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和書>小説・ノンフィクションハーレクインハーレクイン・ヒストリカル

幸せを運ぶ求婚者

幸せを運ぶ求婚者


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ヒストリカル
価格:700pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 エリザベス・ロールズ(Elizabeth Rolls)
 イギリスのケント生まれ。父の都合で幼少期を過ごしたオーストラリアのメルボルン、パプア・ニューギニアの生活が執筆に興味を抱くきっかけとなった。ニューサウスウェールズ大学では音楽学を専攻し、音楽教師も経験。現在はメルボルンで夫と犬、猫と暮らしている。

解説

 シーアは婚約者の死後社交界を去り、ひっそりと暮らしていたが、突然、ロンドンの父に呼び戻された。伯父の莫大な遺産を相続することになった彼女を父は有力者と結婚させる腹づもりらしい。仕方なく社交界に戻るやいなや、求婚が殺到。だがシーアは、誰の求婚も受けないと固く心に決めていた。リチャードはシーアの変貌ぶりに目をみはった。結婚を促す叔母の計略により再会した彼女には可憐で屈託なかった少女の面影はまるでない。いったい、彼女の身に何が起きたのだ?
 ★苦々しい過去の秘密。けれどその秘密こそが幸福な未来への扉を開ける鍵となり……。HS−299『誇り高き愛人』に登場した伯爵の弟リチャードの気高き決断に胸を打たれます。★

抄録

「どこへ座るの?」シーアは尋ねた。
「座る? ぼくたちはダンスをするんだよ」
「ダンス?」
「もちろんさ! きみが座っていたいなら別だが」
 シーアの体をショックが走った。リチャードが踊りたがっている? 本気なの?
 踊らないほうが安全だ。リチャードを強烈に意識しているだけになおさら。彼の腕に抱かれ、楽曲のきらめきに包まれたら、ますますくらくらしてしまう。シーアを見つめる彼の瞳が急に輝いている。
 シーアは踊るつもりなどなかった。リチャードが踊りたがるなんて思ってもみなかった。
 でも、リチャードと踊ってなにが悪いのだろう。どんな男性よりも打ち解けられる相手ではないか。シーアはシャンパンを飲み干し微笑んだ。「喜んでお相手するわ、リチャード」
 リチャードはシーアのからのグラスを取ると、自分のグラスとともに従僕に渡した。それから、とびきりの笑顔を浮かべて、再びシーアに腕を差し出した。「では、ふたりでダンスを」彼は彼女をダンスフロアへ、ワルツへと導いた。

 これからどうなるのか、シーアには見当がつかなかった。恐怖や嫌悪は感じないだろう。リチャードにそんな思いを抱いたことはない。でも、いつもの震えは……。シーアは近づいてくる相手と距離を置く術《すべ》を身につけてきた。扇を巧みに使って、相手を遠ざけた。特にダンヘイヴンは。そして今……。
 今、シーアはリチャードの腕に抱かれ、少し足を引きずる彼にステップを合わせて踊っている。不必要な扇は手首にぶら下がっていて、彼女が感じるのは自分を包み込む体のぬくもりだけ。まさか、こんなふうになるなんて。
 たくましい腕に支えられ、音楽に乗って踊る中で、シーアはリチャードの力強さ、男らしさを強烈に意識していた。胸にわき上がってくるのは喜びだけ、彼のダンスの相手に選ばれたうれしさだけだ。彼女は八年ぶりに生き返った思いがした。
 改めてリチャードの顔を見つめてみる。彫りの深い顔立ちに黒い眉、濃い茶色の瞳。とても懐かしく、それでいて新鮮だ。新しいしわは、たぶん苦悩によって刻まれたものだろう。そして単純に、彼も年を取ったのだ。より成熟したのだ。近づきがたいと感じる者もいるかもしれないが、微笑めば表情は一変する。そして今、彼は微笑んでいる。彼女を腕に抱くのが楽しくてたまらないというように。彼女も胸をときめかせ、微笑みを返していた。

 こんなはずではなかった。少なくともリチャードの記憶にあるかぎりは。踊ること自体久しぶりだし、ましてやワルツとなると……。実際、シーアは彼とワルツを踊ったことがある数少ない女性だった。
 リチャードのステップは相変わらずぎこちない。それは変わっていなかった。ショックだったのは、ほっそりとしたシーアを腕に抱く喜びが、脚の痛みを完全に上まわっていたことだ。さらに、青い瞳にかすかに紅潮した頬、少し開いた唇を見下ろせば、痛みなど忘れてしまいそうになる。
 すると、シーアも微笑みを返してきた。おずおずとした自信なげな微笑み。リチャードは息をのんだ。ダンスの相手を連れ去り、われを忘れてキスをしたいなどという衝動に駆られるのは、生まれて初めてだ。完全にこの衝動に屈してしまえば、人前にいることすら忘れてしまうかもしれない。
 音楽は麻薬だ。リチャードはこんなに強烈に女性を意識したことはなかった。全身の血が騒ぐ。シーアの間近にいて、彼女の花のような香りを吸い、柔らかな息づかいを聞いていると……。ダンスの相手を引き寄せ、腿と腿を触れ合わせ、胸と胸を合わせたくなるなんて初めてだ。彼は体をこわばらせ、衝動に耐えた。

*この続きは製品版でお楽しみください。

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