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婚約破棄は蜜愛のはじまり〜ワケあり公爵と純真令嬢〜

婚約破棄は蜜愛のはじまり〜ワケあり公爵と純真令嬢〜


発行: ヴァニラ文庫
シリーズ: ヴァニラ文庫
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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解説

僕以外を考えられなくさせるから
婚約破棄されたはずが一転して公爵の恋人に!?

夜会の折、公爵カークラントが何者かと交わしていた秘密の話を聞いてしまったリズリー。それをカークラントに気づかれ、監視のため偽りの婚約者となるよう迫られる。やむなく承諾したが、誠実で優しい彼に仮初めの婚約と知りつつ惹かれ始める。「敏感だね。こんなに感じて」カークラントも偽りとは思えない熱情でリズリーに悦楽を与えてきて!?

※こちらの作品にはイラストが収録されています。
 尚、イラストは紙書籍と電子版で異なる場合がございます。ご了承ください。

抄録

 いざ足を動かそうとしてよろめき、近くの茂みに倒れ込む。
 枝が折れる派手な音に、頭から血が引いた。
 リズリーが蒼白になっていると、誰だ、と鋭く声が掛けられる。
 こわごわと振り返ると、二人の男がリズリーを見下ろしていた。
 木陰に立っているほうの男性は、白くのっぺりとした仮面をつけている、灰色の髪をしていることしかわからない。
 もう一人、『伯爵令嬢を殺す』と語っていた男を見た途端、心臓が止まった。
 綺麗にくしけずられた男の銀髪に、月光が反射しきらめいていた。
 印象的な美貌に、恐怖も忘れリズリーは男を見つめてしまう。そして、なぜだか男も、まじまじとリズリーを見つめていた。
 非日常的すぎる状況にまばたきを繰り返していると、ついに涙が溢れ、男がはっと息を呑み、唐突にリズリーの腕を掴んで茂みから強引に立たす。
「――参ったな。こんな所に人が来るとは」
 男は困ったというより、状況を楽しみつつ唇の端を吊り上げた。
 会話を引き延ばし、油断させれば、もう一度逃げる隙ができるかもしれない。
 頭を必死に働かせリズリーは口を開く。
「どういうことですか。……伯爵令嬢を、殺すとは」
「そこまで聞かれていたとは、うかつだったな」
 銀髪の男が仮面の男に目配せする。前もって打ち合わせしていたのか、仮面の男は無言のまま身を翻し、さらに木立の奥へと逃げ出した。
「待って!」
「おっと」
 後を追おうとしたリズリーの手首を銀髪の男が捕らえた。
 軽く摘まんでいるように見えるが、存外、力はあるようで、抵抗したにも関わらず身体が密着するほど抱き込まれる。
(わ、私……抱きしめられている! 婚約者でもない男性と、そんな!)
 意識するより早く顔が紅潮して行く。
 すぐ近くに、恐ろしいほど整った男の顔があり、前髪に彼の吐息が触れてどぎまぎする。
 黒い夜会服越しに伝わる、男の胸の広さに鼓動が跳ねた。
 悲鳴を上げようと何度か口を開閉させるが、漏れるのはか弱い喘ぎだけだ。
 落ち着こうと深呼吸すれば、男がまとう百合に似た香水の匂いが鼻孔から脳に染み込み、ぼうっとしてしまう。
 結婚する予定だったカラムとも、これほど接近したことはなかった。
 初めて知る異性の腕力に圧倒され、リズリーは動くに動けない。
「は、放してください! 叫びます!」
 狼に囚われた兎のように震えながら、リズリーは男の腕の中で虚勢を張る。
「気丈だな。しかし騒がれるのは困る。だから――口封じをさせてもらおう」
 混乱するリズリーの唇に、柔らかくて弾力のあるものが触れた。
 温かさを感じると同時に、さらに強く押し当てられ、それが男の唇であることに気づく。
 結婚どころか、婚約もしていない。いや、破棄されたばかりの自分が、別の男性からキスされているという事実に仰天する。
 声を上げようと唇を開けば、相手がするりと舌を滑り込ませてきて、ますます混乱に拍車がかかる。
「ふ……! んっ! んんんー! くぅっ!」
 離れてくださいと叫んでいるはずなのに、漏れるのはくぐもった声ばかりだ。
 逆に心臓の音がうるさく、頭の中が真っ白で思考が追いつかない。
 顎を捕らえていた男の手が緩やかに移動する。
 そっとリズリーの頬を撫で、喉に至り、親指で頸動脈の部分を繰り返しなぞりだす。
 男の触れた場所が灼けついたように熱を持ち、じん、とした痺れが肌から肉の中へ染み込んで行く。
(なに、これ……)
 身体をわずかに跳ねさせると、くっと男が喉を鳴らした。
 とてもはしたない反応をしたのだと、男から笑われているような気になり、恥ずかしさが募る。
 身体から力が抜けた。
 抵抗が弱くなったことを確かめるように、男の舌がリズリーの口腔に忍び込んで、緩やかに踊りだす。
 ぴちゃぴちゃとした水音が響き、どうしてか興奮してしまう。
 得も言われぬ心地よさを感じだし、溺れ、陶酔して行く自分がいる。
(いけない。こんなキス、知らない人とするものじゃない。こんな……淫らな)
 これは、結婚する男女だけがしていいものだ。
 領地のメイドや農家の娘たちが、頬を紅潮させながら、教会や屋敷の影でひそひそと話していたことを思い出す。
 男爵令嬢で、いずれは領主夫人となるリズリーの耳に入れまいと気づかいつつも、とろんとした眼差しで、だれそれとキスしてどうこうと隠れて語っていた。
 詳しい手管はわからなかった。しかし後日、さらに重ね聞いてしまい、恋人同士、それも結婚する約束があって、初めて許されるキスがあるのだと理解した。
 なのに自分は、今、知らない男とそれをしている。
 見つかれば咎められ、醜聞になるとわかっているのに、抱きしめる男の力は緩まない。
 なんとか身をよじらせる。が、興を惹かれたのか、口づけはますます深く、激しくなり、熱いさざなみがリズリーの首筋から背骨を伝う。


*この続きは製品版でお楽しみください。

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