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和書>小説・ノンフィクションハーレクインハーレクイン・アフロディーテ

夜明けを焦がれて

夜明けを焦がれて


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・アフロディーテ
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 ジョー・リー(Jo Leigh)
 長年にわたり二十世紀フォックス映画会社、CBSやNBCなどのネットワーク局で働き、脚本家としても五十作以上の作品にかかわってきたという経歴の持ち主。映画やテレビドラマの仕事をしながら書いた初めてのロマンス小説が、ロマンティックタイムズ誌のベスト・ファースト・ブック部門に入賞。「華やかな業界で働くよりもロマンス小説を書くほうが好きだ」と気づき、それまでのキャリアを捨てて小説家となった。以来、講演活動や創作指導なども行う多忙な毎日の中で、数々のラブストーリーを生み出している。ネバダ州ラスベガス近郊にある住居を三人でシェアして暮らす。一人は二十年以上の年を経て再会した恋人。もう一人はロマンス小説家仲間のデビー・ローリンズで、ミニシリーズの競作も手がけている。

解説

 眠れない日々がもう五カ月も続いている。クリスティは正体不明のストーカーから嫌がらせを受け、仕事も友人も自由も奪われたあげく、とうとう口座まで凍結されてしまった。こんな事態に陥っても、頼りにできる家族や恋人はいない。彼女が最後にすがったのは、亡き兄が残した電話番号だった。だが期待もむなしく、なんの役にも立たない番号だとわかる。絶望の淵に沈むクリスティを、さらなる衝撃が襲う! 真夜中、何者かが家に侵入し、後ろから彼女の口をふさいで言った。「きみに僕の恋人のふりをしてもらう」

抄録

 ブーンの隣でパソコンを操作するのは簡単ではなかった。彼の視線を意識して肌をあわだたせながら、クリスティはキーを打ち続けた。
 それでも、隣にブーンがいるのは心強かった。だからといって、彼の言葉に必ずしたがうように命じるのは行きすぎではないだろうか。
 だが実際のところ、クリスティだけではなにもできなかった。「宛《あて》先は?」
 ブーンはなんの変哲もないアドレスを告げると、座ったまま椅子を近づけた。たくましい腿が腰に軽く触れたとき、クリスティは頬が染まるのを意識したが、キーを打つことに集中しようとした。
「始めていいか?」
 彼の問いに、クリスティはうなずいた。
「“こんにちは、ジーナ”」そう言うと、ブーンは彼女がキーを打つのを待って続けた。「“誰が帰ってきたと思う? ブーンよ。彼が面倒を見てくれることになったの。これで例の問題も解決すると思うわ。だからもう心配しないで。ふつうの生活に戻りしだい連絡するわ。じゃあね。クリスティ”」
 言われたとおりに打ち終わると、彼女は送信ボタンを押すように指示されるのを待った。
 ブーンがうなずいたのを見て、クリスティはマウスをクリックした。
「どうしてこんなことを?」彼女はきいた。
「やつをおびきだすためだ」
「おびきだす?」
「ぼくたちが盗聴器を発見したことは知っているだろうから、疑心暗鬼に陥っているはずだ。まずは、ぼくたちを恋人同士だと思わせる。次は、買い物に出かける」
「わたしも一緒に?」
「ああ」
「財布をとってくるわ」
「その必要はない」ブーンは座ったまま椅子を離した。「これも仕事のうちだ」
 一瞬、クリスティは断ろうとしたが、すでに経済状態を知られているのを思いだして考え直した。使ったお金はこの問題が解決したあとで返せばいい。
 ふたりは同時に立ちあがり、それぞれ相手がいる方向に動いた。彼の胸にぶつかった瞬間、クリスティは両肩をつかまれた。ふたりは体をこわばらせた。ブーンと目が合ったとき、彼女の体は震え始めた。
 時間がたつのが遅くなるのと反対に、クリスティの胸の鼓動は速くなった。昨夜はブーンの腕のなかで恐怖を覚えたというのに、いまは安心感を覚えている。胸の鼓動が速くなったのは、彼の目を見たせいだ。まるで獲物を狙《ねら》う捕食動物のような目だった。彼女が欲しくてたまらないというような目だ。
 ブーンは両手を離すと、すばやく書斎から出ていった。廊下に響く足音を聞き、クリスティはわれに返った。ブーンが彼女を求めているはずがなかった。まだ会ったばかりだし、彼がここに来たのは兄に借りを返すためなのだから。
 彼女も書斎を出て、廊下を歩きだした。いまの生活はふつうではない。早くストーカーをつかまえて、本当の生活をとり戻すのだ。よけいなことを考えている暇などなかった。

 ブーンは彼女を家から連れだした。軒下に隠されたカメラの前をゆっくり歩いて通る。ストーカーに揺さぶりをかけて、おびきだすのが目的だ。そのときに備えて、ブーンはクリスティを鍛えるつもりだった。自分の身を守れるようにするために、ジムで護身術を教え、射撃練習場で銃の腕を磨かせるのだ。
「もっとゆっくり歩くんだ」ブーンは唇を動かさないようにささやき、彼女の肩に腕を回した。クリスティが体をこわばらせるのがわかったが、ストーカーに恋人同士だと思わせるためにほほえんだ。嫉妬《しっと》心をあおり、突発的な行動に駆りたてるのが狙いだった。
 ふたりはゆっくりと私道を歩いた。ブーンの車は何軒か先の家の向かい側に止めていた。ストーカーのカメラがどのあたりまで撮影可能なのかわからないので、このまま芝居を続ける必要があった。
 ブーンは彼女を抱き寄せると、甘い香りのする髪に顔を近づけた。彼はクリスティの肩を抱いた手を、ほっそりしたうなじに這《は》わせた。柔らかい肌の感触が心地いい。
「大丈夫か?」ブーンは小声できいた。
「いいえ」クリスティが答えた。「だって、彼に見られているんでしょう?」
「ああ、おそらく」
「わたしたちを恋人同士だと思わせたいのね?」
「そうだ」
「でもそんなことをしたら、わたしをつかまえに来るんじゃない?」
 歩道に出ると、ブーンはいったん足を止めた。「よく聞くんだ。やつをあわてさせて行動させることが、きみの人生からやつを追いだす結果につながる。ぼくを信じてくれ。生まれてきたことを、やつには必ず後悔させてやる」
 クリスティはブーンを見た。彼女の目には涙が光っていた。クリスティはそっと彼の頬に触れてから、そのまま手を下ろした。「ブーン?」
「なんだ?」
「彼をつかまえて、刑務所から二度と出てこられないようにして」
「わかった」
「約束よ?」
「神に誓う」
 クリスティはほほえんだ。
 ブーンは顔を近づけ、彼女にそっとキスした。理由をきかれたら、ストーカーに見られているからだと答えただろう。だが、それは嘘《うそ》だった。彼はただクリスティにキスしたかっただけだ。しかし、彼女を不安にさせたくなかったので、優しく抱擁して柔らかい唇の感触を楽しむだけにした。
 だが顔を離そうとしたとき、クリスティがキスに応《こた》えてきたのを、ブーンは感じた。

*この続きは製品版でお楽しみください。

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