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著者プロフィール
榎田 尤利(えだ ゆうり)
7月16日生まれ。蟹座のO型。出身地は東京都。
7月16日生まれ。蟹座のO型。出身地は東京都。
解説
次席検事を父に持つエリート検事・蔵持楓は類い稀な美貌と優れた頭脳の持ち主であることから『思想部の宝石』と呼ばれている。すべてに恵まれた順風満帆の人生。しかし、内実は大きく異なっていた。誰にも言えない持病。父の手駒としての男に抱かれること。そして、見知らぬ誰かからの脅迫……。生来のプライドの高さゆえに、弱音を洩らすことなく生きてきた楓だが、ある日、取り調べの対象である大学教授・陣内幸也からデートに誘われる。奔放な魅力を持つ陣内。彼は敵なのか、それとも……!?
抄録
「検察官が持つべきもの? 資質という意味ですか?」
「資質でもあるな。簡単な答だぞ」
ならば、ひとつ思いつく。あまりに簡単すぎてクイズにもならない答ではあるが。
「正義感」
「正解だ。……あんたにはあるか? 俺はあんたの正義感に、期待していいか?」
現役検事に対して、あまりにも失礼な質問である。楓は眉を寄せて陣内を見上げ、逆に問い質した。
「なぜそんなことを聞くんです? 私の正義感とあなたに、なんの関係があるんですか?」
「関係あるさ。なにしろいつ被疑者にされるかわからない」
はぐらかすような答とほぼ同時に、陣内の携帯が鳴った。交わされる会話を聞くに、もうすぐ助けが到着するらしい。
「二、三分で来る。結構早かったな」
陣内はパタン、と携帯を折りたたんだ。
やれやれと楓も立ち上がろうとしたのだが、肩を陣内に軽く押されて阻まれてしまう。たいして力は入っていなかったが、肩に触れられていること自体に楓は緊張した。他人との接触は苦手な質なのだ。
「甘い匂いがしてた」
見下ろされ、そんなふうに言われる。
意図がわからないまま、楓はとりあえず「キャラメルを食べていましたから」と答える。
「そう。キャラメルの匂いだった。俺は甘いものはそう食べないが、ときどき無性に恋しくなる味だな、あれは」
つまり、キャラメルを食べたいのだろうかこの男は。
楓はポケットを探り、まだ残っていた小さなキューブを取り出す。手のひらにそれを載せ、陣内に差し出すと「いや」と笑いながら首を横に振る。
そしてそのまま楓の右手を握り込んだ。
「こっちのほうが、いい」
言うなり、深く屈み込んでくる。
え、と思った時には唇を塞がれていた。あまりの急な展開に、楓は逃げる間もない。
湿った柔らかさと、弾力、そして温度。
迷いもなく舌が入ってきた時には、咄嗟にはね除けようとした。だが陣内の身体はびくともしない。
「んっ……」
熱く濡れた舌が、楓の舌に絡みついてくる。
混乱する頭の中、小さな怒りが生まれる。ふざけるな―――力任せに突き飛ばしてやりたかったが、体格の差が歴然としている上、体勢も不利だった。
楓は左手で陣内の髪を掴み、引っ張る。
結構な力を込めたにもかかわらず、陣内は口づけをやめない。それどころか、楓の抵抗に触発されたかのように行為はますます濃厚なものになっていく。
「……っ、は……」
ぞろり、と口蓋をなぞられて背中が粟立った。
強引だが、乱暴ではなかった。身体から力が抜け出したのを見計らって、陣内は楓の右手を解放する。手の中にあったキャラメルが床に落ちてコトリと小さな音をたてた。
耳の後ろを指先で擽られる。経験したことのない痺れが腰にまで伝わり、楓は動揺した。
「甘い」
囁かれ、下唇を優しく噛まれる。
なにか言い返さなければと思うそばから、再び唇を塞がれた。口の中というのはこんなに複雑な造りだったろうか―――そう思ってしまうほど、陣内は楓の粘膜のそこかしこを訪れ、唇を閉ざすことを許さない。
「……う……」
*この続きは製品版でお楽しみください。
「資質でもあるな。簡単な答だぞ」
ならば、ひとつ思いつく。あまりに簡単すぎてクイズにもならない答ではあるが。
「正義感」
「正解だ。……あんたにはあるか? 俺はあんたの正義感に、期待していいか?」
現役検事に対して、あまりにも失礼な質問である。楓は眉を寄せて陣内を見上げ、逆に問い質した。
「なぜそんなことを聞くんです? 私の正義感とあなたに、なんの関係があるんですか?」
「関係あるさ。なにしろいつ被疑者にされるかわからない」
はぐらかすような答とほぼ同時に、陣内の携帯が鳴った。交わされる会話を聞くに、もうすぐ助けが到着するらしい。
「二、三分で来る。結構早かったな」
陣内はパタン、と携帯を折りたたんだ。
やれやれと楓も立ち上がろうとしたのだが、肩を陣内に軽く押されて阻まれてしまう。たいして力は入っていなかったが、肩に触れられていること自体に楓は緊張した。他人との接触は苦手な質なのだ。
「甘い匂いがしてた」
見下ろされ、そんなふうに言われる。
意図がわからないまま、楓はとりあえず「キャラメルを食べていましたから」と答える。
「そう。キャラメルの匂いだった。俺は甘いものはそう食べないが、ときどき無性に恋しくなる味だな、あれは」
つまり、キャラメルを食べたいのだろうかこの男は。
楓はポケットを探り、まだ残っていた小さなキューブを取り出す。手のひらにそれを載せ、陣内に差し出すと「いや」と笑いながら首を横に振る。
そしてそのまま楓の右手を握り込んだ。
「こっちのほうが、いい」
言うなり、深く屈み込んでくる。
え、と思った時には唇を塞がれていた。あまりの急な展開に、楓は逃げる間もない。
湿った柔らかさと、弾力、そして温度。
迷いもなく舌が入ってきた時には、咄嗟にはね除けようとした。だが陣内の身体はびくともしない。
「んっ……」
熱く濡れた舌が、楓の舌に絡みついてくる。
混乱する頭の中、小さな怒りが生まれる。ふざけるな―――力任せに突き飛ばしてやりたかったが、体格の差が歴然としている上、体勢も不利だった。
楓は左手で陣内の髪を掴み、引っ張る。
結構な力を込めたにもかかわらず、陣内は口づけをやめない。それどころか、楓の抵抗に触発されたかのように行為はますます濃厚なものになっていく。
「……っ、は……」
ぞろり、と口蓋をなぞられて背中が粟立った。
強引だが、乱暴ではなかった。身体から力が抜け出したのを見計らって、陣内は楓の右手を解放する。手の中にあったキャラメルが床に落ちてコトリと小さな音をたてた。
耳の後ろを指先で擽られる。経験したことのない痺れが腰にまで伝わり、楓は動揺した。
「甘い」
囁かれ、下唇を優しく噛まれる。
なにか言い返さなければと思うそばから、再び唇を塞がれた。口の中というのはこんなに複雑な造りだったろうか―――そう思ってしまうほど、陣内は楓の粘膜のそこかしこを訪れ、唇を閉ざすことを許さない。
「……う……」
*この続きは製品版でお楽しみください。
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