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シンデレラは二度傷つく

シンデレラは二度傷つく


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ロマンス
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 レイチェル・トーマス(Rachael Thomas)
 10代の頃、彼女の人生の大半を占めていたのはハーレクインの小説だった。その後、自身でも小説を書いてみるが挫折。2008年から本格的に執筆を始め、2013年にはハーレクイン主催の新人作家コンテストのファイナリストに選ばれた。現在はウェールズ在住。執筆と農作業の合間には、写真を撮ったり、城や歴史的な建造物を訪ね歩いたりして過ごすという。

解説

どんなに傷つけられても、あなたをずっと待っていた。

自動車修理工場で働くセイディは新入りの整備士を見て驚いた。4年前、目眩く週末を過ごしたあと、別人のように冷酷に親の決めた許婚の元へ去ったアントニオと瓜二つだったのだ。いいえ、人違いよ。イタリア屈指の名家の御曹司が、こんな小さな工場で機械油まみれになって働くはずがない。だが、魅力的な笑顔の彼に日々口説かれているうち、セイディは心を奪われかけている自分に気づいて動揺する。しっかりしなくては。私には誰より大切な人がいるのだ──アントニオとの愛の結晶である幼い息子が。

■気鋭の新人作家が描く、ドラマティックなシンデレラ・ロマンスをお楽しみください。ヒロインの前に現れた謎の男の正体、そして彼の目的とは?読み進めるほどにぐいぐい引きこまれる秀作です!

抄録

 アントニオの子供時代は無味乾燥で愛がなかった。だから、義務のために友情に基づいた結婚をするのが間違っているとは思えなかった。マスコミの表舞台でよく見る愛のない結婚と、その後に訪れる破綻という悲惨な結末を避けるには完璧な方法だったのだ。だから、最後には結婚に同意した。
 結婚に同意したということは、たった一度の週末を過ごしただけでセイディを手放さねばならないことを意味していた。つまり彼女は、当時のアントニオが願ったとおりの行動に出たというわけだ。引っ越しをし、新しい相手を見つけた。だとしたら、なぜそれが残酷なまでに心に突き刺さるのだろう。
 アントニオはセイディの左手を見た。指輪はしていない。「息子の名前は?」
「レオよ」彼女はつっけんどんに答えたが、まだ歩きだそうとはしなかった。正体を見破られたかと、アントニオはまた思った。「あなたには関係のないことだけど」
「息子の父親はさぞ誇らしいだろう」セイディの人生に居座った男のことをもっと知りたかった。彼女が身を固めた、アントニオと分かち合った週末の情熱を超える相手のことを。
「私はシングルマザーよ」
 その言葉は猛スピードの車がぶつかったような衝撃だった。
 セイディと目が合うと、アントニオはつかの間、挑戦のことを、別人でいなければならないことを忘れた。頭にあるのは、その男がどんなふうにして彼女をそんな立場に追いやったかということだけだった。それくらいの子供がいる女性とかかわりを持ったことはないが、セイディを守りたい、彼女と子供の面倒を見たいと思う気持ちのあまりの強さに、アントニオは一瞬、何も考えられなくなった。
「仕事はこれで終わりなんだ」アントニオは油で汚れた手を布でぬぐいながら言ったが、訛の強い言葉を使うことも、その朝、別人になりすますためにつくり上げた粗野な男になりきることも忘れていた。「その辺まで送ろうか?」
 セイディに見つめられ、アントニオは自分のうわべから、そっけなさと虚勢がほとんどすり落ちていることに気づいた。いつもの調子で話していたせいで、彼女の顔に疑念がよぎるのが見えた気がする。
「結構よ」セイディはそう言ったが、まだ向きを変えない。僕をじらしているのか?
「まだこの街に来たばかりなんだ」取り入るように言って、アントニオは自分の見せかけの姿を取り戻した。「隣にきれいな女性がいてくれたら、一日の終わりとしては最高じゃないか?」
「そんなに遠くまで行くわけじゃないから」今度こそセイディは背を向けた。だが、このままあっさり彼女を行かせるつもりはなかったので、アントニオは退社しようと主任のほうを見た。彼にとってはまったく不慣れな行動だった。
「それなら行けるところまで一緒に行こう」セイディはその申し出を受けることなく、自動車修理工場から表の雑踏に出た。アントニオは布を放り出し、慌てて彼女のあとを追った。ようやく追いつき、彼女と並んで歩調を合わせていると、二人で手をつないでミラノの中心街を歩きまわった夜が思い出された。そのあと彼のホテルに戻り、人生で最も忘れがたい夜を過ごした。
「あなたを見てると、ある人を思い出すの」
 アントニオは内心、凍りついた。彼は、いつ正体を見破られてもおかしくない状況で、セイディに接近するという危険なゲームをしている。見破られれば一巻の終わりだ。彼だけでなく、これから挑戦を始めるスタヴロスとアレハンドロにも影響が及ぶ。目の前のセイディが放つ誘惑は、アントニオが結婚する数週間前よりはるかに欲望をかき立てられる。だが、ここは我慢をしなければ。
 セイディ・パーカーとはまだ終わっていない。アントニオが取り戻したくてたまらない未決案件となっていた。
「誰かいい男はいないのか?」アントニオが笑い声をあげると、セイディはさっさと歩いた。彼のことはほとんど目に入っていない。どうやらチャンスをふいにしてしまったようだ。そう気づいたちょうどそのとき、彼女が細長いタウンハウスの前で立ち止まった。建物が初夏の午後の日差しを遮っている。
「ここまでよ。また職場で会いましょう」これ以上つきまとわないで、と言われたも同然だった。
 アントニオはセイディの唇を見下ろした。いまならこの唇を味わうことができる。二人の初めてのキスの強烈な思い出がよみがえった。もう一度、彼女にキスしたい。きみは僕のものだと主張するために。だが、彼はアントニオ・ディ・マルチェロではなかった。かつて彼女と激しく愛し合った男ではない。トニ・アデッシだ。彼女が出会ったばかりのぶっきらぼうな整備士。
 セイディがいまの僕みたいな男に本当に興味を持つだろうか。
 彼にしても、子供がいる女性と本気で恋がしたいのか? それはアントニオのメインルールのひとつだった。相手にするのは何ひとつしがらみのない独身女性のみ。おかげで、これまで女性問題でこじれたことはない。
「楽しみにしている」かの有名なアントニオ・ディ・マルチェロの魅力を拝借してほほ笑むと、セイディが疑わしげに眉をひそめたのがわかった。ありがたいことに、いまは顎ひげを伸ばし、サングラスをかけている。
「私の人生には男性なんて必要ないのよ、ミスター・アデッシ」彼女のひたむきな率直さに、アントニオは驚かされた。


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