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愛する人はひとり【ハーレクイン文庫版】

愛する人はひとり【ハーレクイン文庫版】


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン文庫ハーレクイン文庫コンテンポラリー
価格:500pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 リン・グレアム(Lynne Graham)
 北アイルランド出身。七月三十日生まれの獅子座。十代のころからロマンス小説の熱心な読者で、初めて自分でロマンス小説を書いたのは十五歳のとき。大学で法律を学ぶと同時に、十四歳のときからの恋人と卒業後に結婚。この結婚生活は一度破綻したが、数年後、同じ男性と恋に落ちて再婚するという経歴の持ち主。
イギリス郊外に家と五エーカーの森林を持ち、そこで現在、スリランカとグアテマラからの養子を含めた五人の子供を育てている。時間のあるときは大好きな庭仕事に励み、得意のイタリア料理に腕をふるう。小説を書くときのアイデアは、自分自身の想像力とこれまでの経験から得ることがほとんどで、彼女自身、今でも自家用機に乗った億万長者にさらわれることを夢見ていると話す。ロマンス映画も大好きだが、ハッピーエンドでないものは好きではないという。

解説

プルーデンスが憧れのニコロスと結婚して、8年の月日が流れた。今でこそ彼は大企業の最高責任者として辣腕をふるう身だが、傾きかけた父親の会社を救うため、彼女と結婚しただけなのだ。しかも結婚式では酒をあおり、初夜の契りを頑なに拒絶した――思い出すだけで、胸を焼くような悲しみがこみ上げてくる。夫への未練を断ち切るため、ついに彼女は離婚を切り出していた。ところが予想外にもニコロスは、この結婚を本物にしたいと、君が望むなら、肉体関係を結んでもいいと言い出したのだ。彼の真意がつかめず、プルーデンスの心は締めつけられるが……。

*本書は、ハーレクイン・セレクトから既に配信されている作品のハーレクイン文庫版となります。 ご購入の際は十分ご注意ください。

抄録

 これでは伝説的な交渉術が泣くと悟り、ニコロスはやり直した。「よく考えてごらん。八年前僕たちはまだ子どもだった。だから、しなければならないことを形式的にしただけで、いっしょに住もうとすらしなかった。だが僕たちは大人で、賢くなった」
 プルーデンスの体のなかでは、今にもロケットが発射しそうな感じだった。その衝撃は手に余るほどで、彼女はきつく目を閉じた。彼はどうしたというの? 八年間もわたしに関心を示さず、胸の張り裂ける思いをさせておいて、今さら靴を履き替えるように結婚を試そうと言い出すなんて。声を限りに叫びたくなる。でもその前に、わたしのかつての願いを提案したニコロスの息の根を止めなくては。今ならわたしにも彼に別れを持ち出す強さもある。プルーデンスは木製の収納箱の中身を思い浮かべた。古い苦悶がよみがえり、早鐘を打っていた心臓が今度は止まりそうになった。街を歩けば男も女も振り返るほどハンサムな男性には、わたしは身長もスタイルも美貌も足りない。
「せっかくだけど」プルーデンスは欲しくない飲み物でも勧められたかのように言った。
 ショックがニコロスの金色の瞳を陰らせた。即座にことわられるとは信じられない。プルーデンスは別れるつもりなのだ。心の奥底では、ニコロスもいずれ彼女と落ち着いた生活を送ることになるとわかっていた。それを疑ったことはない。考える必要すらなかった。彼の心の準備ができるまで、プルーデンスは待っていてくれる、彼女には聡明な女性ならではの揺るぎない我慢強さがあると思っていたのだ。
「自分が何を言っているのかよく考えてごらん」ニコロスはハスキーな声で迫った。「君と僕は、もう結婚している――」
「書類上のものでしかないわ――」
「だが、それを本物にできる」ニコロスがやわらかな口調で言った。ギリシア風アクセントの深い響きが、気象警報のようにプルーデンスの緊張した背筋を伝わった。
 彼の強烈なカリスマ性に負けないために、プルーデンスは山ほど経験を積んだ。昔はニコロスの一瞬の笑みや温かなまなざしをほんの少し見ただけでも愚かな胸は高鳴った。けれども、今は違う。
「わたしは本物にしたくないの」
 ニコロスが手を伸ばしてプルーデンスを引き寄せた。理性は、体を引いて笑い飛ばし、うまく切り抜けなさいと命じている。だが、それには問題があった。彼女はそうしたくなかった。潜在意識のささやく声がする。ニコロスに抱き寄せられるのはどんな感じかしら。知りたいと思うのは当たり前のことよ。
「僕はロマンチックなことが苦手かもしれないが……ほかの分野は得意だ」
「ずいぶんと控えめな言い方ね」緊張と期待でプルーデンスはほとんど息ができなかった。頭は混乱して働かない。ニコロスの長い指が彼女の頬を撫でて髪のなかに分け入り、顔を上げさせた。
「謙虚でいても闘いに勝てない」ニコロスは頭を下げた。「もし今度君が逃げたら、僕は追いかける」
 胸の頂が敏感になってうずいている。プルーデンスは頬を赤く染めた。彼女がニコロスに手をかけようとしたとき、彼の唇が重なった。親密で快い感覚が広がり、プルーデンスはニコロスの上着をつかんで体を支えた。胸は激しく高鳴っている。ふっくらした唇から彼の舌が侵入すると、胸の奥に切ない憧れがわき上がり、もっと欲しくなった。体はきつく巻いたばねのように、今にもはじけそうだ。プライドを忘れて、甘くみだらな喜びにひたりたい。だがさらに抱き寄せられ、壁際の収納箱に靴のヒールが当たったとき、自分の欲望と弱さに気づいて恥ずかしくなった。
 プルーデンスは抱擁を解いてあとずさりすると、彼を求める体の悲鳴を無視して懸命に心を静めた。
 ニコロスは荒い息をしながら、石器時代の男のように彼女を奪いたい衝動を抑えた。「どうした?」
 プルーデンスは自分の振る舞いに屈辱を感じて目をそらした。わたしが地震ほどの激しさで彼に応え、脚ががくがくしているのを気づかれたかしら。「こんなことをしてはいけなかったのに――」
「なぜいけない?」
「離婚したいからよ」
「なぜ?」獲物を狙う豹さながらに、ニコロスがたたみかける。「ほかに男がいるのか?」
 プルーデンスはびっくりして笑いそうになった。この結婚を本物にしようという思いがけない提案に、心は大きく揺れている。今のキスは短かったが、彼女の張りつめた神経には刺激が強すぎた。「もしいたとしても、あなたには関係ないわ――」
「関係あるとも!」ニコロスはなめらかな動きでプルーデンスに近づいた。
 プルーデンスはニコロスの横を素通りして収納箱の蓋を開けると、アルバムとスクラップブックの束を取り出した。それから振り向いて彼の足元にどさりと置いた。「いいえ……あなたに関係があるのはこのなかの女性たちよ。わたしは今もこれからも、あなたとは関係ないわ!」
 ぴりぴりした沈黙が広がった。
「これはなんだ?」ニコロスはスクラップブックを一冊取った。見たくもなかったが、臆病な態度は彼の流儀ではないのでなかを開いた。タブロイド新聞や雑誌記事が――ほかの女性たちと写る自分の写真が次から次へと目に飛び込んできた。彼は気分が悪くなった。「君がこれを集めたのか?」


*この続きは製品版でお楽しみください。

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