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純真な悪女【ハーレクイン・セレクト版】

純真な悪女【ハーレクイン・セレクト版】


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・セレクト
価格:500pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 キム・ローレンス(Kim Lawrence)
 イギリスの作家。ウェールズ北西部のアングルジー島の農場に住む。毎日三キロほどのジョギングでリフレッシュし、執筆のインスピレーションを得ている。夫と元気な男の子が二人。それに、いつのまにか居ついたさまざまな動物たちもいる。もともと小説を読むのは好きだが、今では書くことに熱中している。ハッピー・エンディングが大好きだという。

解説

ニーヴは恩人である老富豪の形だけの妻となり、彼を看取った後、まだ十代の反抗的な娘の継母となった。だが世間は“金目当てに老人と結婚した悪女”と責めたてる。いわれなき悪評と娘の反発に憔悴していたニーヴは、ある吹雪の夜、ハンサムなイタリア人実業家、セヴェロ・コンスタンツァと出会う。二人は情熱に流されるまま熱いひとときを過ごすが、翌朝、ニーヴが世間を騒がせている悪名高い未亡人と知るや、セヴェロの表情が一変し、彼は冷たく去っていった。3カ月後、ニーヴは途方に暮れて泣いていた。彼女を金の亡者と信じたセヴェロの子を、身ごもったのだ。

■ドキリとするタイトルのついたこの作品ですが、HQロマンスの人気作家キム・ローレンスは、ピュアで健気なヒロインを描くことに定評があります。情に厚く、反抗的な義理の娘の面倒を懸命に見るヒロインに、幸せは訪れるのでしょうか……?
*本書は、ハーレクイン・ロマンスから既に配信されている作品のハーレクイン・セレクト版となります。 ご購入の際は十分ご注意ください。

