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永遠の一夜【ハーレクイン文庫版】

永遠の一夜【ハーレクイン文庫版】


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン文庫ハーレクイン文庫コンテンポラリー
価格:500pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 アン・メイザー(Anne Mather)
 イングランド北部の町に生まれる。息子と娘、二人のかわいい孫がいる。自分が読みたいと思うような物語を書く、というのが彼女の信念である。ハーレクイン・ロマンスに登場する前から作家として活躍していたが、このシリーズによって、一躍国際的な名声を得た。

解説

カリブ海の小島に身を隠したオリヴィアのもとに、亡き夫の会社を継いだクリスチャンから電話が入った。夫のところにいた息子が、事故で大怪我をしたのだという。
足場を失ったかのように、オリヴィアはその場にくずおれた。すぐにでも飛んでいきたかったが、クリスチャンに居場所を突き止められたショックが大きすぎる。彼の子を身ごもっているのを知られたらどうしよう?幻滅していた夫が死んだ夜に、犯した過ちを繕う術はもうない。オリヴィアは誰にも告げず、ひとり出産しようとしていた。

*本書は、ハーレクイン・セレクトから既に配信されている作品のハーレクイン文庫版となります。 ご購入の際は十分ご注意ください。

抄録

「化粧室はどこ?」オリヴィアは喉を詰まらせ、手で口を覆った。クリスチャンが周囲を見まわしているうちに、オリヴィアは席を立ち、大慌てでカフェテリアを出ていった。
 クリスチャンはあとを追ったものの、何ひとつ手助けはできなかった。カフェテリアを出たとき、オリヴィアが“女性用”と書かれたドアの向こうに消えるのが見えた。彼はため息をつき、オリヴィアが現れるまでその場で待つことにした。
 オリヴィアが出てきたのは数分後かもしれなかったが、クリスチャンにはそれよりずっと長く感じられた。彼女の顔色は前よりもさらに悪く、目の縁がピンク色に染まり、口のまわりが赤くなっていた。
 オリヴィアは具合が悪かったのだ、とクリスチャンは悟った。ルイスの事故でこんなにも動揺していたとは。クリスチャンは彼女を気遣わしげに見つめた。「大丈夫かい?」
 大丈夫ではなかった。しかし、気丈にもオリヴィアはしっかりしたふりを装った。「きっと何か悪いものを食べたのね。それにルイスの様子にショックを受けたから。まさか首に固定具を装着しているとは思わなかったわ」
「傷の悪化を防ぐために、首を固定しておく必要があるらしい。背骨は折れていないと言っただろう」
「それでも……」
「オリヴィア、ルイスには体の麻痺はない。確かに今は腰の具合がはかばかしくないだろう。だが、じきによくなる。サンフランシスコで診てもらった医者の話では、ルイスはとても幸運だったらしい」
 オリヴィアは唇を噛んだ。「ルイスは、痛みはあまりないと言っていたわ」
 彼女の言葉に、クリスチャンはうなずいた。「手術の必要はないそうだ。交通事故の場合、体内に損傷が生じる可能性がある。でもルイスには内出血がまったくなかった」
「不幸中の幸いね」
「まったくだ。数週間おとなしくしていれば、ちゃんと立てるようになる」
「そう思う?」
「ああ」
 オリヴィアは頭を振った。「ありがたいわ。もしも……」
「オリヴィア、もしもなんて言いだしたらきりがない。もしルイスがあんなにスピードを出していなかったら? もしルイスがあの高速道路を走っていなかったら? でも、彼はスピードを出していたし、あの高速道路を走っていた。そして事故が起こった。だったら、できるだけ彼が立ち直りやすくしてやるのが、ぼくたちの務めじゃないか?」
 オリヴィアは冷ややかにきき返した。「“ぼくたち”?」
「そうだ。カフェテリアに戻って座らないか?」
「あそこはいや。階上に戻りましょう。ルイスが診察から戻っているかもしれないわ」オリヴィアはカフェテリアに背を向けた。
「いや、まだだろう」否定したあとで、クリスチャンは懇願するような口調で言い添えた。「オリヴィア、少し話そう。待合室かどこかで。面会者用の部屋があるはずだ」
 クリスチャンにはオリヴィアが迷っているように見えた。
「いいわ」オリヴィアの返事はクリスチャンの予想とは逆だった。「どんなふうに事故が起きたのか、どういうわけであなたに連絡がいったのか、教えてちょうだい」
 クリスチャンの口もとがこわばった。ああ、そういうことか、と納得すると同時に、彼の心は沈んだ。オリヴィアにとってはそれが最大の関心事で、事故の何カ月も前にあった出来事や、その始末をどうつけるかは問題ではない。クリスチャンとは必要最低限の話しかしないつもりなのだ。
 二人はエレベーターではなく、階段を使った。オリヴィアは、消毒剤や薬の匂いが充満した狭い箱に閉じこめられたくない様子だった。
 二階の待合室はルイスの部屋の近くだった。クリスチャンは部屋に誰もいないのを見てほっとした。一方のオリヴィアはあまりうれしそうではなかった。
 部屋の隅にコーヒーの自動販売機があり、クリスチャンは腰を下ろす前に、湯気の立つ飲み物を二つのカップに入れてきた。オリヴィアは肘掛け椅子に座り、クリスチャンはその向かいのソファに座った。彼はカップをテーブルに置くと、太腿に肘をかけ、脚の間に両手をだらりと下げた。
 オリヴィアがクリスチャンを見るのを避けていることに、彼はいやでも気づいた。彼女は軽く頭を下げて感謝の意を示し、コーヒーをひと口飲んだ。それからカップを両手で持ったまま、クリスチャンが存在しないかのように考え事にふけっている。彼女が考えているのはルイスのことだけなのだろうか、とクリスチャンは思いを巡らした。
 だが、今はあえてオリヴィアにきかず、彼は気持ちを切り替えて口を開いた。「まず決めなければならないのは、ルイスが退院したあと、どこで療養するかだ」
 彼の言葉はオリヴィアの注意を引いた。淡い灰色の目でクリスチャンを見つめる。「どこで療養するかですって? そんなことを決めるのはまだ早いんじゃないかしら? どれくらい入院するかもわからない段階なのに」
 クリスチャンはカップを口に運んだ。もう少し薄ければ、おいしいコーヒーだ。「あまり長くはないだろう。手術の必要のない患者はできる限り早く退院させるのが今や常識だ。医師は家で治療を続けるように勧めるだろう」
「家で? でも……ルイスのアパートメントはバークリーにあるのよ。彼の世話をする人などひとりもいないわ」
 クリスチャンはカップを置き、オリヴィアをじっと見た。「バル・ハーバーの家で彼の面倒を見るというのはどうかな? 西海岸へ行く前は、ルイスだってあの家で暮らしていたんだし。きみがマイアミを離れる決心をしたのはわかっている。だからといって、帰れないわけじゃないだろう」


*この続きは製品版でお楽しみください。

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