マイリストに追加

和書>小説・ノンフィクション恋愛小説ラブストーリー上司

次期社長に再会したら溺愛されてます

次期社長に再会したら溺愛されてます


発行: マーマレード文庫
シリーズ: マーマレード文庫
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
みんなの評価 ★★★★★1
◆レビューを書く

¥0サンプル
XMDFのファイルをご覧になるにはブンコビューア最新版(無料)をインストールしてください。

「書籍ファイルが壊れています」と表示される場合は、ブンコビューアを最新版にアップデートしてください。
購入する


解説

再会した彼は、社内で噂のエリート常務
「誰にも渡したくないんだ」甘すぎる独占愛

大手化粧品会社のデザイン部に入社した麻衣子は、噂のイケメン常務が、初恋の人・京一と知って驚く。まさか、彼がこの会社の御曹司だったなんて!住む世界が違うと距離を置く麻衣子に京一は「もう我慢はしない」と甘いキスで翻弄してくる。戸惑う麻衣子だが、内緒で付き合うことに。けれど、社内で京一の元恋人との結婚の噂を聞いてしまい……!?

抄録

「彼氏にでも呼ばれた?」
「えっ……。ち、違うけど」
 初めて聞く冷やかな声に、ドキリと肝を冷やす。そんな冷淡な声も出すんだと一驚した。
「ふうん。ねえ、麻衣子は彼氏いるの?」
「……いない、よ」
 淡々と質問を重ねられ、どぎまぎとする。京ちゃんの一変した様子に固まってしまった。彼は私の硬直した右手に、スッと左手を重ねた。このままだと、シートベルトを外すことなんてできない。
 手を振り払ってまで逃げ出そうとは思っていないけれど、この状態が続くのもつらい。どうにかこの場の空気を変えられないかと思った直後……。
「そう。それはよかった」
 京ちゃんの柔らかな声が静かな車内に響く。
 今の……「よかった」ってどういう意味?
 心拍数が増す。もう一度、頭の中で会話の流れを確かめている間に、彼は続ける。
「奪うところから始めるとなると、ちょっと強引になるかもと思っていたしね」
「え?」
 待って。京ちゃんの言葉の意図がわからない。今のセリフだと、まるで京ちゃんが私を欲しているみたいに思える……。私が額面通り受け取ったらどうするつもり?
 戸惑いを隠せず、いつの間にかずっと京ちゃんを見ていた。でも、顔を見たところで真意までわからない。京ちゃんは狼狽える私に構わず、膝の上にあった携帯を目で示す。
「ああ、そうだ。あとで麻衣子の連絡先教えて」
 飄々としていて、掴みどころがない。私を食事に連れて行ってくれたり、連絡先を求めたりするのは幼馴染みの範囲としてじゃないの?
 京ちゃんの言葉が、頭の中を何度も巡る。
 本心では期待しそうになっている。私はそれを必死に否定した。なぜなら、幼馴染みである時間しか経験がないから。学生時代、六歳年上の彼は別次元の人で、私なんて恋愛対象になんて見てもらえるわけがないと思っていた。私の中には、その観念が未だに残っている。
 時間が経つにつれ、いっそうさっきの言動は幻のように感じられた。
 あとひとつ角を曲がれば私の家。早く着いてほしいような、まだ着いてほしくないような微妙な気持ちに捕われる。私の心が揺れている間にも、京ちゃんは迷う様子もなく私の家の前で停車させた。
「あ、ありがとう」
「マイ。忘れてる」
 車から降りようとしたら、手首を握られる。京ちゃんは、スーツのポケットから携帯を取り出して見せた。
 不意打ちの『マイ』という呼び方に心を乱されてしまった。たった一文字省略されて呼ばれただけなのに、なんでこんなに特別感を抱くんだろう。
 私は胸が高鳴っているのを隠し、なるべく冷静に答える。
「ごめんなさい。ええと……メッセージアプリってやってる? それなら、そっちのほうがいい?」
「そうだな。これが俺のID」
 スッと無駄のない操作で出されたIDを読み込み、登録完了の音を確認する。今度は「番号はこれ」と数字が羅列されている画面を出された。私は緊張で指を彷徨わせながら、なんとか登録を終えた。彼は、今私が入力したばかりの≪京ちゃん≫という文字を見てぽつりと言った。
「さっき、一度だけまともに俺を呼んでくれたね」
「えっ?」
 携帯から顔を上げて、京ちゃんの近さに驚いた。至近距離で私を見つめる双眸から目が離せない。
 彼はゆっくりと口を開く。
「“京ちゃん”って」
 京ちゃんの低く艶やかな声に、ぞくっと甘い電流が背筋を駆け抜けていった。胸の奥に火が灯され、瞬く間に頭からつま先まで熱くなる感覚に襲われる。
「あ……。なんか、この歳になってそういう呼び方は子どもっぽいよね」
 必死に平静を装う。京ちゃんの目に、私がどう映っているかはわからない。しどろもどろになって、明らかに動揺していると気づかれているかもしれない。
 いろんなことが相まって、私の心臓の鼓動は今日一番の激しさをみせる。
「俺は気にしないけれど。じゃあ、変えてみる?」
 京ちゃんは薄い唇に弧を描き、光を浮かべる目を細める。そして、口元に軽く握った手を添え、クスリと小さく笑いをこぼした。彼の動作や息遣いなど、すべて濃艶で酔わされる。
 私はどうにか、震える声をごまかして問いかけた。
「か、変えるって……?」
 刹那、口元にあった彼の右手が、スッと私の左頬を掠めていく。しなやかな指は私の髪を梳くようにして、そっと側頭部を包み込んだ。そうして、私の頭をクイッと動かし、右耳に唇を寄せる。
「“京一”──とかね」
 耳孔に直接吹き込まれた音は、これまで拾っていた音に比べ遥かに甘やかだ。どこか蜜を含んでいる濃厚な声。私は肩を小さく震わせ、瞼をきゅっと閉じた。
 またなにか囁かれたのなら、きっと私は甘い息を漏らしてしまう。
 不安を感じていると、京ちゃんはこれまで同様、私の頭の上に軽くポンと手を置いた。私は弾かれるように目を開く。
「おやすみ。また」
 私の瞳いっぱいに映る京ちゃんは、昔と変わらぬ笑顔に戻っていた。


*この続きは製品版でお楽しみください。

本の情報

形式

【XMDF形式】

XMDFデータをご覧いただくためには専用のブラウザソフト・ブンコビューア最新版(無料)が必要になります。ブンコビューアは【ここ】から無料でダウンロードできます。
詳しくはXMDF形式の詳細説明をご覧下さい。

対応端末欄に「ソニー“Reader”」と表示されている作品については、eBook Transfer for Readerで“Reader”にファイルを転送する事で閲覧できます。
海外版の“Reader”は対応しておりませんので予めご了承くださいませ。

【MEDUSA形式】
MEDUSA形式の作品はブラウザですぐに開いて読むことができます。パソコン、スマートフォン、タブレット端末などで読むことができます。作品はクラウド上に保存されているためファイル管理の手間は必要ありません。閲覧開始時はネットに接続している必要があります。

詳細はMEDUSA形式の詳細説明をご覧下さい。