マイリストに追加

和書>小説・ノンフィクションハーレクインハーレクイン・ロマンス

王に娶られたウエイトレス

王に娶られたウエイトレス


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ロマンス
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
みんなの評価 未評価
◆レビューを書く

¥0サンプル
XMDFのファイルをご覧になるにはブンコビューア最新版(無料)をインストールしてください。

「書籍ファイルが壊れています」と表示される場合は、ブンコビューアを最新版にアップデートしてください。
購入する


著者プロフィール

 リン・グレアム(Lynne Graham)
 北アイルランド出身。七月三十日生まれの獅子座。十代のころからロマンス小説の熱心な読者で、初めて自分でロマンス小説を書いたのは十五歳のとき。大学で法律を学ぶと同時に、十四歳のときからの恋人と卒業後に結婚。この結婚生活は一度破綻したが、数年後、同じ男性と恋に落ちて再婚するという経歴の持ち主。
イギリス郊外に家と五エーカーの森林を持ち、そこで現在、スリランカとグアテマラからの養子を含めた五人の子供を育てている。時間のあるときは大好きな庭仕事に励み、得意のイタリア料理に腕をふるう。小説を書くときのアイデアは、自分自身の想像力とこれまでの経験から得ることがほとんどで、彼女自身、今でも自家用機に乗った億万長者にさらわれることを夢見ていると話す。ロマンス映画も大好きだが、ハッピーエンドでないものは好きではないという。

解説

炎熱の地に臥した彼女を救ったのは、美しくも傲慢な王。

祖父の介護費用を稼ぐため、モリーはウエイトレスとして働く傍ら、ジャーリア国の大使館で王子に英語を教えていた。ある日、モリーは砂漠に囲まれた見知らぬ城で目覚める。大使館で薬物の入ったコーヒーを飲まされ、眠っている間に王子に誘拐されてしまったのだ。なんて野蛮なことをするの!ところがモリーの前に現れたのは、王子の兄の国王アズラエル。国の名誉のため、大金と引き替えに弟の犯罪を見逃せという。しかも彼女が拒絶すると幽閉されてしまった。私はどうなるの?怯えたモリーは隙を突いて逃げだすが、砂嵐に襲われて……。

■リン・グレアムの真骨頂!傲慢な砂漠の王と無垢なウエイトレスの熱く激しいロマンスをお楽しみください。王が気まぐれに発した結婚宣言のせいで、ヒロインは妃にならざるをえなくなり……。

