越した。テーマパークで知り合った夫との間に二人の子供がいる。高校時代水泳チームの練習中に物語を作り始めた。ジョージア州ロマンス作家協会マギー賞を受賞後、作家デビュー。ウォールデンブックスのベストセラーリストにも登場している。
解説
有名私立校で校長を務めるグレースは、三年ほど前から学校の理事長アダム・ボーエンが気になっていた。アダムはレコード会社を経営するリッチな実業家でもあり、長身のハンサムで、どんな女性の心も奪ってしまう。もちろん地味で堅苦しいグレースなど眼中にないらしく、彼女は女性として見られていないことを自覚していた。そこでグレースは、叶わぬ夢を形にすることで満足しようと、彼と自分を主人公にしたロマンス小説を書き始めた。その小説が偶然にもアダムの目に触れ、思いがけぬ事態を巻き起こそうとは予想だにしていなかった。
抄録
アダムはグレースにあの小説のことを告白させたかったのだ。彼女についてもっと知りたかっただけだ。自分について知ってもらいたかったわけではない。
「わたしたちはつきあい始めたの?」
「理事会のメンバーの誰にも、うちで夕食をとろうとは誘っていないよ」
「そうね」グレースはワイングラスをカウンターに置くと、アイランド式のカウンターを回って、ガスレンジの前に立つ彼の隣に並んだ。「どうして? どうして突然わたしを仕事相手ではなく、ひとりの女性として見るようになったの?」
コーナーに追いつめられたことに、アダムは気づいた。「今日、初めてきみの違う面を見た。いままでは……いまはきみに興味があるからだ」嘘ではなかった。
「いまのわたしは、学校を救うためになにかしようとなりふりかまわずあがいているわ。そんなわたしに興味を持ったというなら、不思議じゃないわね」
アダムは笑った。グレースが雰囲気を軽くしようとしていることがわかったからだ。だが、小説のことを告白させるまで、彼女を誘惑するべきではないのもわかっていた。ずっと彼に惹かれていたことを認めさせるまでは。
「きみはなりふりかまわずあがいているようには見えないが」
「いいえ、あがいているわ。あなたはいい人だから、なんとか味方にしたくて」
今夜、グレースを家に招いた理由を、アダムは思いだした。ぼくは決していい人間ではない。「そんなふうに言う人間はいないだろうな」
「あら、わたしがいるわ。あなた自身がそう思っていないことはわかっているけれど、学校の未来をわたしにたくしてくれたでしょう。なかなかできないことよ。心から感謝しているわ」
「きみに感謝なんてしてもらいたくない」
「そうなの?」
アダムはうなずくと、彼女を抱き寄せてキスした。本当のことを言えないから体で伝えているのだと、彼は自分に言い訳した。だが、なにかが起こりつつあるのは感じていた。誰かをずっと抱きしめていたいと思うのは、二十五歳のとき以来ではないだろうか。
孤独な人生を望む男性にとっては、危険な感情だった。
グレースは目を閉じると、背伸びをして彼の唇を受けとめた。アダムが見せてくれる夢がさめることを恐れながら、彼の腰に両腕をそっと回した。どうしたことか、アダム・ボーエンがわたしに関心を持ってくれた。
ここしばらく悩まされていた心配事が、彼女の頭の隅に押しやられた。アダムの唇が離れ、なにか言われているのはわかったが、耳鳴りのせいでまったく聞きとれない。グレースは目を開いた。
「グレース」
「なに?」
「これ以上……」
先に進むのは危険だと、アダムが言おうとしているのはわかっていたが、グレースは引き返せなかった。彼はずっと夢見てきた男性だ。ストレスの多い日々を送ってきた彼女には、希望、いや欲望を優先する必要があった。初めて出会ったときから、ずっとアダムとキスしたかった。
ふたたび軽く唇が触れあった。わたしはいまアダムにキスされているのだと、グレースは思った。想像していたよりずっとすばらしい。軽いキスを何度も繰り返され、唇のあいだを舌でなぞられた。彼女はふたたび目を閉じた。これまで築きあげてきた、安全で居心地のいい世界を壊してしまうかもしれないのはわかっていた。
そのとき、オーブンのタイマーが鳴りだした。アダムがいかにもしぶしぶといった様子で、体を離した。彼に指示されて、グレースはダイニングルームに向かった。ちゃんと理性を保たなければと、自分に言い聞かせる。
彼にもてあそばれてしまったら?
