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ロマンスのレシピ

ロマンスのレシピ


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・アフロディーテ
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 ジル・シャルヴィス(Jill Shalvis)
 鉛筆が持てるようになるとすぐに物語を書きはじめたという根っからのストーリーテラー。ジャーナリストとしてキャリアをスタートさせたが、今では主にロマンス小説を執筆している。夫と三人の幼い子供たち、犬とハムスターと共にカリフォルニア州レイク・タホに在住。

解説

 エムのTVプロデューサー生命は、危機に瀕していた。手がけた番組が立て続けに三本とも失敗。もうあとはない。それでもなんとか上司に泣きつき、エムは最後のチャンスを得た。だがそれは、彼女にとって最大の難関だった。料理番組の制作? 鍋の空炊きしかできない、この私が? あとは主役……ジェイコブ・ヒル。人気急上昇の天才シェフを口説き落とせたら、番組の成功は約束されたも同然だけれど。偵察のため彼の店を訪れたエムは、あまりの衝撃で凍りついた。艶やかな黒髪に、底知れぬ黒い瞳。ミステリアスなシェフがまるで素材を吟味するかのように、彼女の全身に目を走らせていた。
 ★2008年2月刊『週末のファンタジー』、2008年4月刊『摩天楼に抱かれて』、2008年5月刊『マンハッタンの恋人』の関連作品をお届けします。ジェイコブの秘められた過去を知ったエムは? 恋の行方は急展開!★

抄録

 二人の視線がからみ合う。彼女がマシュマロの味に歓喜のうめきをもらすと、その恍惚《こうこつ》とした表情にジェイコブもうめきそうになった。
「おいしいわ」彼女はマシュマロをのみこんで言った。「あなたはもう知っているでしょうけど」
 ああ。物静かだがシャイな女性ではなく、そのこと自体に思いがけずそそられる。「知っているよ」
 彼女は笑った。ジェイコブはそのやわらかい音楽のような笑い声が気に入った。ばか笑いではないし、わざとらしくもない。リアルな笑いだ。
 彼女はリアルな女性。もっと知りたいと思わなければ、それは嘘《うそ》だ。
「私、あなたが誰なのかも知らないのよ」彼女はつぶやいた。どうやら同じ思いを抱いていたに違いない。「それなのに、差し向かいで座って、あなたのマシュマロのことや、このホテルでのマシュマロの信じられないような使い方の話をしているわ」
「僕が誰なのか知らない?」
 彼女はわびるように笑みを向けてきた。「ということは、あなたはシェフのジェイコブ・ヒルね」
「一方的に名前を知られている状況は不利だね」
 彼女はにっこりした。「あなたが不利になったりするのかしら」
 ジェイコブは笑い、肩の力を抜いた。勘が正しかったことがわかった。彼女と一緒にいると、ものすごく楽しい。「きみの名前は?」
「エマリーン・ハリスよ。TVプロデューサーなの」
「エマリーンか」ジェイコブは繰り返した。舌に転がる響きがいい。「ここの滞在を楽しんでいる?」
 こちらが職業に食いつかなかったので、彼女は驚いたようだった。だがハッシュ・ホテルでは、職業はよほどのことでない限り問題にならない。セレブや映画スターが四六時中訪れるからだ。
「ええ、楽しんでいるわ。とてもすてきなところね」
「ここには仕事で? それとも快楽を求めて?」
“快楽”という言葉を聞いて、彼女は再び舌をつき出し、そわそわと唇をなめた。「仕事よ」
「それは残念だ」
 彼女は笑った。今度は少し引きつっている。「新しいバラエティ番組の主役を探しに来たの」
 バラエティ番組。歯医者に行くのと同じくらいに興味を引かないジャンルだ。「ほう」
「バラエティは好きじゃない?」彼女が尋ねた。
「というか、テレビにはまったく関心がないんだ」正直に言う。「僕の好みじゃない」
「出るとなったらどうかしら?」彼女は注意深くジェイコブの顔を見ている。「自分自身の番組で」
「悪夢のようだ」
「そう」何を考えているのか、彼女はしばらくジェイコブを見つめていた。女性の謎《なぞ》だらけの思考を読みあてるのは、地雷原を歩くのと少し似ている。「きいてもいいかしら。あなたはエレベーターで初めて会った女性には片っ端からキスをするの?」
「ああ」彼女がこの話題を持ち出すのを待っていた。「そのことか」ジェイコブは肩をすくめた。
「なぜ私にキスをしたの?」
「したいと思ったから」
 彼女は笑い、またひと口食べた。「したいと思うことはいつもするの?」
 ジェイコブはちょっと考えた。「たいていはね」
「私にキスをしたのには、ほかに理由があったはずよ」食い下がってくる。
「まあ、たしかに」
 彼女は眉を引き上げて待っている。
「僕のまわりには、ものすごくおせっかいで、いばり屋で、口出しばかりしてくる女性が二人いるんだ。とてもうっとうしくてね」
「だったらどうしてまわりに置いておくの?」
 ジェイコブはため息をついた。「友人だから」
「わかるわ。私にもそういう友人が二人いるの」
「その二人は、独り身の僕をなんとかしないといけないと思ってる。二人の頭では、なんとかするには女性が必要らしい」
「大人なんだから、ノーと言えばいいじゃない」
 ジェイコブはほほ笑んだ。「きいてもいいかな、エマリーン」
「エムと呼んで」彼女は小さな声で言った。
「それじゃ、エム」このほうが彼女に似合う。よりやわらかで、女らしい。「きみは近しい人にはっきりノーと言えるかい?」
「大切な人が相手だと、どうも弱いわ」
「たしかに」
 彼女はまだ首を振っている。「あなたは誰の言いなりにもならないのでしょう、ジェイコブ・ヒル」
「ああ。でも友人はやっぱり大切だ」
 彼女の目元が和らいだ。「やさしい人ね」
「いや、僕はやさしさとはかけ離れた人間だよ」
 エムの目がしばらくの間ジェイコブの目を探っていた。「まだ筋が通らないわ」
「何が?」
「どうしてお膳《ぜん》立てしてもらう必要があるの? その分野で助けを必要とする人には見えないけど」
「ありがとう」
「賞賛のつもりで言ったんじゃないの」
「友人のプルーは、さっきワイン選びを手伝ったソムリエなんだけど、僕には“本物の恋愛”を経験する必要があると思ってる。彼女にとってはそれが非常に重要だそうで――僕にはそういう経験がないから大事なものを逃していると」
 エムは首を振った。「こういうのって友人関係のハンドブックに載せるべきよね。人と深く愛し合っても、幸せはうちに秘め、周囲に広めないようにしなければならない」
「誰も深く愛し合っていないよ」

*この続きは製品版でお楽しみください。

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