抄録

 部屋の向こう側から歩み寄ってくる彼を見るなり、ニーヴはみぞおちのあたりがきゅっと縮まり、心臓が激しく打つのを感じた。服を脱ぐのに彼にためらいがないのは明らかだ。
 彼は濡れた服を、少なくともウエストから下は着替えていた。今彼が着ているのは、裾が短すぎ、ウエストが大きすぎる色あせたジーンズだった。ベルトを締めていないため、ジーンズは腰骨のあたりまでずり下がり、平らな腹部が露出していた。
 ニーヴはおなかの下へ視線を向けまいとした。
 もっとも、視線を向けて安全な場所などなかった。ウエストの上は、首にかけたタオル以外、何も身につけていない。なめらかなブロンズ色の上半身は、広い肩といい、平らな腹部といい、今まで見たこともないほどみごとな筋肉が浮き出ていた。
 どこかほかに目を向けようというニーヴの努力は、引き締まった胸の前に無惨に砕けた。下腹部がうずくのを感じながら、彼女は彼の上半身に目をすえた。
 おずおずと見つめるニーヴと目を合わせながら、セヴェロは抱えてきたタオルの山を椅子の上に置いた。彼の視線が、足首のあたりで固まっている彼女のジーンズに注がれる。
「ときどきは人の厚意を素直に受け取るものだよ、|いとしい人《カーラ》」ニーヴの返事を待たずに彼女の前にひざまずくと、セヴェロは両手を毛布の下に入れ、濡れて重くなったデニムを彼女の足から抜き始めた。
 ニーヴは自分の足もとにうずくまる男性の黒い頭を見下ろした。彼女は息を殺していた。彼が作業を終えて彼女のふくらはぎに片手をかけるまで。その瞬間、自制の糸が切れ、ニーヴは衝撃に耐えられずにさっと脚を引いた。
 悪態をついてセヴェロは言った。「君は氷みたいだ」セヴェロは彼女の足首を、続いてふくらはぎから膝へと、力強くさすり始めた。
「僕が触れているのを感じるか?」
「あまり……」感じなかったらいいのに。そう思いながらニーヴは唇を噛んで嘘をつき、目を閉じた。
 胸の内で渦巻く矛盾した感情にとまどいつつ、ニーヴは考えを巡らせた。なぜこの男性は私を魅了するの? なんらかの理由があるはずよ。
 性的な渇望感や自暴自棄な気分は今の症状と一致するが、実のところ、ニーヴはこれまで強い性的衝動を感じたことがなかった。恋人と呼べる男性がいなかったのは、たぶんそのせいだろう。セックスに関してはほのかに好奇心を抱くのがせいぜいだったので、ことごとく男性の誘いを拒んできた。
 彼の長い指がさらに上に伸びてむきだしの腿にかかると、ニーヴはたじろぎ、鋭く息をのんだ。
 彼が頭を上げ、問いかけるように彼女の顔を見る。
「痛いわ」ニーヴは再び嘘をついた。
「わざと痛くしているんだ。泣き言を言うな」
 元気を出せと言わんばかりの言葉に、ニーヴは唇を引き結んだ。
「血液の循環がよくなるようにしているんだ」
 セヴェロ自身の血の巡りは実に順調だった。
「どちらかにして。あなたはたしか、私に勇敢になってほしくなかったはずよ」
「僕は君に……」顔を上げて彼女の顔に視線を向けたとたん、どう続けていいかわからなくなり、セヴェロは言葉を切った。
 彼の真剣そのものの目は、ニーヴを呆然自失の状態に陥れた。沈黙が流れるなか、彼女は心と体にしみわたる情熱に身をゆだねたくなった。
「数えきれないわよ。私もやってみたの」ニーヴは喉にからまった声でなんとか言葉にしたが、笑みを浮かべるのは難しかった。
 セヴェロが眉根を寄せた。
「私のそばかすの数よ」
 ユーモアで切り抜けようというニーヴのむなしい努力を無視し、セヴェロはタオルをつかみ、それを使ってマッサージを続けた。手よりかなり痛かったが、ニーヴにとっては、肌と肌が触れ合うよりはるかにありがたかった。
 とはいえ、それでもきまりが悪いのは間違いなかった。彼の奉仕は冷静だが、ニーヴの反応は冷静ではなかった。数分間耐えたあと、彼女は出し抜けに言った。「ありがとう。さっきよりずいぶんよくなったわ。ミスター……」この半裸の男性は、私に生涯で最もエロティックな体験をさせた人なのに、名前すら知らないとは!
 彼は手を止め、つかの間ニーヴの顔をうかがった。それからうなずき、流れるような動きで立ちあがった。「セヴェロだ。セヴェロ・コンスタンツァ」
 ニーヴがラテン系の男性に魅力を感じたのはこれが初めてだ。ずっと感じなければよかったのに、と彼女は思った。「雪が降り始める前、イタリア料理のレストランで食事をしたの。そこで会ってはいないわよね?」
 そこでウエイターをしているのかという意味だとセヴェロが気づくまで、しばらく時間がかかった。自分の名前がいつもの反応を引き起こすのではないかと不安だったが、この女性は違った。
 持ち前のユーモアのセンスがセヴェロのなかで再び頭をもたげた。「ああ、会ってはいない」
「私を笑っているの?」
「いや自分を笑ったんだ。僕がどこで自尊心を打ち砕かれたか、記者会見しても信じてもらえるかどうか……」
 ニーヴの眉が上がった。「記者会見?」
 彼は肩をすくめた。「言葉の‘あや’さ」
 いまだ疑わしげに眉をひそめたまま、ニーヴは薪ストーブのそばのアームチェアに両脚をたたんで座り、顎まで毛布を引きあげた。
「何か食べ物と飲み物があるか、見てこよう」セヴェロはキッチンに足を向けた。
 これをくつろいだ雰囲気と呼ぶのは言いすぎだろう。狼も同然の男性と同じ部屋にいたら、くつろげるはずがない。しかし、おなかがすいたのを意識できるくらいに、彼に対するニーヴの反感は間違いなく薄らいでいた。


*この続きは製品版でお楽しみください。

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