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和書>小説・ノンフィクションハーレクインハーレクイン・ヒストリカル

奪われた乙女

奪われた乙女


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ヒストリカル
価格:700pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 ジュリエット・ランドン(Juliet Landon)
 イギリス北部の古代の面影を残す村に、引退した科学者の夫とともに住む。美術や歴史に対する興味が旺盛で、豊かな想像力が生きると思い、ヒストリカルの小説を書き始めた。作品を執筆するために調べ物をするのはとても楽しいと語り、特に中世初期がお気に入りの時代だという。刺繍について豊富な知識と技術を身につけ、その腕前はプロとして講師を務めるほど。

解説

 長年敵対関係にあるラ・ヴァロン家の次男バードに娘を傷物にされることを恐れたサー・ギランは、イゾルデを知人宅に預けることにした。そして、あろうことか、バードの妹フェリシアを誘拐した。一方、イゾルデは、居心地の悪い知人宅をこっそり逃げだした。タイミングよく現れたバードに続き、彼の兄サイラスもやってきた。自信たっぷりで傲慢なサイラスに反発しつつも、イゾルデは屋敷まで船で送ってもらうことにする。ところが、連れていかれたのは見知らぬ異国の地。なんとイゾルデもまた、誘拐されてしまった!
 ★歴史上の人物たちが大勢登場し、美しく絵画的なシーンの数々はため息が出るほどです。まるで中世の宮廷にタイムスリップしたかのような華やいだ雰囲気を、どうぞご堪能ください。★

抄録

「お父さまが彼女をどうするつもりかを、あなたが気にすることはないわ。ラ・ヴァロンの次男坊こそ、あなたをどうするつもりでいると思うの? 彼が妹の復讐《ふくしゅう》をするためにやってきたのだとは、ちらとも思わなかった? あなたのお父さまが、長年の宿敵のひとり娘をさらったことをどう説明するつもりなのか、わたしにはさっぱりわからないわ。でも、お父さまがあなたの身の安全を心配していることならわかっているわ。あなたがだれと逃げたかがわかったら、それこそお父さまは気も狂わんばかりに心配されるでしょう。一年以内に母親になるということに関しては――」
「セシリー!」不意の動きにベッドがきしんだ。
「なんです?」セシリーの声は断固としていた。
「わたしたち、そんな間柄じゃないわ。その近くまでだっていっていないのよ」
「その近くまでも?」
「ええ」
「だったら、バードはそのためもあってここへ来たのかもしれないわね。もう少しそこに近づくために」
 煙《けぶ》るろうそくをつまんで消すイゾルデの声には笑みが感じられた。「心配するのはやめて。わたしはもう十九歳なのよ」
「だから、事態を完全に掌握していると?」
「そうよ。おやすみなさい」
 ついにセシリーも微笑んだ。「おやすみなさい」
 セシリーに助けを頼む必要はなかった。彼女はいつだって手助けを惜しまないでくれるとわかっていた。侍女であるセシリーのいびきを聞きながら、イゾルデは明日という日に思いをはせた。外では市の鐘の音と呼び売り商人の声がしていて、なにもかもうまくいくと思えた。
 マスター・フライドの馬を盗んだのは悪かったが、すべては順調に進んだ。フライド家の人たちはイゾルデが市外のクレメンソープ修道院を訪ねていると思っているので、彼女の姿がしばらく見えなくても不思議には思わないだろう。イゾルデたちは荷物と食べ物を運ぶ荷馬を一頭拝借していた。食べ物は厨房《ちゅうぼう》から分けてもらったのだが、貧困者にあげるためのものだと思わせておいた。そう思わせるのはたいしてむずかしいことではなかった。彼女たちは人目を引かないよう、簡素で実用的な身なりをしていたからだ。いちばん近い町はシェペトンで、そこでは人より羊の数のほうが多い、そんな田舎の生活をにおわせたのだった。
 ヨークに来るまで、イゾルデたちは裕福な商人の妻たちがどんな服装をしているのか、まるで知らなかった。織物商の店には夢でしか見たことのないほど色とりどりの織地があることも知らなかった。ワイン、香辛料、亜麻、穀物、材木、それに異国の食べ物を積んだ船が大挙して川を上ってハルやセルビーを過ぎ、ヨークまでやってくる。けれどこれまでのところ、イゾルデはにぎやかな荷揚げ場へは行っていなかった。さなぎから蝶《ちょう》へと完全に変身するチャンスもなかった。というのも、父からもらった金は、マスター・フライドの強い勧めで彼の金庫にしまわれていて、手持ちの金はベルトにたくしこんだ何枚かの金貨だけだったからだ。色あせた青色のハイウエストのボディスとスカートはハリファックス産の良質のウールだったが、ビロードや豪華な模様のブロケードには遠くおよばない。イゾルデのドレスの襟ぐりについているのは、りすの毛皮ではなくうさぎの毛皮だし、ヨーク到着にそなえて赤毛を押しこんだのは刺繍《ししゅう》入り頭巾《ずきん》だった。それを見れば、イゾルデが情けないほど流行に疎い田舎娘であることは明らかだ。彼女は紗《うすぎぬ》の飾りリボンや宝石をちりばめた網帽子、針金でつなげた角や蝶々が欲しくてたまらなかったが、その望みはまだ満たされていない。おまけに眉と髪の生え際は、毛抜きがなかったために手入れされないままになっている。
 早朝の陽光を浴びながらヨーク郊外をあとにするとき、イゾルデは髪を束ねた。けれど、すぐにバードにほどかれてしまい、髪は風に吹かれて顔にかかった。口に入った髪を文句を言いながら吐き出すと、バードは笑った。イゾルデの茶色がかった緑色の目、かわいらしい鼻、申し分のない頬骨に目をやったバードは、彼女を迎えに来た理由を思い出し、身を寄せて彼女の耳にそっとささやいた。「いつになったらその美しい唇にキスできるのかな、ぼくのレディ? スカーバラに着く前に、満たされない欲望のせいで死んでしまうかもしれないよ」

*この続きは製品版でお楽しみください。

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