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伯爵の無慈悲な選択 愛と背徳のローマ II

伯爵の無慈悲な選択 愛と背徳のローマ II


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ロマンス愛と背徳のローマ
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 ジュリア・ジェイムズ(Julia James)
 十代のころに初めてミルズ・アンド・ブーンのロマンスを読み、それ以来の大ファン。ロマンスの舞台として理想的な地中海地方、そしてイギリスの田園が大好きで、とくに歴史ある城やコテージに惹かれるという。趣味はウォーキング、ガーデニング、刺繍、お菓子作りなど。現在は家族とイギリスに在住。

解説

伯爵への身分違いの恋は、不幸な結婚への始まりだった!

出会った日から半年間、カーラはローマの伯爵チェーザレの従順でやさしい恋人だった。ところが傲慢な伯爵は、カーラの愛に価値はないというように、庶民の彼女を切り捨て、侯爵令嬢との婚約を発表する。失意のカーラは、母に命じられた男性と結婚するしかなくなるが、その男性にも結婚式で捨てられ、さらに恥をかいてしまう。だから、再会したチェーザレを拒めなかったのだろうか?婚約中の彼と一夜を過ごしたカーラは、罪の意識に耐えきれず、ローマから逃げ出す。しかし、おなかには伯爵の子が宿っていた。

■R−3334『億万長者と愛の形見』で衝撃的な登場をする今作のヒロイン、カーラ。しかし実は彼女も愛に傷つき、苦しんでいたのです。〈愛と背徳のローマ〉では、2冊にわたって2組の男女の入り組んだ愛が描かれます。作家の渾身の力作を、どちらもお見逃しなく!

抄録

 継父であるグイドの贅沢な屋敷で一緒に暮らしてほしいと、母が思っているのは知っていた。それでも、継父が遺言で気前よく財産を遺してくれたおかげで、カーラは小さいけれども美しいアパートメントを買った。そこは上品でありながら居心地がよく、自分らしい装飾を凝らし、好きな家具を置くのを思いきり楽しめた。
 とはいえ、今のカーラにヴィスカーリ家の人々の気持ちや、アパートメントのことを考える余裕はなかった。頭を支配し、意識を占めていたのはただ一つ……。
 チェーザレの存在だ。
 カーラはその男性とさっきまで、食事をとりながら話をしていた。会話にはつねに、表と裏の二つの意図がこめられていた。表だけを取りあげれば、伯爵は非の打ちどころのないもてなし役だった。ディナーの相手としても完璧で、提供した話題もカーラの仕事や芸術、彼が所有するイタリアのあちこちの土地柄といった、お互いを知ろうとする男女が選びそうなものばかりだった。
 カーラ個人への質問は、少ししかなかった。無関心と言えるほど少なくはないが、無神経と言えるほど多くもない程度だ。伯爵から顔は知っていたと言われても、カーラは驚かなかった。会う機会が一度もないのに、彼女も伯爵を知っていたからだ。
 チェーザレに案内されたのは、こぢんまりとした恐ろしく高級そうなレストランだった。彼はすぐさまいちばんいいテーブルに通され、よく気がつくが控えめな熟練のウェイターの応対を受けた。
 そのとき、チェーザレは数人の客に会釈をした。女性のグループ客が驚いた顔で穴があくほど彼を見ていたものの、それ以上のことはなにもなかった。
 レストランに知り合いがいなかったので、カーラはほっとした。おかげで、マンテーニャ伯爵チェーザレ・ディ・モンダーヴェと意味深長な会話を交わしているところを、誰にも見られずにすんだ。
 二人の会話は活発だったり、落ち着いていたり、とても魅惑的だったりした。そして伯爵の視線やかすかな笑み、官能的な唇、貴族的な長い指を上げるさまを見れば、そこにこめられた誘惑の意図は明らかだった。
 店の明かりが伯爵の印章指輪に反射し、カーラはそこに目をやった。刻まれているのはうずくまる獅子で、ルシエゾの肖像画に描かれた先祖も同じものをしていた。ひょっとして、代々の伯爵に伝わる家宝なのかしら?
 ようやく、チェーザレが食事が終わった合図として、丸めたダマスク織のナプキンをテーブルに置いた。二人は席を立ち、店を出て、歩道で待っていたフェラーリに乗りこんだ。
 カーラのアパートメントの前に車をとめたチェーザレは、エンジンをとめて彼女を見つめた。薄暗い街灯の明かりに照らされて、その表情は謎めいていた。
 チェーザレのすさまじい魅力を意識するあまり、カーラはまたしても体がじりじりと熱くなるのを感じた。それでもほほえんで言った。「ありがとう。すてきな夜だったわ」その声は明るく、ひどく堅苦しかった。
 彼の唇が笑みを形作り、長いまつげが目をおおった。「そうだな」
 その声がおもしろがっているのに気づいて、カーラは急に息が苦しくなり、脈が速くなった。
「そして、今夜のような“すてきな夜”なら……」チェーザレはますますおもしろがっているようだ。イタリア語のアクセントがまじる英語を聞いて、カーラはさらに息が苦しくなった。「締めくくる方法は一つしかない。そうじゃないか?」
 薄暗がりの中で、チェーザレがカーラを見つめた。その目は彼を受け入れ、敗北を認めて意のままになれ、とけしかけているようだ。初めて彼女を見たときから、ずっとしたいと思っていたことをさせろと。
「こんな方法で」
 チェーザレは手を伸ばし、長い指でカーラの顔を上げさせてから、唇を唇に近づけてゆっくりと官能的に味わった。巧みで手慣れた、経験豊かな口づけにカーラの唇が開くと、その奥の甘さを楽しむ。そこはシルクのビロードのように、やわらかく官能的だった。
 カーラはキスにおぼれていた。チェーザレが好きなだけ唇をむさぼるせいで、数千という神経の末端には火がついているようだ。
 ようやく彼女を解放したとき、チェーザレは手を車のハンドルにかけた。
 それからほほえみ、静かな声で言った。「|おやすみ《ボナ・ノツテ》」
 たった一度のキスでかきたてられた、揺らめくような喜びのとりこになっていたせいで、一瞬カーラは動けなかった。できたのは重そうなまぶたの下からはっきりと意志を伝えてくる、愉快そうなチェーザレの目を見つめることくらいだった。
 やがて少し動揺しながら、カーラは車のドアを開けてごくりと唾をのんだ。ぼうっとしたまま車を降りたあと、手さぐりで鍵を取り出し、震える手でアパートメントの外玄関の鍵穴に入れる。それからチェーザレのほうを振り返って、先ほどとは打って変わった明るくも歯切れよくもない口調で、おやすみのあいさつをした。
 チェーザレはなにも言わず、うなずいただけだった。カーラは背を向け、玉石が敷かれた中庭に入って重い外玄関のドアを閉めた。
 車のかすれたエンジン音が遠ざかるのを聞きつつ、震える脚で自分の部屋へ向かう。聖域とも言うべき家に入って初めて、カーラはふたたび息ができるようになった。


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