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将軍閣下は溺愛苦悩中

将軍閣下は溺愛苦悩中


発行: ヴァニラ文庫
シリーズ: ヴァニラ文庫
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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解説

俺のものだと、印をつけておこう
結婚10年目だけど、強面将軍閣下と新婚蜜月!?

戦利品として隣国の将軍ウェンデルの妻になったフランカ。ウェンデルはフランカを子供扱いしてばかりだったが、箍が外れた途端に秘めていた獣の如き獰猛さをあらわにして、フランカを貪ってきた。濃密な愛撫はフランカを蕩かして、愛を実感させてくれる。遅ればせながら夫婦としての愛を深めていく二人の周りに、何やら不穏な影が見え始め……。

※こちらの作品にはイラストが収録されています。
 尚、イラストは紙書籍と電子版で異なる場合がございます。ご了承ください。

抄録

 大人扱いされたいと拗ねて、怪しげな占いに頼り、相手の迷惑も考えず夜中に押しかけるなど、それこそ分別のない子どものすることだ。
 占い師の薬が本物の秘薬だったとしても無駄だった。こんなに身勝手な女では、ウェンデルに好かれるはずもないのだから。
 恥ずかしくて顔も上げられないまま踵を返そうとすると、不意に盆を取り上げられた。
 驚いて上を振り向くと、気まずそうな表情のウェンデルと目が合う。
「すまない、言いすぎた。いや……実のところ、フランカが悪いわけではなくてだな……何というか……まぁ、せっかくこうして茶を持ってきてくれたのだから一緒に飲もう」
 妙に慌てふためいた様子で言われ、フランカは涙の滲む目を瞬かせた。
「よ、よろしいのですか?」
 夢ではないかと思いながら尋ねると、ウェンデルが「ああ」と頷く。
 今度は、嬉しさで涙が滲んでしまいそうになり、フランカはパチパチと目を瞬かせた。
「ありがとうございます!」
 扉を閉め、初めて彼の寝室に足を踏み入れた。
 中央には四柱式の大きな寝台が置かれ、部屋の隅に二人掛けの長椅子と低いテーブルがある。テーブルの上には、ランプと読みかけの本が開いたまま乗っていた。
 ウェンデルは本を脇に退けて、盆をテーブルに乗せる。
 かけるように促され、かなりドキドキしながら長椅子に座ると、拳一つくらいの間をあけて彼が横に腰を下ろした。
 ウェンデルはカップを手にしたが、ふとフランカに向き直ると鼻をすんと鳴らした。
「髪についている香りのようだが……バラの香りも好むようになったのか?」
 意外そうに尋ねられ、フランカはとっさに返答に詰まった。
 ルーテルダムの裕福な女性なら、常に何種類かの香水を所持して気分や場の雰囲気で使い分けている。バラの香水は特に人気だが、フランカは決して買わなかった。
 バラは、異母姉ベアトリーチェを思い出させるからだ。
 もはや自分が住んでいた離宮の風景も朧げにしか覚えていないのに、バラは未だに、あの美しく恐ろしい女性の影を脳裏に過らせる。
 ハンナは勿論のこと、ウェンデルや屋敷に仕える者も、フランカがバラを好まないことや、その理由を承知だ。
「バラは今も好みではありませんが、お祭りで私の願いが叶う品だと占い師から聞き、買ってしまったものです。本来なら叶えたい願いに向けて、自身で努力すべきなのでしょうが……」
 夕食の際、ウェンデルにはイーリスと外出したことは話したが、占いテントのことは口にしなかった。さすがに、恋の秘薬を使ってウェンデルを振り向かせたかったとまでは言えず、おずおずと言葉を濁して白状する。
 気まずい思いでチラリとウェンデルを見ると、彼は特に呆れた様子もなく微笑んでいた。
「俺とて小さい頃は、剣が上達したいと星に願掛けをした覚えがある。目標に向けて努力をするのは大切だと思うが、少しばかり心の支えがあっても悪くはないだろう」
 穏やかにそう言われ、きゅんと胸がときめいた。
 やはりウェンデルが大好きだ。こんなに好きになれる男性は他にいないと思う。
「それで、一体どんな願いを……」
 話を続けようとしていたウェンデルが、不意に言葉を切った。まだ口をつけていないカップが手から滑り落ち、床で薄い陶器が割れて茶が飛び散る。
 俯いて息を荒くし出したウェンデルに驚き、フランカは寝台脇にある呼び紐を指した。
「具合が悪いようでしたら、人を呼びましょうか」
「いや。急に眩暈がして……少し、横になる」
 危なっかしい足取りでウェンデルが立ち上がったので、慌ててフランカも立ち上がり、彼を支えようと両腕を伸ばす。
 その拍子に長い銀髪が揺れて、フワリとバラの芳香が強く立ち昇った。
「…………?」
 一瞬、フランカは自分の身に何が起こっているのか理解しかねた。
 ウェンデルを支えようとしたはずが、逆に抱きしめられていたのだ。
 逞しい両腕が背に回り、そのまま長身の彼に引き寄せられると、脚が宙に浮く。爪先に引っかかっていた室内履きが、ポトンと床に落ちたのだけが妙にはっきりとわかった。
 抗う間もなく寝台に組み敷かれ、大きな手がフランカの顎を掴む。
「ウェンデル様……?」
 急激なウェンデルの変貌に慄き、フランカは引き攣った声を絞り出す。
 間近に迫る琥珀色の目は、熱っぽいギラギラした光を帯びていた。
 彼のこんな表情を、今まで見たことがない。飢えた獣が獲物を前にしたような、獰猛な目でフランカに狙いを定めている。
「んんっ!」
 唇を塞がれ、反射的にくぐもった悲鳴が零れた。解けた唇の隙間から熱い舌が侵入して、我が物顔で口腔を貪り始める。
 混乱する頭の隅で、口づけられているのだと何とか理解できた。
 でも、フランカが想像していたのは、優しく唇を触れ合わせるような、もっとふんわりしたものだ。
 予想もできなかった性急で荒々しい行為に恐怖さえ覚え、身じろぎもできないまま、何度も角度を変えて深く口づけられる。
 怯えて縮こまるフランカの舌にウェンデルが甘く噛みつき、絡めて吸い上げた。
「く、ぅんっ」
 息苦しさに子犬のような鼻声を漏らすと、唾液の糸を引いて唇が離れた。
「ウェ、ウェンデル様……?」


*この続きは製品版でお楽しみください。

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