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不埒な再会愛〜強引侯爵は初恋を手放さない〜

不埒な再会愛〜強引侯爵は初恋を手放さない〜


発行: ヴァニラ文庫
シリーズ: ヴァニラ文庫
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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解説

俺だけに聞かせてくれ、その甘い声を
秘密を抱えた侯爵との恋が燃え上がり!?

主人夫妻の遺児を育てるため故郷に帰ってきたジーナは、五年前に別れたジャイルズと再会した。かつては互いに隠し事をしたまますれ違ってしまったが、ジャイルズは再会を運命とばかりにジーナを誘惑してくる。「俺を好きなら触れさせてくれ」ジャイルズの甘美な愛撫に抗えず、燻っていた恋情が煽られていく。しかし、彼の真意が見えなくて……!?

※こちらの作品にはイラストが収録されています。
 尚、イラストは紙書籍と電子版で異なる場合がございます。ご了承ください。

抄録

「ジャイルズ、果物屋さんに急ぎましょう。最近店じまいが早いから」
「そうか、分かった」
 不意に手を取られて、ジャイルズの胸が跳ねた。
 仕事一筋で、自分の気持ちを受け止めきれない。
 自分がこんなに動揺するなんてあり得るのかと時々思いながらジーナの後を追う。
「果物屋さん。最近チンピラにひどい目にあったのよ。果物をぐちゃぐちゃにされてね。だから仕方がないわよね」
「そう……だな」
(そのチンピラ、二度目はないからな)
 そんなことを思いつつ、腕を引かれて店に到着すると案の定、品揃えも悪かった。
 ジーナが落胆し、肩を落としながら物色し始める。
 ジャイルズが声を掛けようとするが、店主も元気がなくジーナが帰り次第店仕舞いをしそうだ。
(余計なことはしたくないが)
「どんな奴に襲われた? 見た目は覚えているか?」
 ジャイルズがそっと言うと、店主はぼそぼそと特徴を言い出す。
『大柄な男』『声が大きい』『三人組』と派手な特徴は言わなかったが、拳銃で脅されたと聞いて、ジャイルズは自分を罠にはめたチンピラの仲間かもしれないと察した。
(力になりたいが、報復をするかもしれない……。そうすれば、店も開けなくなる)
「戸締まりをしっかりするように。店も早仕舞いがいいだろう」
 ジャイルズがそう言うと、ジーナが「ええ?」と不服な声を上げる。
「仕方がない。ジーナ」
「分かったわ」
 優しく笑みを返されると、ジャイルズも同じように微笑んだ。
 そうして目当ての店を全て回るが、ジャイルズのめぼしい情報は手に入ることはなかった。
 代わりにジーナの魅力を知るばかりで、目で追ってしまう。
 街の男もジーナを好きだと思うと余計に独占したくなった。
「見て、ジャイルズ、夕陽がきれいよ」
 ジーナが微笑んで水平線に沈む太陽を指差す。
 翌日には、ホワイトロー伯爵の言いつけで浜辺の散策をし、彼女の魅力にすっかり参ってしまった。
 トーマスのことも常に頭にあったが、ジーナと歩きながら散策すると浮かれてしまい、正気に戻れと自分を叱咤したが、とても無理だった。
 ここ数日、トーマスの動きも分からずじまいで、王都からの連絡もない。
 イーグル国は見た目は大きな変化もなく、治安が悪くなると噂があるのに各地の貴族が楽しげに浜辺を歩いていた。
 内乱の気配があるといっても自国のことでないから、他人事なのだろう。
 今日もホワイトロー伯爵に言われるまま、ジーナを連れて夕暮れに出かけることになったのだ。
 遅い時間は街の治安も悪くなり危なくなると言えば、「君が必ず守るだろう?」と伯爵に当然のように言われてしまう。
 伯爵の邸宅に滞在してすでに三日目になる。
 自分はラシュフォード家の人間でイーグル国に遊びに来た、それしか言わなかったのだが、追い出される素振りすらない。
 ジャイルズのほうも、なにかと行動を共にすることで、ますますジーナへの想いを募らせてしまった。
(ホワイトロー伯爵には、全て見抜かれているのか)
 そんな想いを抱きながら、ジーナが隣を歩くだけで鼓動は早まるばかりだった。
「きゃっ」
「危ない」
 砂に足を取られつつ、ゆっくりと歩くと不意にジーナが足をよろめかせる。
 腰を支えると、そのままジーナと見つめ合ってしまった。
「…………」
 長い睫毛と透き通る青い瞳が、真っ直ぐにジャイルズを見ている。
 ジャイルズは思わず唾を呑み込んで口を開いた。
「ここで愛を誓うと、幸せになれるというジンクスは知っている?」
「……はい」
 長い睫毛がぴくんと揺れ、目が潤んでいく。
 ジャイルズはどんな諜報活動のときよりも緊張しながら、ジーナの腰を思い切って引き寄せた。
「好きだよ、ジーナ。知り合ってからわずかな時間だけれど、君を守りたいと思った」
 不意にうつむかれて、ジャイルズは困惑した。
 しかし、安心したように腕の中に収まっている彼女を思うと、期待してしまう。
「私も、初めて会ったときから、好き……。ジャ……イルズ……」
 小さな口がゆっくりと『好き』と言ったとき、ジャイルズはたまらずにキスをしていた。
 好きな女性にキスをしたのは初めてで、小柄なジーナは少し背伸びをしているようだった。
 慌ててかがんで唇を啄んだ。
 ピンク色の唇は少しひんやりしていて、わずかに震えていた。
 ジーナからバラの香りがしてきて、思い切り深呼吸したくなる。
 顔を離しておでこをくっつけ、ジーナを見つめた。
 頬を染め上げて、上目で見つめられると理性が吹き飛びそうになる。
 しかしここは浜辺で、ジーナやホワイトロー伯爵からはかくまわれているような状態だ。
 強引に抱くなど到底できない。
 しかも、自分のことを何も話していないのだから。
「ジーナ。愛してる。結婚してほしい」
「ジャイルズ……。私たち、会ってまだ間もないのよ? どうしたの?」
「この浜辺で愛を誓うと、必ず幸せになれるんだろう?」
「でも……」
「嫌だったかな」
「ううん。ありがとう、ジャイルズ。ずっと傍にいてほしいと思っていたの。だから、凄く嬉しい」
 すると、みるみるとジーナの目に涙が堪り始めてぽろりとこぼれる。
 泣き出すとは予想外で、ジャイルズは慌てて指先で拭う。
 ジーナもハンカチを取り出し目尻を押えると、そっと離れて優しく微笑んだ。
「両想いだったのね」
 くすくすと笑いながら夕陽に照らされるジーナは、女神のように綺麗だった。


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