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望まぬ花嫁【ハーレクイン・ヒストリカル・スペシャル版】

望まぬ花嫁【ハーレクイン・ヒストリカル・スペシャル版】


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ヒストリカル・スペシャル
価格:700pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 キャサリン・アーチャー(Catherine Archer)
 キャサリンは長い間、自分のために物語を書いて楽しんでいた。あるとき、幸運にもそれらの作品が出版されることになり、これからは自分のためだけでなく、読者を楽しませるために書こうと決意したという。夫のステファン、三人の子供とともにオレゴン州トラウトデールに住む。

解説

乙女の心を奪っておきながら、愛にこたえない狼男爵。

兄の友人、ウォーリック男爵レイナーとの出会いは鮮烈だった――彼が宮廷の一室に立つと、室内が静まり返った。人波が割れ、狼のように野性的でいて優雅な彼が目の前に現れた瞬間、エリザベスは生まれて初めて男性に心を奪われたのだった。翌日、兄に会いに来たレイナーと再会したエリザベスは、遠くに住む彼にもう二度と会えないと思うと胸が苦しくなり、彼をもっと知りたいと切望するあまり、口づけを交わしてしまった。すると、それを兄に見咎められ、二人は結婚を余儀なくされる。しぶしぶ求婚するレイナーの冷たい表情に、エリザベスは青ざめた。花嫁になるのなら、望まれて迎えられたかったのに……。

■宮廷で初めて会ったとき、恋に舞いあがるエリザベスとは違って、レイナーはちらりと一瞥するだけで彼女に興味を持ちませんでした。そんな女性も愛も信じない彼との結婚生活は、夢に思い描いていたのとは異なる、夫婦なのによそよそしくされるつらい日々で……。
*本書は、ハーレクイン文庫から既に配信されている作品のハーレクイン・ヒストリカル・スペシャル版となります。ご購入の際は十分ご注意ください。

抄録

 エリザベスを見ると、頭を前に垂れ、目を閉じている。もっとよく見ると、なんと眠っているではないか。これまで、美しい女性と一緒にいる時に様々なことがあったが、眠ってしまった女性は初めてだ。愛し合ったあとはまた別の話だが……。
 レイナーは部屋を見回した。とりあえず、暖炉の前の絨毯の上に彼女を移し、それから立ち去ろう。彼はエリザベスの椅子をテーブルから離し、その体を腕に抱き上げると、絨毯の上のクッションを足で直し、その上へエリザベスを下ろした。腕の中でエリザベスが身じろぎした。重たげなまつげが開き、女性らしい媚びるような目がレイナーを見上げた。「ウォーリック卿、あなたが若い貴族の女性に対するためらいを克服なさったと考えてよろしいのかしら?」エリザベスは手で口許をおおってくすりと笑った。
 だが、レイナーはその息の中に強いワインの匂いをかぎ取った。私としたことが、なんと愚かだったのだ。彼女が目の前で酔いつぶれたことに気づきもしなかったとは……。
 エリザベスが暖炉に顔を向けて話し始めた。レイナーはとまどったが、数分前の話の続きだとすぐにわかった。
「私は兄たちと弟が大好き。まだ、十六歳のピーターも含めて、三人ともやさしくて、たくましく、公明正大な心の持ち主だわ。私が心を捧げるのは兄たちや弟のような男性よ」エリザベスは自嘲ぎみに笑って片手を上げたが、すぐに力なく膝に置いた。「でもどうしてだか、‘きんぽうげ’に引き寄せられる蜜蜂のように、あなたに惹かれてしまう。あなたにお願いがあるの。私の願いを聞き入れてくださったとしても、あなたが私に関心を抱いている印だとは取らないから。私……いままで男性にキスされたことはないし、昨日あなたに会うまでは、そうしたいとも思わなかった」エリザベスは訴えるようにレイナーを見上げた。「一度だけでいいの、あなたが行ってしまう前に、キスしてくださらないかしら? お互い、もう二度と顔を合わせる機会はないでしょうし、それに、ちょっとしたキスくらい、どうということもないと思うのだけれど」
 レイナーはひざまずいたまま、しばらくエリザベスの目を見つめていた。彼女の願いは正気のさたではない。それに、エリザベスはいままでに会った女性の中で最高に美しく、望ましい女性だと心の中でひそかに認めている。キスしたりしたら、自ら引いた境界線を越えてしまいそうだ。エリザベスに出会って目覚めた感情をさらにあおってしまいかねない。
 だが、無邪気なそのブルーの瞳を見つめるうち、レイナーは悟った。この願いを拒絶したら彼女は傷つくだろう。そんなことはしたくない。ワインの飲み過ぎで抑制がはずれ、エリザベスはいま、とても無防備で傷つきやすい状態にある。たわいのないキスくらい、してもかまわないではないか。明日の朝になれば、彼女はキスしたことすら忘れているかもしれない。
 レイナーはわれながら驚くほどやさしく、そっと唇を重ねた。エリザベスの唇は柔らかくて温かく、その肌は薔薇の花びらの匂いがした。下腹部に熱い欲望の塊がふくれ上がり、いまにも爆発しそうになったが、レイナーは懸命にこらえた。急に動くと自制心を失いそうで、彼はゆっくりとエリザベスから体を離した。
 エリザベスは目を開いてレイナーを見上げると、満足げにため息をついた。「一生忘れないわ」
 レイナーはエリザベスの額にかかる絹のような巻き毛を払い、ささやきより低い声で言った。「私もだ、エリザベス・クレイバーン」それは本心だった。二人の間に何が起きたのかはわからない。だが、エリザベスのおかげで、とうの昔に失ったと思っていたやさしい感情がよみがえっている。
 だからこそ、ここを去り、振り向いてはいけないのだ。自分の人生にこうした弱さを受け入れる余地はない。強固な姿勢を崩さず、自らの運命の舵をしっかり握っていなくてはならないのだ。ウィロウが、そして多くの者たちが私を頼りにしているのだから。
 レイナーはエリザベスを横たえようとした。
 エリザベスはとろんとした目で彼を見上げた。
「このまま、しばらく抱いていて。あなたの腕の中にいると気持ちがいいの」
「だが、私は行かなくては」
 瞬間、エリザベスのまなざしがしらふに戻った。深い思いやりにあふれるその表情にレイナーは驚かされた。「いいえ、レイナー。もう少し、私と一緒にいてちょうだい。ひどい目に遭わせたりしないわ。ちょっとの間でいいから、ここでゆっくりして。きっとあなたのためになるわ」
 エリザベスは柔らかな手でレイナーの頬に触れた。レイナーはわれを忘れた。手を差し出すだけで、エリザベスはひとかけらのやすらぎを与えてくれるかのようだ。生まれてこのかた、このようなやさしさに触れたことはなかった。悩み事が彼女の柔らかな肉体の中に吸いこまれていくようだ。
 エリザベスはとろりとした目でレイナーを見上げた。「お願い、もう一度キスして」
 レイナーの腕に力が加わった。レイナーの黒い頭が下がり、片手がエリザベスの腰の優雅な曲線を包みこむ。いまこの時、レイナーはエリザベスを拒むことも、自分を抑えることもできなかった。


*この続きは製品版でお楽しみください。

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