抄録

 彼は私を不安にさせる。私の気持ちを乱し、怒らせる。こんなことになったのは彼のせいだ。こんなばかげた決断を下したのも。万全とは言えない体調のせいでモリーは思いつめた。暑くて喉はからから、体は汗でべたべた。全身が痛み、日焼けでむけた鼻のてっぺんも痛い。それもこれも、私をお金で黙らせようとした国王の責任だ。
 たしかにお金は欲しいけれど。モリーは薄れゆく意識のなかで思った。ぜんまいの緩んだ時計のように、思考速度がひどく緩慢になる。お見舞いに行けなくて、モーリスは寂しがっているだろう。私もほとんど覚えていない母と区別がつかなくても、少しも気にならない。私を愛してくれているのは祖父だけなのだから。つまりそれは、私は愛するに足る人間ではないということ? モリーはそのことについてずっと考えてきた。継母が彼女をひと目見るなり嫌ったときも、父は娘を守ろうとしなかった。タヒールには好かれたものの、彼の好意の表し方は間違っていた。一方アズラエルは……。
 なぜ、彼のことをまた考えるの? アズラエルも私をひと目で嫌いになった。
 突然、大きな物音がした。大地を揺るがしながら、一頭の馬が全速力で駆けてくる。かわいそうに。彼女は朦朧とする頭で思った。私がこれほど暑いのだから、馬も同じだろう。その馬は遊牧民のような男を乗せていた。モリーはなんとか腕を伸ばし、バスを止めるときのように日陰から手を振った。
 男がひらりと下馬する。彼がブーツを履いた足でどすどす歩いてくるせいで、モリーの腰の下の砂地が揺れた。
「君という女性は、なんと愚かなんだ」
 聞き覚えのある声に叱られて奇妙な安堵と喜びを覚えながら、モリーは暗い金色の瞳に焦点を合わせようとした。目以外は、口も頭もすっぽりカフィーヤに覆われていて見えない。アズラエルが私を見つけてくれた。モリーはもう自分は安全だとわかった。
 だが、アズラエルの見立ては違った。もう大丈夫だという確証は持てなかった。空にこびりつく染みのように黒雲が近づいてくるのが地平線上に見えたからだ。強風のために鉄塔が倒れ、モリーの足取りがわかったと最後に連絡を入れて以来、携帯電話は通じなくなっていた。ここは城塞からは遠すぎ、嵐より先に戻るのは不可能だ。モリーはよくこんなに遠くまでひとりで来られたものだ。地上で最も厳しい灼熱の砂漠を何百メートルも歩くとは。しかも、気候に適した服装や履き物はおろか、身の安全と快適さを保つのに必要な装備は何ひとつ持たずに。頭がおかしいとしか言いようがないが、強靭な精神力の持ち主であることも確かだ。アズラエルはモリーのそばにしゃがんで水のボトルを渡し、飲みすぎて気分が悪くなったりしないよう、すぐにそれを取り上げた。
「放してよ、ミスター気難し屋」モリーがくすくす笑いながら言った。
 暑さと喉の渇きで錯乱気味なのだろう。アズラエルはいらだちを覚えながら、そう解釈した。だが、彼女をマントで包んで抱き上げる際に、鼻のてっぺんが赤くなっているのに気づいて、思わずうめき声をあげた。
「何……どうかした?」モリーは呂律のまわらない口調で言った。
「鼻がひどく日焼けしている」
「ルドルフみたい?」
「それは誰だ?」アズラエルはモリーの体を持ち上げ、折りたたんだ絨毯のように馬の背に乗せた。彼女は無事だ。僕が見つけた。全身を縛っていた緊張感が少し薄らぐ。あの窟に連れていき、小さな池に浸して体を冷やしてやろう。そのころには砂嵐も過ぎ去り、迎えも来るはずだ。
「サンタのトナカイよ」モリーの返答は不明瞭だった。声を出すのと考えるのを同時に行うのが難しいようだ。「あなたなんて嫌い」
「静かにしていろ」アズラエルは無愛想に言った。「無駄な体力を使うな」
 体力って? 元気だったら、そう尋ねていただろうに、今のモリーは生まれたばかりの赤ん坊のように体がぐにゃぐにゃとして力が入らなかった。しかも、馬のにおいがする。「馬って臭い」
 アズラエルは天を仰ぐと、愛馬スパイスの手綱を取って洞窟へ向かった。子どものころ、ハシェムの軍勢から逃れるために母親と隠れていたところだ。「都会育ちの女性にしては悪くない」気づいたときには、彼はそう言っていた。「むろん、とてつもなく愚かな行動だったが、これほどの距離を――」
「黙って」モリーがうめく。
 アズラエルはにやりとした。「耳をふさぎたくてもふさげない聴衆がいるのは最高だ」
「ブトルスは、あなたが奇跡を起こすと思っているみたいよ。“私どもを導く輝かしい君主”ですって」モリーは不服そうに言った。
「僕はごく普通の男だ」アズラエルは痛烈な皮肉を込めながらも、冷静に答えた。
 モリーは目を閉じた。普通? とてもそうは思えない。ミスター・ゴージャスが私を追ってきて、救ってくれた。とんでもなく不快な思いもさせられたけれど、これには感謝するべきだ。彼がミスター気難し屋になったとしてもしかたない。「ありがとう」彼女はかすれた声で言った。


*この続きは製品版でお楽しみください。

本の情報

形式

【XMDF形式】

XMDFデータをご覧いただくためには専用のブラウザソフト・ブンコビューア最新版(無料)が必要になります。ブンコビューアは【ここ】から無料でダウンロードできます。
詳しくはXMDF形式の詳細説明をご覧下さい。

対応端末欄に「ソニー“Reader”」と表示されている作品については、eBook Transfer for Readerで“Reader”にファイルを転送する事で閲覧できます。
海外版の“Reader”は対応しておりませんので予めご了承くださいませ。

【MEDUSA形式】
MEDUSA形式の作品はブラウザですぐに開いて読むことができます。パソコン、スマートフォン、タブレット端末などで読むことができます。作品はクラウド上に保存されているためファイル管理の手間は必要ありません。閲覧開始時はネットに接続している必要があります。

詳細はMEDUSA形式の詳細説明をご覧下さい。