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美しき奴隷【ハーレクイン文庫版】

美しき奴隷【ハーレクイン文庫版】


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン文庫ハーレクイン文庫コンテンポラリー
価格:500pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 ジェニー・ルーカス(JENNIE LUCAS)
 本屋を経営する両親のもとたくさんの本に囲まれ、アメリカ、アイダホ州の小さい町で遠い国々を夢見て育つ。十六歳でヨーロッパへ一人旅を経験して以来、アルバイトをしながらアメリカじゅうを旅する。二十二歳で夫となる男性に出会い、大学で英文学の学位を取得した一年後、小説を書き始めた。現在、幼い子供ふたりの育児に追われながらも執筆活動を通して大好きな旅をしているという。

解説

騙されて、妹が背負わされた負債をブリーはいま、清算した。部屋を出ようとしたそのとき、聞き覚えのある声が響きわたる。「勝負をしないか。賭けるのは100万ドルと、君の体だ」ブリーはその場に凍りついた。声の主がウラジミールだったから。10年前にブリーを見捨てた、魂もくらむほど美しい大富豪。彼のせいで妹と二人、奈落の底の人生を歩むことになったのだ。
ところが、運命の女神はウラジミールに微笑む。わななく唇を噛みしめるブリーに、彼は皮肉な笑みを浮かべた。「これで君は僕のものだ。僕が望むあいだ、ずっと」

*本書は、ハーレクイン・ロマンスから既に配信されている作品のハーレクイン文庫版となります。 ご購入の際は十分ご注意ください。

抄録

 ウラジミールは赤い車を、海のそばにある広々とした屋敷の前の舗装された中庭にとめた。屋敷は断崖の上に建てられ、中庭に面したほうは平屋、海に面したほうが三階建てになっていた。
「オアフ島に家があるなんて知らなかったわ」ブリーは驚き、唇を噛んで屋敷を見あげた。「あなたがここにいると知っていたら……」
「だれかをぺてんにかけるために、ホノルルまで来たりしなかったと言いたいのか?」
「ぺてん?」ブリーは心底ショックを受けたように見えた。「いったいなんの話?」
「あのポーカーゲームのことを君はなんと呼ぶ?」
「人生最大のミスよ」彼女はささやくように言った。その表情はありありと内心の苦しみを表していた。ちょっと‘わる’を気取った女の子のような装いにもかかわらず、人食い鬼にとらえられ、逃げるすべもない年若い王女のように見える。
 ウラジミールはエンジンを切ると、ブリーのダッフルバッグをつかみ、車を降りた。「来るんだ」
 車のドアをうしろ手に閉め、振り返らずに大股に玄関まで歩いていった。カイルア近郊にある最高のプライベートビーチに建てられたこの二千万ドルの家を買ったのは三カ月前。現物を見もせずに、ホノルルの病院から退院する一時間前に買ったのだ。
 広々としたビーチハウスに入っていくと、うしろから、オヒアの木で作られた床の上を歩くブリーのヒールの音が聞こえた。二人は広くゆったりした部屋をいくつも通り過ぎた。廊下には床から天井まで続く窓が両側にあり、一方の窓からはカイワ山の稜線を、他方からは太平洋を望むことができる。
 ウラジミールにはおなじみの景色だった。いや、本当のところ、もう見飽きていた。何週間も囚人のようにここに閉じこめられ、理学療法の苦しさに歯を食いしばって耐えながら、怪我の回復に努めていたのだから。一カ月もの滞在の間、車で三十分もあれば行けるホノルルに行き、闇ポーカーに加わるようになったのは、自然ななりゆきだった。ハワイで賭博をするのは違法だと知り、かえってスリリングな思いを味わった。
 廊下の突き当たりで、ウラジミールは両開きのドアを開けた。そこが主寝室だった。天井が高く、広々していて、優雅な暖炉ととてつもなく大きな四柱式ベッドがある。彼はブリーのダッフルバッグをベッドの上に置き、だしぬけに彼女のほうを向いた。
 ブリーは彼と鉢合わせする形になった。
 ウラジミールの体とブリーの柔らかい体がぴったりと重なり合った瞬間、彼女が息を吸いこむのがわかった。電流のような衝撃が血管を勢いよく流れ、体じゅうの血が下腹部に集まっていくのを感じて、ウラジミールは動揺した。まるで火をつけられでもしたかのように、ブリーがうしろに飛びのいた。
「女性に触れるときはちゃんと予告して。そんなふうに急に振り向かないで」彼女はぴしゃりと言った。
 しかし、遅すぎた。
 この十年間、ウラジミールは、ブリーに抱いた情熱的で純粋な恋心はすべて一方的なものだと思っていた。彼女は石のように冷たく、自分からだまし取ろうとしていた金にしか関心を持っていなかったのだと。けれどもたった今、体と体が触れ合った瞬間、ブリーの顔が目に入った。彼女の体がどんなふうに反応したかがわかった。そして突然、真実を悟った。ブリーもまた自分に恋していたのだと。
 まぶしく輝く太陽が水平線上にのぼった。東に面した背の高い窓から陽光が降りそそぎ、二人を暖かい黄金の光で包んだ。ウラジミールがずっと渇望し、なおかつ恐れ、うとましく思ってきたもの、そのすべての化身がこの一人の女性だった。ブリアンナ。
 彼女の長いブロンドの髪はまるでダイヤモンドと金で作られたかのようにきらきらと光っていた。目はエメラルドのように生き生きとしたグリーンだ。その肌は、だれも足を踏み入れたことのない雪原のように白い。ウラジミールは我知らず手を伸ばし、光り輝くブリーの髪のひと房を撫でていた。
 ブリーが息を吸いこむのがわかった。「お願い。やめて」
 ウラジミールは彼女の目をのぞきこんだ。「君は僕を求めている。僕と同じように」
 ブリーは顔をしかめ、激しく頭を振った。「あなた、どうかしているわ」
「真実に直面したとき、それを認めないのか? 真実を認めるやり方も忘れ果ててしまったのか?」
「私が望んでいる真実はたった一つよ。私をほうっておいて」
 ウラジミールは長い髪に指をからめたままうしろに下がり、喉元があらわになるまで彼女の頭を傾けた。
「言葉でなんと言おうと」彼はささやいた。「君の唇は嘘をついていない」
 そして、ためらうことなくブリーと唇を重ねた。


*この続きは製品版でお楽しみください。

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