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犬ほど素敵な商売はない
著: 榎田尤利 画: 志水ゆき発行: 大洋図書
レーベル: SHY NOVELS シリーズ: PET LOVERS
価格:893円(税込)
10ポイント還元
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著者プロフィール
榎田 尤利(えだ ゆうり)
7月16日生まれ。蟹座のO型。出身地は東京都。
7月16日生まれ。蟹座のO型。出身地は東京都。
解説
悪い子だ。発情してしまったのか? 自覚のあるろくでなし・三浦倖生は、うだるように暑い夏のある日、会員制のデートクラブ『Pet Lovers』から『犬』として、寡黙で美しい男・轡田の屋敷に派遣される。そこで倖生を待っていたのは厳格な主人・轡田の厳しい躾の日々だった。人でありながら犬扱いされることへの屈辱と羞恥。そして、身体の奥底に感じる正体不明の熱……。次第に深みにはまっていくふたりだったが!? 究極のコンプレックス・ラブ!!
抄録
「よく聞きなさい。犬と人間の共存にはルールが必要だ。きみは私の犬になった以上、そのルールを守らなければならない」
轡田の手が、倖生のうなじに触れる。
「ルールは細かにあるが、原則はたったひとつ」
グッと圧をかけられる。
強制的にお辞儀をさせられる形で倖生の上半身が傾き、それに抗おうと首に力を入れた瞬間、ふいうちのように膝の後ろを軽く蹴られた。
「……っ!」
いとも簡単に、膝が床につく。
「つまり――私の命令は絶対だということ」
轡田はなお、倖生のうなじを押した。革の首輪が食い込む。
前屈みに体重をかけてくるので、倖生は上体を保持するのが難しくなる。床に両手をついて身体を支えるしかなかった。
床に這っているのだと自覚した途端、カッと頭が熱くなる。
それが怒りなのか羞恥なのか、あるいは両方なのか考える間もなく、今度は背中を強く押し下げられる。このままだとまるで『伏せ』の姿勢だ。冗談じゃないと身を捩って抗う。
「なにすんだよっ、やめ……」
「犬は喋らない」
ぴしゃりと言われ、倖生は絶句する。
頭に上った血はまだ引かない。唇が震えているのが自分でわかった。
こいつ、変だ。
ふざけるな。本気で俺を犬扱いする気かよ。金さえもらえればおまえと寝るが、ワンちゃんごっこにつきあう気はない――。
すぐに頭を上げて怒鳴るべきなのに、身体が動かない。
今や轡田の手は倖生の後頭部にあった。伏せた身体を起こそうとするとき、最初に上がるのは頭だ。頭部の動きを制御されてしまうと、人間は首から下をも動かせなくなってしまう。おまけに怒りのあまり、倖生は軽いパニックに陥っていたから尚更だった。
「……そうだ」
轡田の声がうなじに落ちてくる。
「少しずつ、教えてあげよう。きみがよい犬になるならば、私は手間と時間を惜しまない。もちろん愛情もだ」
言葉とともに、轡田の指が倖生の髪の中に入ってくる。
思いのほか強い力で五指が頭皮を探り、手のひらが再び圧をかけてくる。次第に近づく床を、倖生は信じられない思いで見ていた。
ついに、倖生の額は着地する。
這い蹲《つくば》っている。
「名前はユキにしよう」
コルクの床材を額に感じながら、倖生は轡田の声を聞いた。
どうしてこんなことになるのだ。俺はいったいなにをしているんだ。
犬、そう、犬……確かに犬という名目で派遣されてきたけれど、それはこんな意味合いではなかったはずで――。
混乱が頭と身体を駆け巡る。
この熱はなんなのだ。
単純な怒りではない。羞恥と屈辱を加えても、まだ説明がつかない。いつのまにか荒くなっている自分の息が床に当たり、湿りを帯びて返ってくる。
「ユキ」
轡田が呼ぶ。
頭を押さえる手は、もうほとんど力など入っていない。それでも倖生は身体を起こすことができなかった。身の内で狂う異様な熱に筋肉が強ばり、関節は脳の命令を拒絶する。
「約束しよう」
倖生の頭を押さえつけたまま轡田は言った。
「私はきみを、美しく賢い犬に躾《しつ》ける」
*この続きは製品版でお楽しみください。
轡田の手が、倖生のうなじに触れる。
「ルールは細かにあるが、原則はたったひとつ」
グッと圧をかけられる。
強制的にお辞儀をさせられる形で倖生の上半身が傾き、それに抗おうと首に力を入れた瞬間、ふいうちのように膝の後ろを軽く蹴られた。
「……っ!」
いとも簡単に、膝が床につく。
「つまり――私の命令は絶対だということ」
轡田はなお、倖生のうなじを押した。革の首輪が食い込む。
前屈みに体重をかけてくるので、倖生は上体を保持するのが難しくなる。床に両手をついて身体を支えるしかなかった。
床に這っているのだと自覚した途端、カッと頭が熱くなる。
それが怒りなのか羞恥なのか、あるいは両方なのか考える間もなく、今度は背中を強く押し下げられる。このままだとまるで『伏せ』の姿勢だ。冗談じゃないと身を捩って抗う。
「なにすんだよっ、やめ……」
「犬は喋らない」
ぴしゃりと言われ、倖生は絶句する。
頭に上った血はまだ引かない。唇が震えているのが自分でわかった。
こいつ、変だ。
ふざけるな。本気で俺を犬扱いする気かよ。金さえもらえればおまえと寝るが、ワンちゃんごっこにつきあう気はない――。
すぐに頭を上げて怒鳴るべきなのに、身体が動かない。
今や轡田の手は倖生の後頭部にあった。伏せた身体を起こそうとするとき、最初に上がるのは頭だ。頭部の動きを制御されてしまうと、人間は首から下をも動かせなくなってしまう。おまけに怒りのあまり、倖生は軽いパニックに陥っていたから尚更だった。
「……そうだ」
轡田の声がうなじに落ちてくる。
「少しずつ、教えてあげよう。きみがよい犬になるならば、私は手間と時間を惜しまない。もちろん愛情もだ」
言葉とともに、轡田の指が倖生の髪の中に入ってくる。
思いのほか強い力で五指が頭皮を探り、手のひらが再び圧をかけてくる。次第に近づく床を、倖生は信じられない思いで見ていた。
ついに、倖生の額は着地する。
這い蹲《つくば》っている。
「名前はユキにしよう」
コルクの床材を額に感じながら、倖生は轡田の声を聞いた。
どうしてこんなことになるのだ。俺はいったいなにをしているんだ。
犬、そう、犬……確かに犬という名目で派遣されてきたけれど、それはこんな意味合いではなかったはずで――。
混乱が頭と身体を駆け巡る。
この熱はなんなのだ。
単純な怒りではない。羞恥と屈辱を加えても、まだ説明がつかない。いつのまにか荒くなっている自分の息が床に当たり、湿りを帯びて返ってくる。
「ユキ」
轡田が呼ぶ。
頭を押さえる手は、もうほとんど力など入っていない。それでも倖生は身体を起こすことができなかった。身の内で狂う異様な熱に筋肉が強ばり、関節は脳の命令を拒絶する。
「約束しよう」
倖生の頭を押さえつけたまま轡田は言った。
「私はきみを、美しく賢い犬に躾《しつ》ける」
*この続きは製品版でお楽しみください。
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