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王子様の求愛包囲網〜目撃者は、その唇を奪われる〜

王子様の求愛包囲網〜目撃者は、その唇を奪われる〜


発行: ヴァニラ文庫
シリーズ: ヴァニラ文庫
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
みんなの評価 ★★★★☆1
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解説

俺のこと、好きなんだろう?
箍の外れた王子は初恋令嬢を逃がさない

「お前の唇を塞いでしまおうか」婚約者の浮気がきっかけで、破談になったエヴェリーナは、第二王子ヴィルヘルムの逢い引きを目撃し、王宮に監禁されてしまう。ヴィルヘルムはエヴェリーナを監視しているはずなのに、恋人のように扱いひたすら口づけで甘やかしてくる。困惑しながらもヴィルヘルムに惹かれていくが、彼には想う相手がいるはずで!?

※こちらの作品にはイラストが収録されています。
 尚、イラストは紙書籍と電子版で異なる場合がございます。ご了承ください。

抄録

 客人が来ている、とのメイドの言葉に、エヴェリーナは首を傾げながら客間に足を踏み入れた。
 ──今日は、お客様の予定はなかったはずだけれど。
 だが、そこで待っていた人の姿を認めたとたん、扉を閉めて逃走を図りたい心境に陥る。
 いや、相手が相手でなければ絶対に逃走していた。
 ──この方が、私に会いに来る理由なんて、一つしかないもの。
 客間のソファに悠然と腰かけていたのは、リスヴァン王国の第二王子であるヴィルヘルム・ソルダーン殿下だったのだ。
 どうにかして、ここから逃げ出せないかと期待し、エヴェリーナは無意識のうちに後ろ手に伸ばした手でドアノブを探った。
 ドアノブを見つけ出す前に、ゆったりとした動作で立ち上がったヴィルヘルムは、こちらへと歩み寄ってくる。
 いらっしゃいませ、とか、お目にかかれて光栄です、とか。
 そんな社交上の儀礼的な言葉を発する隙もなかった。彼は鋭い目でこちらを見るなり、低い声で言い放った。
「……俺が、ここに来た理由はわかっているな。エヴェリーナ嬢?」
「な、なんのこと……でしょう?」
 彼がここに来た理由なんてわかりきっているのにそう返す。
 昨夜目撃してしまった『あの』場面。
 そのことは思い出したくない。できることなら、このままとぼけてしまえばいい。
 どうにかしてここをやり過ごしさえすれば、彼もきっとエヴェリーナのことを忘れてくれる。
「本当に、なんのことかわからないか?」
 重ねて彼が問い、エヴェリーナが一歩後退すれば、背中が扉に触れる。
 エヴェリーナの両手の脇に手を置き、長身をかがめた彼が顔を寄せてきた。
 ──閉じ込められた。
「な、なな、なんのことか……いえ、わ、私っ!」
 人の目にさらされるのが嫌になり、パーティーの開かれていた広間から庭へと逃れ出た昨夜のこと。
 風にあたりながらふらふらと歩いていたら、悲鳴が聞こえ、思わず足を止めた。
 悲鳴がどこから聞こえてきたのだろうと、立ち止まってきょろきょろしていたら、走ってきた人とぶつかり、共に倒れ込んでしまった。
 転んだエヴェリーナには見向きもせず、走り去ってしまったその人は──たぶん、エヴェリーナと同じものを見たのだろう。
 そこで引き返せばよかったのに、立ち上がってさらに先へと進んだのは失敗だった。何も考えていなかったあの時の自分を、叱りつけてやりたい気分だ。
 ──あんなところを目撃したら、誰だって逃げたくなるに決まっているわ。
 エヴェリーナがその先で見たのは──第二王子ヴィルヘルムと、彼の腕に抱きしめられた一人の女性。
 いや、王子殿下だって、一人の男性だ。恋人の一人や二人いてもおかしくはないが、いくらなんでも相手がまずかった。
 だって、彼の胸に身体を預けていたのは──王太子殿下の婚約者である、隣国の王女シルフィアだったのだ。
 頭からあの時の光景を追い払おうと、エヴェリーナは無駄に頭を振る。脳裏に焼き付いた光景を消し去ることなんてできないとわかっているのに、そうせずにはいられなかった。
「み……見てませんっ! わ、私は何も見ていませんっ!」
 あんな現場を目撃してしまっただなんて、誰にも言うつもりはない。
 自分の婚約者が弟と逢い引きしていただなんて、王太子殿下の耳に入ったら大変なことになる。
 あえて何を見たのか口にしないことで、誰にも言わないから安心してほしいと意味したつもりだったのに、彼にはそう受け取ってもらえなかったようだ。
 さらに顔を寄せてきたヴィルヘルムは、エヴェリーナの目をのぞき込んでくる。
「お前の言葉は信用できないな」
「や、約束……します……信じてください」
 そう告げる声が震えている。足もがくがくしていて、扉にもたれかかって体重を支えるのが精いっぱいだ。
「本当に? 誰にも言わない?」
「い、言いません、言いません。誰にも言いませんから……!」
 王太子殿下には申し訳ないけれど、ここで誰かの注目を浴びるような真似はしたくない。
 自分が婚約者に捨てられたという事実を、ようやく受け入れつつあるところなのだ。他人のもめごとにまで巻き込まれたくない。
「……お約束します、私は、何も言いませんから……」
「──エヴェリーナ」
 それなのに。
 エヴェリーナを搦め捕ろうとしているかのように、ヴィルヘルムの声は耳元でやけに甘く響いてくる。
「それ以上、何も言えないようにお前の唇を塞いでしまおうか」
「なっ……」
 何事かと彼の顔を見上げた一秒後。
 エヴェリーナは激しく後悔する羽目に陥った。


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