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和書>小説・ノンフィクションハーレクインハーレクイン・アフロディーテ

貴公子からの挑戦状

貴公子からの挑戦状


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・アフロディーテ
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 アリー・ブレイク(Ally Blake)
 大学を卒業後、ファッション関係の小売店に勤めたり、プロのチアリーダーとして活躍したり、友人の短編映画に出たりしていたが、やがて小説を書くことに取りつかれてしまった。母親がロマンス小説を愛読していた影響で、自然にロマンスを書きたいと思うようになったという。ゴージャスな夫マークとラスベガスで結婚後、オーストラリアの美しい町メルボルンに居を構えた。家庭では生涯の恋人である夫が炊事と掃除を受け持っているので、作品に彼のようなヒーローを登場させようかと思案中。

解説

 アビーは財政難のなか念願の雑誌社を立ち上げた。是が非でも成功させないと、大事な家を手放すはめになる。そこで影響力のある人物に広告塔になってもらうため、名家の出身で投資家のフリン・グレンジャーに白羽の矢を立てた。彼はめったに人を自分のオフィスに入れないと噂されていたが、なんとか面会の約束を取りつけた。与えられた時間は五分。この機を逃すとあとはない。アビーは緊張の面持ちで彼のオフィスに足を踏み入れた。すると、奥のほうにシーツの乱れたベッドのある部屋が見え、そこからフリンがシャワー浴びたてのような姿で現れた!

抄録

 アビーははっと気づいた。今夜一人で寝たいかどうか、それは私の気持ちしだいだわ。
「今夜は本当に楽しかったわ、フリン」
 アビーはかすれた声で、ひそかに誘惑を込めて言った。彼が近寄ってきたのか、さっきより大きくなったように思えた。同時にじぶんが小さくなったように思えた。フリンの目の中に彼女自身の姿が映っている。彼の目の奥の動きが見て取れた。
 彼は私にキスをしようとしている。アビーは確信した。確信がないとすれば、それはじぶんの気持ちだった。体の芯《しん》が熱くなっていた。どこも触れていないのにまるで抱きあげられたような……。
 フリンはとてもいい香りがする。彼は美しいものでも見るように私を見ている。何か特別なものを見るように。彼は正しかった。彼に十ドルの十倍払わなくては。いま彼が何を考えているのか知りたくない。
 アビーはなんだか酔っているような気分だった。頭が空っぽになりそうだ。つらいときも、悲しいときも、どんなに孤独でも、後生だいじに守ってきた思慮分別をなくしてしまいかねない。
 アビーは金魚のぬいぐるみを盾のように胸に抱きしめた。「フリン」彼の騎士道精神が勝つように祈る気持ちで言った。
 が、フリンは微笑し、ダークチョコレート色の目をきらりとさせた。「君とぼくのコラムに役立てるためにだ」彼は念を押すように言い、アビーの頬にかかる髪に片手をさし入れた。
 コラムのためだなんて、そんな……。アビーが思う間もなく、彼の顔が近づいてきた。
 そして完璧な形の唇がそっと重ねられた。それをただのおやすみなさいのキスにするかどうか、アビーに残された最後のチャンスだった。
 フリンはローズマリーとワイルド・マッシュルームの味がした。アビーはその両方の味が大好きだった。彼は温かく、がっしりと大きく、力強かった。アビーはじぶんが冷たく、小さく、頼りなく、か弱いことを、信じられないほどうれしく感じた。それに、彼はまさにフリンらしいにおいがした。アビーはフリンのそのにおいが大好きだった。
 タイムアップ。彼の唇が微笑の形になるのがわかった。そして少しだけ強く押しつけられた。アビーもキスを返した。
 彼の唇がゆっくりと、とても優しく動くと、アビーの体は骨が溶けてしまったかのようになった。
 触れているのは唇と、アビーの髪の中にうずめられた彼の手だけだったが、夜の静寂の中で二人の息が優しくまじり合った。アビーはわなわな震えていた。いまにもフリンの足元にくずおれそうだった。
 最初に離れたのはフリンだった。アビーは目をひらいた。
「ちょっと中に入っていく?」考えるより先に口が動いていた。アビーははっとしてコーヒーでも、とつづけようと思ったがもう手遅れだった。
「ぜひとも」フリンが言った。
 むろん彼もコーヒーをごちそうになりたいのではない。
 アビーはじぶんの足とも思えない無感覚な足で三歩中に入った。体じゅうの血はどこへ行ってしまったのだろう? 頭ではない。頭は風船のようにふわふわしていた。手でもない。手はかじかんだように冷たい。肺でもない。肺は締めつけられて息ができないくらいだった。
 振り返ってフリンを見ると、彼の大きな体が廊下をふさいでいた。背後から月光がさしていたが、顔は陰になっていた。フリンがゆっくりとドアを閉めると月光が締め出され、彼の目が光った。内側からこぼれる欲望の光だった。
 その欲望はアビーも同じだった。全神経が彼を求めて叫んでいた。彼の髪に触れたくて指がうずく。さっき彼の口にふさがれていた唇もうずいていた。
 アビーは思慮も分別も奥に押し込み、蓋《ふた》をしてからロックして鍵を捨てた。フリンへのこの欲望は山ほどの理由をつけても抑えられない。
「アビー」
 フリンがささやくと、返事をする間もなくアビーは彼の腕の中にいた。
 五感が爆発し、閉じた目の中がまっ赤になった。押しつけられるフリンの唇が熱い。しっかりとアビーを抱く腕。鼻孔を満たす彼の男らしいにおい。顎をこするざらついた髭《ひげ》。
 アビーは両手をのばし、彼のうなじの巻き毛をまさぐった。彼の長い指も彼女の髪の中に深く入ってきて、根元をぐいと引いた。アビーは一時間マッサージしてもらったときのようにうっとりした。
 その指がうなじを伝う。親指が喉をなでた。爪がドレスの襟ぐりをなぞり、指の腹が腕の肌をすべりおりる。彼は両手でアビーの肘をつかんで腕をおろさせ、そのまま廊下の壁に押しつけて動けなくした。
 そしてふたたび唇を合わせた。熱く、湿った、優しい、巧みな、リズミカルなキス。

*この続きは製品版でお楽しみください。

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