和書>小説・ノンフィクション>ボーイズラブ小説>極道・刑事
解説
「この際だ、見極めようぜ? 俺とお前、本当にやべえのはどっちなのか……」
父親の借金を返すため、ピンサロで呼び込みの仕事をすることになった夏目亮太は、店の支配人でありヤクザでもある千葉に、力づくで身体を奪われる。男が男に抱かれる惨めさ、思い出したくもない自分の矯態……。たった一度抱かれただけでで心を囚われることなどあり得ない。ましてや男相手に。苛立つ一方で、千葉の圧倒的な強さに反発しつつも惹かれずにいられない自分に気づいていた。身体を繋ぐことはあっても、視線は冷たい。優しい言葉をかけられたことなど一度もない。どんなに虐げられても、裏切られても、千葉から離れることのできない夏目だったが……。快楽と自尊心。暴力と誘惑。ハードコア・ラブ登場!
父親の借金を返すため、ピンサロで呼び込みの仕事をすることになった夏目亮太は、店の支配人でありヤクザでもある千葉に、力づくで身体を奪われる。男が男に抱かれる惨めさ、思い出したくもない自分の矯態……。たった一度抱かれただけでで心を囚われることなどあり得ない。ましてや男相手に。苛立つ一方で、千葉の圧倒的な強さに反発しつつも惹かれずにいられない自分に気づいていた。身体を繋ぐことはあっても、視線は冷たい。優しい言葉をかけられたことなど一度もない。どんなに虐げられても、裏切られても、千葉から離れることのできない夏目だったが……。快楽と自尊心。暴力と誘惑。ハードコア・ラブ登場!
抄録
「てめえ人のことおちょくってんのか?」
至近距離で凄まれ、心臓がドクンと音を立てる。今日はどれだけ殴られれば解放してくれるのだろう。怖気《おじけ》づいて逸らした目線は、胸元で再び握り直された拳に引き戻される。
「……いえ」
消え入りそうな声で否定すると、千葉は凶悪に顔を歪めた。
「誰もてめえのくっだらねえ言い訳なんか聞きたくねえ。俺がおまえにいつ外出許可を出したのか、それが知りてえんだよ」
「……はい」
「はいじゃねえ。説明しろ」
突き刺すような眼差しで責めてくる。どこにも逃げ場はなかった。
「すみません……」
同じ語を呟いては下を向く夏目に、千葉が深い溜め息をつく。
今後、名誉挽回《めいよばんかい》することなどきっとあり得ない。こうして着実に、千葉の機嫌を損ねていくだけだ。そうとしか思えなかった。
額に脂汗《あぶらあせ》を浮かべて立ちつくす夏目の胸元から、握り締めた拳が邪険に振り払われる。反動で夏目は後ろ足を踏んだ。
解放にほっとしたのは、束の間だった。
「こい」
胸倉から外れた手が今度は前頭部を掴む。容赦のない力に、夏目は顔を歪めて苦痛を訴えた。
「いっ、……てえって、支配人」
「黙れ」
抵抗は当然聞き入れてもらえず、そのままズルズルと店内へ引きずり込まれる。
頭を引っ掴まれているせいでまともに立って歩くことができない。前屈みの体勢で行きたくもない事務室を目指す夏目に、カウンターに立つ店長が同情に満ちた眼差しを寄こしてくる。
そんな目で見るくらいなら助けてくれればいいのに。睨みつけると、店長はすぐさま顔を背けた。雇われ人という立ち場もあってか、実質的な権力を持つ千葉にはやはり逆らえないらしい。
ようやく事務室に辿り着く。千葉はドアを開けると同時に、夏目の髪を掴んだまま床の上へ引き倒した。
「……っ」
背中から腰に、落下の衝撃が走る。手荒な扱いにはもう慣れていた。夏目は赤茶けた髪を無残に乱して、片肘に重心を置いてゆっくりと身を起こす。
睨み上げる視線の先には、屈強な男が立ちはだかっている。いつもならここで蹴りか手が飛んでくるところだ。夏目もそれを覚悟した。
