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和書>小説・ノンフィクションハーレクインハーレクイン・ヒストリカル

謎だらけの美女

謎だらけの美女


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ヒストリカル
価格:700pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 エリザベス・ロールズ(Elizabeth Rolls)
 イギリスのケント生まれ。父の都合で幼少期を過ごしたオーストラリアのメルボルン、パプア・ニューギニアの生活が執筆に興味を抱くきっかけとなった。ニューサウスウェールズ大学では音楽学を専攻し、音楽教師も経験。現在はメルボルンで夫と犬、猫と暮らしている。

解説

 親友が結婚し、ジャックはこのところ寂しさに襲われていた。大地主として、僕も愛する妻を得て、温かい家庭を築きたい。ある日、ジャックは自宅の広大な庭で出会い頭に若い娘にぶつかり、悪態をついたとたん、逆に容赦ない言葉を浴びせられてひるんだ。僕に対してこんな口をきくなんて、この娘はいったい何者だろう?
 さっき鉢合わせした相手がはとこのジャックだったのかしら。母が亡くなり、二人で暮らしてきた父が牧師の職を追い立てられ、クレシダは会ったこともないジャックを頼ってここに来た。だが実は、父が失業したのには恥ずべき理由があった。あの傲慢そうなはとこにだけは、知られたくないけれど……。

抄録

「言いたいことはないのかい、クレシダ?」ジャックはからかわずにはいられなかった。
「あなたの許可がいるのかしら?」猫撫《な》で声だった。
「しらばくれるな」ジャックはうなった。
 クレシダがにっこりした。とたんにジャックの神経という神経が緊張し、警告を発した。「肩がちょっときついかもしれないと思ったのよ。あなたのメイドが直してくれるでしょうけれど、袖《そで》も伸ばさなくては。首のボタンはかからないんじゃないかしら」
 まくし立てるクレシダの緑色の目が冷たく光った。
「もちろん……」歯の浮くような甘い声で彼女は続けた。「‘あなたの’鈍い頭の上からはとてもかぶれないでしょうね」
 ジャックの心に不安がきざした。まさかそんな!
 ぱっとシャツを広げた彼は悪態を噛み殺した。僕には小さすぎる。肩すら入るとは思えない。
「私が‘父のもの’を繕っている間、お手数だけどあなたのシャツを一枚貸してくださらないかしら。これととてもよく似たものをお持ちのようだから」
 顔がかっと熱くなり、ジャックは真っ赤になった。三十六年間で今ほど自分を愚かだと思ったことはなかった。恥ずかしさに顔を真っ赤にしたのはいつが最後だっただろうか?
「すまなかった……」硬い口調で言う。「これは僕のシャツだと思ったから……それで君が……」ジャックは言いよどんだ。
「台なしにしようとしていると?」クレシダがあとを引き取った。「引き裂いてしまうかもと? 袖口を縫いつけてしまうかもしれないって?」
 ジャックは苦笑した。妹のナンに何度かそうされたことがある。腹を立てたナンが、僕の部屋に忍び込み、全部のシャツの袖口を縫いつけてしまったのだ。そういえば、妹も辛辣な口をきく。
「そうしたいのかい?」ジャックは尋ねた。
 今度はクレシダが赤くなった。「それより、あなたの口を縫いつけたいわね」鋭いまなざしで彼を見る。「べつに謝ってくださらなくて結構よ。あなたには始終罵《ののし》られているし、偽善はもううんざりなの。少なくともあなたの言葉はそれよりましだわ。さあ、父のシャツを返してくれないかしら? 仕上げてしまいたいの」
 ジャックはシャツを渡し、クレシダが座る椅子のそばに膝を突いた。たしかに僕は彼女を罵った。そして、その理由を説明できない。
“すまない。でも、それは君をベッドに連れ込めないからなんだ”これでは謝罪にならない。
「何をしているの?」
「裁縫道具を拾っているんだ」針で指を刺してしまったジャックは悪態の言葉を押し殺した。「くそっ! このヘアピンは何本あるんだ? そこら中に散らばっている」
「知らないわ」クレシダは答えた。「拾いながら数えて教えてくださいな。ヘアピンはその箱に」小さな木製の箱を指し示し、それに手を伸ばす。ちょうどそのとき、ジャックも箱に手を伸ばした。
 頭こそぶつからなかったが、二人の視線がぶつかった。
 ジャックは怒り狂う緑色の目を見つめている自分に気づき、凍りついた。なんと長いまつげだろう。その目が僕を見つめ返している。甘い息が唇に感じられるほど間近に顔がある。うろたえて、ジャックは視線を下げるという間違いを犯した。ふっくらしたピンク色の唇がうっすらと開いている……本当にラズベリーの味がするのだろうか。彼は顔を近づけた。手を下顎に添えて羽根のようにやさしく指先でなぞり、さらに喉もとへとさまよわせる。柔らかくて、すべすべしていた。女性の肌がこんなに繊細だとは知らなかった。その唇を味わいたいという欲望が血管をめぐり、彼をそそのかした。ジャックは身を乗り出した。一度だけ……。

*この続きは製品版でお楽しみください。

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