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愛は忘れない【ハーレクイン文庫版】

愛は忘れない【ハーレクイン文庫版】


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン文庫ハーレクイン文庫コンテンポラリー
価格:500pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 ミシェル・リード(Michelle Reid)
 1997年の日本デビュー以来たちまち人気を博し、ハーレクイン・ロマンスを代表する作家になる。五人きょうだいの末っ子として、マンチェスターで育った。現在は、仕事に忙しい夫と成人した二人の娘とともにチェシャーに住んでいる。読書とバレエが好きで、機会があればテニスも楽しむ。執筆を始めると、家族のことも忘れるほど熱中してしまうという。

解説

サマンサは1年前の事故のせいで、記憶の全てをなくした。首飾りに刻んであった名前も、住んでいた場所さえ覚えていない。どうして事故に巻き込まれたかすら。
ある日、不意に現れた大富豪に「僕の妻だ」と抱きしめられて、見覚えがあるはずもない彼女は、怯えて卒倒してしまう。だが、アンドレと名乗る夫に甘くキスをされると記憶が疼くのだ。忘れたはずの過去が、また例の痛みを伴って全身を引き裂く。記憶を失う寸前まで、サマンサは壊れた人形だった。そして――過去を抹消することが“彼”を拒絶する唯一の方法だった。

*本書は、ハーレクイン・ロマンスから既に配信されている作品のハーレクイン文庫版となります。 ご購入の際は十分ご注意ください。

抄録

「わたしがいなくなって一カ月もしないうちに、あなたはこの国を出たのよ。それは大変なことだと思わない?」
「国内にはいなかった。そうとも」いきり立って言い返した。「ぼくが国を出た理由は、きみが突き止めるべきもう一つの課題だ」指先をこめかみに突きつけた。「きみの閉ざされた心はその答えを見つけなくてはならない」
 サマンサの反応は彼だけでなくサマンサ本人にとってもショックだった。とっさに飛びすさったので、危うく転ぶところだった。
「なんだってそんな無茶をするんだ?」彼は大声を出し、反射的に手を伸ばして彼女を支えた。
 サマンサはまたしてもあとずさった。「あなたに触られるのが……いやなの」ぞっとして体が震え、言葉につまった。
 侮辱されて、彼の瞳がいちだんと暗くなり、怒りがめらめらと燃え上がるのがわかった。「いやなのか?」彼は静かな声で応じた。「それならどれくらいいやか、実際に試してみようじゃないか」
 次に気づいたときには、サマンサは二本の腕でがっちり押さえ込まれて唇を押しつけられていた。意識がもうろうとし、全身に衝撃が走り抜けた瞬間、それを熟知しているという感覚に圧倒された。
 この口は知っている。唇の感触、この口の形、私の反応に合わせたセクシャルな動き。きつく結んだ唇を開かせようとして、唇の合わせ目に沿って舌で愛撫する、軽く湿った感触にも覚えがある。
 もっと悪いことには、サマンサはそれを求めていた。キスに応えたくてたまらず哀れっぽい声をもらした。驚くほどなじみのある興奮がざわざわとわき立ち、キスだけでなくその感覚にも必死で抵抗しなくてはならなかった。熱いかたまりが下腹深くよどんで、欲望に胸がうずいた。
 もうだめ。耐えきれない。
 彼を押しのけようとして両手を上げると、バルコニーの床に杖が大きな音をたてて倒れたが、サマンサは彼を押しやるどころか肩にしがみついた。そのとたん、さらに強い親近感がわいた。自分と彼の背丈の差もちゃんと覚えていた。彼の肩幅も、自分よりずっと力が勝っていることも。
 そしてこんなふうに抱かれていると、自分がいかにも小さくか弱く感じられ、とても女らしく感じられるのも覚えていた。
 彼もそれを悟ったようだった。肩に当てた両手が背筋に沿って腰まですうっと滑り下りたかと思うと、サマンサをぎゅっと抱き寄せた。彼女は呻いた――ああ、いけないわ。こんなことまで許してしまった。唇で口を押し開いて舌をからませて味わうのを許し、あらがうのをやめてあっさり熱い情欲の誘惑に屈してしまった。
 彼がすっと身を引いた。あまり唐突だったので、サマンサは彼にもたれたまま茫然と見上げた。
「ほら……」彼は低い声で勝ち誇って言った。「ぼくが触れるのはいやだと思っても、きみはいくらキスをされてもまだ足りないみたいだったよ、マイ・ダーリン。今起きたことをどう説明する?」彼は指先で彼女の額を叩いた。さっきまでの情熱的な出来事はすべてふりだしに戻った。
 それと同時にあのなじみのある感覚は消え去り、ふと気づくと、サマンサはまったく見知らぬ男を見つめていた――まだ静めきれない怒りに目をぎらつかせ、いまいましいキスに今も口元をひくつかせている。彼女がおののき震えたのも無理はない。
「それに、失神もしなかった」彼は嘲った。その上、サマンサが現に正気を保っているのを証明するかのように彼女を突き放し、侮辱した。
「最低の男だわ」彼女は小声でつぶやいた。
 彼はなげやりに肩をすくめ、そうののしられてもいっこうに気にしていないことを示した。そして背を向けると、悠然と窓の方へ向かった。「では二時間後に」出ていきながらそっけなく言い添えた。「必ず一眠りしたまえ。その必要がありそうだよ」
 サマンサはさっきの彼の言葉に気を取られて、茫然と彼を見送るばかりだった。彼は怒っていた。あれは懲らしめのキスで、自分の力を見せつけたのだ。
「わたしのせいなのね、そうなんでしょう?」
 震える声を聞くと、彼はぴたりと足を止めた。
「自分でも思い出したくないと思うほどひどいことを、わたしはあなたにしたの?」
「いや」彼は否定した。「専門医の助言を求めるまでは、過去の話はしないと決めたはずだ」
 サマンサは短く笑い声をあげた。「ありとあらゆる方法で冷酷に過去をわたしに押しつけておいて、その当人がそんなばかげたことを言うなんて!」
「わかったよ!」彼は大声で言い、サマンサが油断しているすきにくるっと後ろを向いた。彼女がびくっとして飛びすさると、彼は唇をかんで怒りをあらわにした。「ほら、そんなにびくびくするからキスをしたんだ。きみがそんなだから腹が立って――今だって頭にきてる! ぼくたちは相思相愛の仲だったんだよ、サマンサ!」ずかずかと彼女に歩み寄り、両手で肩をつかんだ。「お互いにいくら愛してもまだ足りないほど、貪欲に情熱的に愛し合っていた! そばに寄っただけでもびくっと飛び上がるんじゃ、頭にきて当然だろう! そばにいるのにキスもできないなんて、自らを否定するのと同じだ! だから……」うつむいて、もう一度短いキスをした。「慣れてくれよ。ぼくの妻なんだから。きみにキスするのは大好きさ。ほかにもきみと一緒にしたいことはあるが、それで怒りを晴らしたりしないうちにさっさと出かけるよ!」


*この続きは製品版でお楽しみください。

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