*この続きは製品版でお楽しみください。
「わたしたちはつきあい始めたの?」
「理事会のメンバーの誰にも、うちで夕食をとろうとは誘っていないよ」
「そうね」グレースはワイングラスをカウンターに置くと、アイランド式のカウンターを回って、ガスレンジの前に立つ彼の隣に並んだ。「どうして? どうして突然わたしを仕事相手ではなく、ひとりの女性として見るようになったの?」
コーナーに追いつめられたことに、アダムは気づいた。「今日、初めてきみの違う面を見た。いままでは……いまはきみに興味があるからだ」嘘ではなかった。
「いまのわたしは、学校を救うためになにかしようとなりふりかまわずあがいているわ。そんなわたしに興味を持ったというなら、不思議じゃないわね」
アダムは笑った。グレースが雰囲気を軽くしようとしていることがわかったからだ。だが、小説のことを告白させるまで、彼女を誘惑するべきではないのもわかっていた。ずっと彼に惹かれていたことを認めさせるまでは。
「きみはなりふりかまわずあがいているようには見えないが」
「いいえ、あがいているわ。あなたはいい人だから、なんとか味方にしたくて」
今夜、グレースを家に招いた理由を、アダムは思いだした。ぼくは決していい人間ではない。「そんなふうに言う人間はいないだろうな」
「あら、わたしがいるわ。あなた自身がそう思っていないことはわかっているけれど、学校の未来をわたしにたくしてくれたでしょう。なかなかできないことよ。心から感謝しているわ」
「きみに感謝なんてしてもらいたくない」
「そうなの?」
アダムはうなずくと、彼女を抱き寄せてキスした。本当のことを言えないから体で伝えているのだと、彼は自分に言い訳した。だが、なにかが起こりつつあるのは感じていた。誰かをずっと抱きしめていたいと思うのは、二十五歳のとき以来ではないだろうか。
孤独な人生を望む男性にとっては、危険な感情だった。
グレースは目を閉じると、背伸びをして彼の唇を受けとめた。アダムが見せてくれる夢がさめることを恐れながら、彼の腰に両腕をそっと回した。どうしたことか、アダム・ボーエンがわたしに関心を持ってくれた。
ここしばらく悩まされていた心配事が、彼女の頭の隅に押しやられた。アダムの唇が離れ、なにか言われているのはわかったが、耳鳴りのせいでまったく聞きとれない。グレースは目を開いた。
「グレース」
「なに?」
「これ以上……」
先に進むのは危険だと、アダムが言おうとしているのはわかっていたが、グレースは引き返せなかった。彼はずっと夢見てきた男性だ。ストレスの多い日々を送ってきた彼女には、希望、いや欲望を優先する必要があった。初めて出会ったときから、ずっとアダムとキスしたかった。
ふたたび軽く唇が触れあった。わたしはいまアダムにキスされているのだと、グレースは思った。想像していたよりずっとすばらしい。軽いキスを何度も繰り返され、唇のあいだを舌でなぞられた。彼女はふたたび目を閉じた。これまで築きあげてきた、安全で居心地のいい世界を壊してしまうかもしれないのはわかっていた。
そのとき、オーブンのタイマーが鳴りだした。アダムがいかにもしぶしぶといった様子で、体を離した。彼に指示されて、グレースはダイニングルームに向かった。ちゃんと理性を保たなければと、自分に言い聞かせる。
彼にもてあそばれてしまったら?
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