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ギリシア富豪の花嫁の掟 新妻物語 I

ギリシア富豪の花嫁の掟 新妻物語 I


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・イマージュ新妻物語
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 ケイト・ヒューイット(Kate Hewitt)
 アメリカ、ペンシルバニア州で育つ。大学で演劇を学び、劇場での仕事に就こうと移ったニューヨークで兄の幼なじみと出会い結婚した。その後、イギリスに渡り六年間を過ごす。雑誌に短編を書いたのがきっかけで執筆を始め、長編や連載小説も手がけている。読書、旅行、編みものが趣味。現在はコネチカット州に夫と三人の子供と住む。

解説

甘い蜜月も、結婚も、愛も、刹那の幻にすぎなかった……。

最愛の父の死に打ちひしがれていたリンジーは、五番街を彷徨うなか、ギリシア富豪アントニオスと出会い、めくるめく恋に落ちた。それが、悲劇の始まりだった――夢のような蜜月を経て結婚し、ギリシアでの新婚生活が始まったが、異国の花嫁を待っていたのは、彼女を白眼視する冷たい家族と、慣れない上流社会の洗礼だった。夫は仕事しか愛さず、孤独に耐えかねたリンジーは母国に逃げ帰った。やがて、アントニオスが半年間の沈黙を破り、彼女を連れ戻しに来た。「余命わずかな母のためギリシアに戻れ。これは夫としての命令だ」わたしを愛しているから戻ってほしいわけではないのね……。リンジーは失望しつつも、わずかな愛の残骸にすがり、要求をのんだ。

■涙誘う愛の物語を紡ぎ続ける作家ケイト・ヒューイットの2部作〈新妻物語〉の第1話。リンジーが幸せなシンデレラでいられた時間はあまりに短いものでした。離婚を望むならギリシアへ戻ってこいと主張する夫ですが、彼女が本当に望むのは、彼の深い愛で……。

抄録

「やあ、リンジー」
 たったこれだけの呼びかけに、なぜこうも心が揺さぶられるのかしら? リンジー・ダグラスは内心つぶやいた。ありえないほどの高揚感のあとで、はるかに大きな恐怖がわき起こるのはどうして?
 かつては愛を誓い合い、一生離れないと約束した男性の声に、冷たさがにじんでいた。胸の内側からじわじわと酸でむしばまれるような不安にさいなまれて、ほんのつかのま感じた喜びがはかなくしぼんでいった。
 声の主は、夫のアントニオス・マラカイオスだ。
 リンジーはパソコンの画面から顔を上げた。手は膝の上できつく握られている。職場である大学の研究室に夫が突然やってきたことに困惑しながら問いかけた。「どうやってここに入ったの?」
「警備のことかい?」アントニオスの口調にはかすかに尊大さが感じられた。「きみの夫だと言ったら、警備員が通してくれた」
 リンジーは乾いた唇を舌で湿した。意識を集中させようと必死なのに、頭はまだ混乱している。「警備員の怠慢だわ。正当な理由がないのに、あなたをこの建物に入れるなんて」
「正当な理由がないだと?」アントニオスが眉を上げ、唇をゆがめて冷ややかに言った。「夫が妻の顔を見に来るのは、立派な理由だろう?」
 リンジーは持てる力を振り絞って彼と目を合わせた。「わたしたちの結婚生活は終わったのよ」
「それは百も承知だ。きみが何の前触れもなくぼくの前から姿を消して、すでに六カ月がたった」
 リンジーは心の動揺を抑えつけながら考えた。びくびくすることはないわ。彼との結婚生活にはピリオドを打ったのだから。
 だが今、アントニオスの姿を目の当たりにして、思い出が次々と頭の中に押し寄せた。記憶からすべて消してしまおうと誓っていたはずの情景。ベッドをともにしたあとのアントニオスの抱擁。ほつれ毛をやさしく耳にかけてくれる彼のしぐさ。頬に添えられた手とまぶたに受けたキスの感触。幸せで、なんの不安もなく彼の愛に包まれていた日々。
 だめよ。そんな思い出にひたるよりも、ギリシアにあるマラカイオス家のヴィラで過ごした孤独な三カ月のことを考えなくては。異国での暮らしはわけのわからないことばかりで、悪夢のようにすら感じられたじゃないの。
 毎日どれほど鬱々として過ごし、孤独を噛みしめたことか。しまいには、もう一日たりとも、いえ、一分だっていられないと思うようになるまで追いつめられた。あのつらい記憶をたどるのが先よ。
「なぜあなたがここにいるのか、理解できないわ」リンジーは机に手をついて立ちあがった。夫との二十センチの身長差を埋めるのは不可能でも、せめて少しでもその差を縮めたかった。
 とはいっても、アントニオスを見ているだけで心がざわついた。短く刈りこまれた漆黒の髪、力強さを感じさせる角張った顎、セクシーで魅力的な唇。グレーのシルクで仕立てたスーツの下にある体は、彫刻のように美しく、引きしまっているはずだ。甘く心を震わせる幸せに包まれた七日間の思い出が再び脳裏をよぎった。
 アントニオスが片方の眉を上げた。「ぼくがここに来た理由がわからないだって? 家を空けたまま何カ月も帰ってこない妻を夫がなぜ探しに来たのか、見当がつかないと言いたいのか?」
 彼はわたしを非難している。当然よ。だってわたしは説明もせず、彼に言わせれば“何の前触れもなく”ギリシアを去ったのだから。でも、彼がわたしにそうさせたのよ。彼には決して理解できないし、そもそも理解する気もないでしょうけど。
「あれから六カ月もたったのよ」リンジーは冷静に言った。「その間、あなたは一度も連絡をくれなかった。それなのにわざわざここへ来たなんて、わたしが驚いてもおかしくないでしょう?」
「どうしてあんなことをしたのか、理由をききに来るはずだとは思わなかったのか?」
「理由なら伝えたはず――」
「あんな短いメールでは、理由を述べたことにならない。何の根拠もなく、結婚したのが間違いだったと言い張るのは卑怯だ」そこまで言ってから、アントニオスは片手を上げてリンジーに口をはさませまいとした。当の彼女はどう言い返すべきかわからなかったが。「だが、その点は心配しなくていい。ぼくはきみの言い訳にまるで興味がないから。今となっては、どんな説明を受けようとぼくが満足することはない。きみが何も告げずに夫の前から姿を消したときに、ぼくたちの結婚生活は終わったんだ」
 リンジーの体中をいらだちが駆け巡り、激しい感情が胸にわき起こった。出ていく際に理由をくどくどと説明しなかったのは事実だけれど、それより前にさんざん窮状を訴えていたはずだ。なのに夫はただの一度も耳を貸そうとしなかった。
「ぼくが来たのは」アントニオスはかたくなさを感じさせる冷ややかな声で言った。「きみをギリシアに連れ戻す必要が生じたからだ」
 リンジーは唖然としたが、とっさに首を横に振った。「そんなこと、無理だわ」


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