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和書>小説・ノンフィクションハーレクインハーレクイン・ロマンス

純潔を買われた朝

純潔を買われた朝


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ロマンス
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 シャロン・ケンドリック(Sharon Kendrick)
 ウエストロンドン生まれ。写真家、看護師、オーストラリアの砂漠での救急車の運転手、改装した二階建てバスで料理をしながらのヨーロッパ巡りなど、多くの職業を経験する。それでも、作家がこれまでで最高の職業だと語る。医師の夫をモデルにすることもある小説のヒーロー作りの合間に、料理や読書、観劇、アメリカのウエストコースト・ミュージック、娘や息子との会話を楽しんでいる。

解説

私を娼婦扱いした残酷な人──まさか彼の子を身ごもるなんて。

タクシー運転手のケーラは、イタリアのホテル業界の大物、マッテオ・ヴァレンティの視察旅行に同道した。途中、天候が急変して車が立ち往生し、やむなく宿を探すが、見つかったのは唯一、小さなB&Bの屋根裏部屋だけだった。嘘でしょう……こんな狭い場所にセクシーな富豪と二人きり?互いの身の上話はやがて熱い囁きに変わり、気づけばケーラは純潔を差しだしていた。だが翌朝、彼は忽然と姿を消した──大金と命の芽をケーラに残して。10カ月後、出産と引き替えに職も住処も失った彼女は、恥を忍んでマッテオに連絡するが……。

■身分違いのマッテオの子を一夜で身ごもり、密かに出産したケーラ。身寄りも職もなく、追いつめられた彼女はマッテオを頼りますが、現れた彼の振る舞いはあまりにも冷たくて……。シャロン・ケンドリック得意の傲慢ヒーローの魅力を存分に味わえる一作です。

抄録

「それで、クリスマスのあいだは何をするんだ?」彼は優しく尋ねた。「お金のことは考えないで、叔母さんと一緒に過ごさなくてもいいとしたら?」
 ケーラは羽毛入りのキルトを顎まで引き上げた。「いくらくらいのお金の話をしているの? 自家用ジェット機でカリブ海まで飛べるくらい?」
「それがきみのわくわくすることなら」
「特にというわけではないけれど」ケーラは部屋の反対側の暗闇で光っている写真のフレームを見つめた。空想して遊ぶのはずいぶん久しぶりだ。しばらくしてから、彼女はようやく話しはじめた。「まずは最高に贅沢なホテルを予約するの。それからテレビを見る。ほら、壁いっぱいの、映画のスクリーンみたいな大画面の。昔のくだらないクリスマス映画をテレビでよくやっているでしょう。わたしは寝転んで、ひとりでアイスクリームとポップコーンをばかみたいに食べるの。泣きすぎないようにね」
 薄いキルトの下で、マッテオの下腹部はこわばったが、それは彼女の物欲しそうな口調のせいだけではなかった。これほど単純な夢を聞いたのは久しぶりだった。ケーラの率直さは実にすがすがしい。彼女のほっそりしたみずみずしい体と、間近で見たときの深い海の色を思わせる濃い青い目と同じように。鼓動が速くなり、再び情熱のあかしがうずいて、下腹部が重くなった。そして突然、暗闇が危険なものと化した。闇は彼の正体を隠してしまう。彼が何者か、彼女が何者かということを忘れさせる。考えるのもいけないことで彼をそそのかす。明かりがないと、二人はベッドで並んで横たわっている単なる肉体にすぎず、五感の言いなりだった。そしていま、彼の五感は過熱していた。
 マッテオは腕を伸ばして明かりをつけた。小さな部屋が柔らかい光で満たされる。ケーラはキルトを顎まで引き上げ、まばたきをして彼を見た。
「何をしているの?」
「闇は心をかき乱す」
「わからない」
 マッテオは眉を上げた。「本当にわからないのか?」
 沈黙が落ちた。マッテオは彼女が首を横に振ったときに用心深そうな目になったのを見た。だが、何かほかのもの――彼の心臓をさらに高鳴らせる何かも見えた。従業員と親しくなるのはよくないことだと誰もが知っている。だが何かを知っているからといって、考え方が変わるとは限らない。欲望で下腹部が反応するのを止めることはできない。矢を放つ直前に、弦が張りつめるのと同じだ。
「ええ」ようやくケーラは答えた。「わからないわ」
「やはりあのひどい肘掛け椅子で寝たほうがよさそうだな。これ以上、ここにいると、きみにキスをしてしまう」
 ケーラは驚き、彼のからかうような黒い目を見た。マッテオ・ヴァレンティはわたしにキスをしたいと言っているの? つかの間、彼女は彼のようなすてきな男性の気を引いた喜びに浸った。一方で、彼女の分別は暴走しかねない感覚と激しく争っていた。
 彼は肘掛け椅子に移ることを示唆しながらも、身動き一つしなかった。口に出さない質問が宙を漂っていた。
 家のどこか遠くで、時計が鳴った。まだ真夜中ではないが、何か起こりそうな時間だった。ケーラがその気になれば、魔法が起こりそうだった。彼女が、これまでの彼女の人生に絶えず存在していた警告の声ではなく、自分が聞きたいことに耳を傾けたなら。
 好ましくない男性を好きになったら、女性の身に何が起こるか、ケーラは知っていた。そしてマッテオは好ましい男性ではないと、彼の全身が物語っていた。マッテオは危険でセクシーで、わたしには手に負えない億万長者。彼に背を向け、どうぞ肘掛け椅子で寝てちょうだいと言うべきではないかしら?
 そう思いつつもケーラは何一つ行動に移さず、目を閉じて、舌先を下唇に滑らせた。すると、彼を見ずにいるのは無理だと悟り、目を開けた。下腹部が溶けてしまいそうなほど熱を帯び、驚くほどの興奮に体がうずきだす。彼女はこれからの休暇のことを考えた。気取ったクリスマスのランチを叔母とする。叔母はシェリーににこやかにほほ笑み、美容師の娘について誇らしげに語る。その一方で、ただひとりの姪はどうして車の整備工で終わってしまうのかと失望している。
 しばらくのあいだ、ケーラは再び目を閉じた。これまでわたしはずっといい子になろうとしてきた。でも、それでどうなった? いい子にしていたことで、メダルをもらったことがある? ない。|読み書き障害《デイスレクシア》をなんとか克服し、手先の器用さを生かした。エンジンを分解し、また組み立てることができるようになり、なんとか生活していけるだけの収入を得られる仕事を男性の世界で見つけた。けれど、長く男性とつき合ったことはなかった。セックスをしたこともない。気をつけないと、いずれ年老いて人生を悔やんで過ごす羽目になるかもしれない。そして、ダートムーアでの冬の夜にマッテオ・ヴァレンティがキスをしたがったことを思い出すかもしれない……。
 ケーラはじっと彼を見た。「それなら、始めて」ささやくように言った。「わたしにキスをして」


*この続きは製品版でお楽しみください。

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