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和書>小説・ノンフィクションハーレクインハーレクイン・ディザイア

家なきナニーの子守歌

家なきナニーの子守歌


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ディザイア
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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解説

住みこみのナニーにすぎない私が、特権階級の大富豪に愛されることはない。

ある日、テイトはしばらく音信不通の姉キャリーに突然呼び出された。ところが出向いた店に姉の姿はなく、女の赤ちゃんが残されていた。なんてことなの!また、わが子を置き去りにするなんて……。4年前、キャリーは大富豪のリンク・バランタインと婚約し、彼の息子を産んだものの、結婚式の直前に逃げ出したのだった。テイトは途方に暮れ、息子を引きとって育てているリンクに連絡した。そして赤ちゃんとともに彼の豪邸を訪れて事情を説明したところ、思いもかけなかった話を持ちかけられる。「僕の息子には今すぐナニーが必要だ。赤ん坊と一緒に面倒をみてくれ」子供を見捨てられないテイトは彼と同じ屋根の下で暮らすほかなく……。

■人気急上昇中の作家ジョス・ウッドの新作をお届けします。姉が置き去りにした赤ちゃんを抱えて途方に暮れるテイトは、やむなくリンクの豪邸で暮らし始めますが、超セクシーな彼に魅了され……。本作は『なくした記憶と愛しい天使』の関連作になっています。

抄録

「ごめん、脅かすつもりはなかったんだ」彼は身をかがめてテイトのかかとを見ると、刺さったガラスの破片を見て顔をしかめた。「引き抜けるかい?」
 テイトは手早く破片を抜き、かかとを下ろした。
「気をつけて」リンクが警告する。「そこらじゅうにガラスがある」
「ごめんなさい。グラスを弁償するわ」
 リンクは眉をひそめた。「たかがグラスだ。気を楽にして、座っていて。僕が片づける」
「でも……」
「僕は靴をはいてる。君ははいてない」リンクは背を向けてキッチンの奥の広い家事室へ入っていき、ほうきとちりとりを持って戻ってきた。ほどなくガラスの破片を掃き取り、ミルクを拭き取ると、冷蔵庫から出したボトルの水をいっきに飲んだ。
「ふだんから夜中にワークアウトするの?」テイトは重苦しい沈黙を破ろうとして尋ねた。
 リンクは厚く広い肩を一方だけ引き上げた。あの薄く広がる胸毛に手を滑らせたらどんな感触だろう。「ワークアウトは毎日している。めちゃくちゃ忙しいときはワークアウトもめちゃくちゃな時間になる」リンクはテーブルの上のベビーモニターに向かって首を傾けた。「あっさり寝てくれたかい?」
 テイトは首を振った。「あんまり。抱っこして揺らさないと眠らなかったわ」彼の険しい目を無理に見る。「たぶんキャリーが恋しいのよ」
 リンクは身をかがめ、むっつりした顔で、キッチンの御影石のアイランドに肘から先をのせた。「で、どうするか決めた?」
「エリーのことなら、まだ考え中よ。法的なアドバイスを受けてから先に進むつもり」
「僕の探偵と話してみるかい?」リンクはキッチンカウンターに寄りかかり、足首を重ねた。両手で背後の御影石の天板を握ると、筋肉がふくらんで張りつめた。前腕や二の腕に、蛇のような血管が浮き出るのは、そうとう鍛えている証拠だ。
 集中しなさい、ハーパー!
 貫くような険しい視線にさらされ、テイトはもじもじした。私の優柔不断にいらついているのを感じる。彼は答えを、当面の行動プランを求めている。それがCEOのやり方なのだろう。
 でも今回は彼の会社の話ではない。私とエリーの人生の話だ。これでいいと思える決断をするために、いくらでも時間をかけるつもりだ。朝になったら私たちはここを去る。彼が気にすることではない。
 でも彼は親切にも、今夜ここに泊めてくれた。短い説明くらいするべきかもしれない。
「いろいろ葛藤があって途方にくれているの。起こっていることを処理する時間が必要なのよ」テイトは正直に言い、立ち上がって彼に近づいた。短い説明はどこへやら、口から言葉が転がりだしていく。「自分が赤ちゃんの面倒をみられないのはわかっているし、エリーのことで何かを決める責任は負いたくないの。二カ月後にはまた旅に出るから。赤ちゃんを連れてはいけないわ。エリーはキャリーの娘であって私の娘じゃない。たしかにかわいいし、おとなしくていい子だけど、私は母親向きじゃないの」
 子どもを持つというのは究極の献身であり、エリーを手元に置くなど論外だ。それに、子どもはつねに母親といたほうがいいと昔から言われている。だからエリーをキャリーのもとへ返すのが最終目標だ。
「その抜群のボディとゴージャスな髪のほか、その点も姉さんと共通の特徴のようだ」
 彼の言葉は毒矢となってテイトの心臓に突き刺さった。キャリーとはぜんぜん似ていないと言い返したかった。私は無責任でも身勝手でもない。でも何を言っても信用してもらえないのは、彼の目に浮かぶ疑念を見てわかった。
 でも試してみなければ。自分を家族の名で判断されたくない。私は彼が思うよりましな人間だ。「私とキャリーは姉妹じゃないわ」
 リンクはその言葉を認めなかった。テイトの憤慨した顔を見据える彼の目が、御影石の色からスモークグレーに変わるのが見えた。こちらをじっくり鑑賞する男の熱いまなざし。あれは私の精神や個性ではなく、Tシャツの中身にしか興味がないということだ。
 私が彼の体に惹かれるのと同じくらい、彼も私の体に惹かれている。ああもう、そんなことを考えて、私はどうするつもり?
 賢い反応は、この場を去ることだ。彼に背を向け、大急ぎでキッチンを出て階段を上がる。賢い行動をしたい。本当に。でもそれ以上に、彼を味わいたい。彼の裸の胸にこの胸を押しつけたい。汗ばんだ肌をこの手に感じたい。彼を吸いこみ、むさぼり……。
 よくわからない悪態がリンクの口から飛びだした。彼は手を突きだし、テイトの手首をつかんだ。テイトは強く引き寄せられ、腰のあたりが彼の興奮のしるしにぶつかった。ああ、すごい。彼は身をかがめてテイトの口を口で覆った。
 吸いつきもせず、じらしもせずに、いきなり舌が差しこまれ、テイトの舌にからまり、あおってきた。テイトも舌を巻きつけて無言のあおりに応えた。


*この続きは製品版でお楽しみください。

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