千葉は依然獰悪《どうあく》な表情のまま、応接セットのソファへどさりと腰を下ろす。そしてスーツの胸ポケットから真っ赤なラークを取り出し、ゴールドに輝くデュポンで火を点した。
しんと静まり返った室内に、紫煙がゆったりと漂う。
こんな展開は初めてで、夏目は戸惑いつつ立ち上がる。腰を据えて煙草を吸うということは、もはや殴る気力も湧かないということなのだろうか。
「……千葉さん。あの」
*この続きは製品版でお楽しみください。
至近距離で凄まれ、心臓がドクンと音を立てる。今日はどれだけ殴られれば解放してくれるのだろう。怖気《おじけ》づいて逸らした目線は、胸元で再び握り直された拳に引き戻される。
「……いえ」
消え入りそうな声で否定すると、千葉は凶悪に顔を歪めた。
「誰もてめえのくっだらねえ言い訳なんか聞きたくねえ。俺がおまえにいつ外出許可を出したのか、それが知りてえんだよ」
「……はい」
「はいじゃねえ。説明しろ」
突き刺すような眼差しで責めてくる。どこにも逃げ場はなかった。
「すみません……」
同じ語を呟いては下を向く夏目に、千葉が深い溜め息をつく。
今後、名誉挽回《めいよばんかい》することなどきっとあり得ない。こうして着実に、千葉の機嫌を損ねていくだけだ。そうとしか思えなかった。
額に脂汗《あぶらあせ》を浮かべて立ちつくす夏目の胸元から、握り締めた拳が邪険に振り払われる。反動で夏目は後ろ足を踏んだ。
解放にほっとしたのは、束の間だった。
「こい」
胸倉から外れた手が今度は前頭部を掴む。容赦のない力に、夏目は顔を歪めて苦痛を訴えた。
「いっ、……てえって、支配人」
「黙れ」
抵抗は当然聞き入れてもらえず、そのままズルズルと店内へ引きずり込まれる。
頭を引っ掴まれているせいでまともに立って歩くことができない。前屈みの体勢で行きたくもない事務室を目指す夏目に、カウンターに立つ店長が同情に満ちた眼差しを寄こしてくる。
そんな目で見るくらいなら助けてくれればいいのに。睨みつけると、店長はすぐさま顔を背けた。雇われ人という立ち場もあってか、実質的な権力を持つ千葉にはやはり逆らえないらしい。
ようやく事務室に辿り着く。千葉はドアを開けると同時に、夏目の髪を掴んだまま床の上へ引き倒した。
「……っ」
背中から腰に、落下の衝撃が走る。手荒な扱いにはもう慣れていた。夏目は赤茶けた髪を無残に乱して、片肘に重心を置いてゆっくりと身を起こす。
睨み上げる視線の先には、屈強な男が立ちはだかっている。いつもならここで蹴りか手が飛んでくるところだ。夏目もそれを覚悟した。
千葉は依然獰悪《どうあく》な表情のまま、応接セットのソファへどさりと腰を下ろす。そしてスーツの胸ポケットから真っ赤なラークを取り出し、ゴールドに輝くデュポンで火を点した。
しんと静まり返った室内に、紫煙がゆったりと漂う。
こんな展開は初めてで、夏目は戸惑いつつ立ち上がる。腰を据えて煙草を吸うということは、もはや殴る気力も湧かないということなのだろうか。
「……千葉さん。あの」
*この続きは製品版でお楽しみください。
本の情報
形式
【MEDUSA形式】MEDUSA形式の作品はブラウザですぐに開いて読むことができます。パソコン、スマートフォン、タブレット端末などで読むことができます。作品はクラウド上に保存さされているためファイル管理の手間は必要ありません。閲覧開始時はネットに接続している必要があります。
詳細はMEDUSA形式のご利用方法をご覧下さい。
































