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バハマの光と影【ハーレクイン・ディザイア傑作選】

バハマの光と影【ハーレクイン・ディザイア傑作選】


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ディザイアハーレクイン・ディザイア傑作選
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 ダイアナ・パーマー(Diana Palmer)
 シリーズロマンスの世界で今もっとも売れている作家の一人。総発行部数は4200万部を超え、ニューヨークタイムズを含む各紙のベストセラーリストにもたびたび登場。かつて新聞記者として締め切りに追われる多忙な毎日を経験したことから、今も精力的に執筆を続けている。ジョージア州在住。大の親日家で、日本の言葉と文化を学んでいる。家族は夫と息子の三人。

解説

愛は光、悲しみは影。私の愛で彼の心を照らせるなら……。

1年前、信じていた人に裏切られて傷ついたニッキは、心の傷を癒やすためカリブ海の島へやってきた。浜辺で物思いに耽るニッキを、じっと見つめる男が一人――先ほどホテルで会った、尊大な雰囲気漂う彼は、冷たい瞳で彼女を隅々まで見回すと、表情一つ変えずに立ち去った。いけない、彼の豹のような獰猛さと美しさに魅せられてしまいそう。ニッキは怖ろしさと同時に、ときめきにも似た感情に身を震わせた。だがほどなく、人も愛も信じられなくなっていた彼女は、その男、大実業家キャルことキャラウェイ・スティールの大人の色香と恋の魔術に溺れることになるのだった……。

■ニッキはまだ知らないけれど、キャルもまた悲しい過去を抱え生きてきました。会うたびに恋心を募らせるニッキですが、彼から突然、「ぼくと恋をしないか?」という思いがけない提案を受けた彼女の決断は?ダイアナ・ブレイン名義で発表された幻の名作の復刊!

抄録

「ごらんなさい! あれは戦艦じゃないかしら?」
 目を丸くして夢中になっている彼女につられて、彼もそちらを見る。フランスの国旗を掲げた灰色の船が、プリンス・ジョージ埠頭に入ってくるところだった。
「護衛艦だ。フランス海軍の」
「港って大好き。こうして船が出たり入ったりするのを眺めているだけでも、わくわくしてしまうわ。それに、あのちっぽけなタグボートの動きったら……」おもしろそうにニコルは笑った。
「君はなんにでもこんなに熱中するタイプなのかい?」男は眉をひそめて尋ねた。
「だって、何もかも初めてなんですもの。人も環境も珍しいことだらけ。わくわくせずにはいられないわ。外国へ来たのは初めてなの」
 彼は肩をすくめて窓の外を見た。「ぼくは少なくとも十回以上ここに来ている。ある一つの町のあるホテルにすぎないな、ぼくには」
「それがいけない点じゃないかしら。あなたは慣れすぎているのよ。なんでも当たり前だと思っているんだわ。生まれた土地から一歩も出たことのない人が、世界中にどれくらいいるかおわかりかしら? 飛行機に乗ったことのない人だって何百人もいるわ」
「その人たちは別に損はしていないよ」と彼は不平そうな顔をした。「座席は窮屈だし、食べ物はひどいし……」
「私は足をのびのび伸ばせたわ。お食事もおいしかったし、みんなも親切で……」
「おいおい、助けてくれよ。ぼくは君を食事に招いたんだぜ。説教されるためじゃない」
「あなたがずっとひとりぼっちだったわけが読めてきたの」料理が運ばれてきた。ニコルの蛤料理と、男が注文したえびのテルミドール。彼女はウェイトレスににっこりしてから、また矛先を彼に向けた。「あなたは人間嫌い。そうなんでしょう?」
 男の目が冷ややかになって、「ああ」と答える。
 ニコルはエメラルド色の瞳で、テーブルの向こうの彼の目を探る。「私たちみんな同じなのね。寂しがり屋で怖がりで、いらいらしたり不安だったり……」
「ぼくは怖がったりはしない。いらいらしたこともないな。不安なままで今日のこの地位までたどりついたわけじゃない」
「もっと穏やかになれば……」と言ってから、揚げたての蛤のフライをかむために言葉を切った。「まあ、おいしい」とひとり言を言ってからまた続ける。「みんなもあなたが好きになってよ」
「好きになんてなってほしくないね」男はえびの味見をして、眉をひそめた。「こいつを床に投げてやったら、跳ね上がってくること請け合いだ」
「故郷では、みんな豚の頬肉だのコーン・ブレッドだのを食べているのに、あなたはえびにまで文句を言って……」ニコルはため息をついた。
 フォークを持つ手を途中で止めて、男は目をぱちぱちさせた。「豚のなんだって?」
「頬肉よ。脂肪なの。えびなんかとても手が出ない人たちが食べるのよ」
「食べたことあるの?」
 ニコルの顔がこわばった。蛤をフォークで口に運んで、「これ、本当においしいわ」と話題をそらす。
「特産なんだよ」と言いながら、男はニコルが本論に戻るのを待っている。
 彼女は肩をすくめた。「家が貧しかったの。私、思い出したくないわ。だれかに話したくもないの」
「ぜひ聞きたいな」ブラック・コーヒーをすすって、彼は言った。カップをもてあそんでいる手の甲には、黒い毛が深々と生えている。白いシャツの胸もとからのぞいている胸毛も黒かった。どことなく、感じやすい人という印象を受ける。女性についてはどうなのかしら。冷やしたワイングラスみたいに冷たいし、こんなに強情ではとても女たらしに見えないわ。きっと孤独な人なのだろう……。
「ここにはおひとりで?」だしぬけにニコルがきく。
「ひとりだ」ぶっきらぼうな答えだ。
 ニコルはテーブルクロスに目を落とした。「結婚していらっしゃるの?」
 彼は鋭い目になった。「妻とは死に別れた」
「ごめんなさい」ニコルはコーヒーにまたクリームを入れ、フレンチフライをつまんだ。「もう、部屋に戻らなくちゃ、暗くなってきたわ」
「日が暮れると、君は銅像かなんかに変わってしまうのかい?」
「あら、そうじゃないけど」ニコルはナプキンで口をふいて、コーヒーを飲みほした。「ただ、夜ひとりで出歩くのはいやなの。危険がいっぱいですもの。鮫だの、人喰い花だの、いじわるな椰子の木だの」そう言いながらおびえたように身震いをする。ショールを肩にかけて、伝票を取り上げた時、ふたりの目が合った。「ごいっしょしてくださってありがとう。またお会いしましょう」
「巡洋艦を夜、見たことあるかい?」
 彼女は見たそうな顔で首を振った。「明かりがいっぱいつくんでしょう?」
「浜から見ると、なかなかの眺めだよ。よかったら見に行こうか」男は立ち上がると、ニコルの手から伝票をぱっと取って、レジの方へ歩きだした。
「それはいけないわ……」後ろから彼女が言ったが、その言葉が終わらないうちに、男は勘定をすませてしまった。
「南部の女性は、だから好きなんだ」
「え? なんておっしゃったの?」
「君たちが『するな』って言う前に、ぼくのほうがやってしまう。ゆっくりした南部なまりの利点だな、これは」彼は笑いながら横目でこちらを見る。
「それでは、ごちそうさまでした。とにかく今のところは」
「ごちそうのしがいのある人だ」と彼は言った。


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