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和書>小説・ノンフィクションハーレクインハーレクイン・ロマンス

断罪のギリシア富豪

断罪のギリシア富豪


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ロマンス
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 ヘレン・ビアンチン(Helen Bianchin)
 ニュージーランド生まれ。想像力が豊かで、読書を愛する子供だった。十代の初めのころに初めて物語を書く。学校を卒業して、法律事務所で秘書をしたのち、二十一歳のときに友人とともにワーキングホリデー制度を使ってオーストラリアにわたる。メルボルンで数カ月働き、北クイーンズランドのたばこ農園を手伝っていたときにイタリア人男性と知り合い結婚した。その後三人の子供に恵まれ、子供たちや友人にたばこ農園の話を聞かせているうちに小説を書くことを思いついたという。イタリア人男性をヒーローにした最初の小説は、一年をかけて完成され、その後イギリスのハーレクイン社から出版された。もっとも尊敬する作家はノーラ・ロバーツと語るが、プライベートな時間に“座り心地のいい椅子に丸くなって”する読書は、ミステリーからロマンスまで幅広い。これまでに訪れたいちばんロマンティックな場所はハワイのホノルルだという。

解説

愛を失い、おなかの赤ちゃんも失った。彼はこれ以上、私からなにを奪うの?

元恋人アレクシスが、父の会社を吸収した会社のトップだと知り、ナタリアは悪夢を見ているのかと思った。アレクシスが突然姿を消したせいで、私は生き地獄を味わった。彼をさがす間に、私が流産してから5年がたつ。私の愛とおなかの子を捨てた人の下で働くなんて、冗談じゃない!だが非情なアレクシスは、ナタリアに父の横領と不倫をつきつけ、世間に公表されたくなければ、彼に従えと脅してきた。母を誰よりも大切に思っている彼女に、選択肢はなかった。かつて愛したアレクシスに、憎まれる日々が待っているとしても。

■ハーレクイン・ロマンスを代表する作家の一人、ヘレン・ビアンチンが帰ってきました!生涯をともにしたいと願った男性に捨てられたうえ、父の会社まで奪われ、ヒーローに服従するよう強要されるヒロイン。さらには、彼に愛された記憶にまで苦しめられ……。

抄録

 CEOの素性はまだあきらかになっていない。かろうじてあるメディアが、アメリカ出身の億万長者だと報じたくらいだ。
 たぶん、その人は五十歳かもっと上の、家の財産を自由に使える男性だろう、とナタリアは想像していた。中肉中背で、ややおなかが出ていて、髪は薄くなっている。もしかしたら、かつらをつけているかも。
 新しいほうきはよく掃除する、とことわざにもあるけれど……。その人はどうかしら? 目立つ場面でうまく立ち回って、シドニーの特権階級にとり入るだけの存在なの?
 とりあえず、第一印象はよくしなくちゃ。ナタリアはじわじわとつのってきた緊張をなだめ、CEOのオフィスへ足を進めた。
“会社の営業は、月曜まで始まらないのでね。扉をノックして、そのまま入ってください”マーク・アダムソンからは、そう指示を受けていた。
 それくらいは楽勝だわ。
 契約書にサインをすませた以上、職は確保されている。せいぜいにっこりして、アシスタントらしく落ち着いていればいい。
 だったら失敗しようがないでしょう?
 ナタリアは片方の手をこぶしにし、開いたままの重厚な羽目板扉を二回力強くノックしてから、広々としたオフィスに入った。まず目に飛びこんできたのは高級な内装と、壁一面を占める書棚だった。
 ノートパソコンと、さまざまな電子機器が配置された特注の大型デスクを囲むように、鋲を打った革椅子も四脚おいてある。
 一目見ただけで、オフィスからは明確なメッセージが伝わってきた――富、ずばぬけた趣味のよさ、そして権力だ。
 次の瞬間ナタリアは、強化ガラス製の窓の向こうを眺めている男性の人影に気づいた。逆光になっていても、その肩幅の広さと顎の力強いライン、波打つ褐色の髪は見てとれた。
 すご腕の実業家は三十代なかばか、後半だったようだ。黒のブランド物のジーンズに純白の開襟シャツ、黒のやわらかな革ジャケットといういでたちは、ナタリアが想像した新CEO像とは似ても似つかなかった。
 ふいに体の奥が熱くなり、ナタリアはたじろいだ。きっと気のせいだわ。そうに決まっている。
 アレクシスは優位な立場を利用して、ゆっくりと体の向きを変え、かつて人生を捧げた女性と正面から向き合った。
 そして黒に近い褐色の瞳でしげしげと見つめ……ナタリアが気づくのを待つ。
 その瞬間は数秒後に訪れた。悠然とかまえたアレクシスの前で、ナタリアはかすかに目を見ひらき、口を軽く開け、喉に物がつかえたかのように勢いよく息をのんだ。場にふさわしい表情をとりつくろおうと苦心しているのが、一目でわかる。
 アレクシス? 彼がなぜここに?
 ナタリアはしばし言葉を失った。強烈な驚きという強烈なパンチをみぞおちに食らったように、すぐには立ちなおれなかった。
 呼吸しなさい、と自分を叱りつける間も、感情の大波がせり上がってきて、彼女をのみこもうとした。私はいったい何度、アレクシスとの日々を忘れようとした?
 とても数えきれない。
 とりわけ夜、眠る前は最悪だった。思い出がよみがえっては心をさいなんだからだ……。アレクシスにほほえみかけられるたび、全身でどきどきしたこと。彼に指先でやさしく、頬からふるえる唇にかけてなでられたこと。唇を重ねられ、じらされ、むさぼられ、もっとと求めさせられたこと。褐色の瞳に宿る熱い輝きで、彼が理性を吹き飛ばすほどの濃密な時間へと誘ってくれたこと……。
 しかし五年ぶりに見たアレクシスの瞳に、当時のぬくもりはなかった。あるのは断固たる意志を宿した光だけで、ナタリアの背筋は冷たくなった。
 私はなにを期待していたの? ロマンティックな再会とか?
 冗談でしょう?
 五年もたったのに……ばかな私。
 あのころなら、アレクシスがなにを考えているのか手にとるようにわかった。なのに今のナタリアは黙ってたたずむ彼の前で、なすすべもなく動揺するばかりだった。
 無言の問いがいくつも頭をよぎる。まず、父の会社をなぜアレクシスは買いとったの?
 二つ目は……それだけのお金を、アレクシスはたった五年間でどうやって用意したの?
 美しく整えられた無精ひげの男性が浮かべているきびしい表情は、かつて知っていた……そして愛した彼にはなかったものだ。
 強いまなざしから逃げまいというように、ナタリアはアレクシスを見つめ返した。抵抗のつもり? それとも、自衛本能となけなしのプライドのなせるわざ?
 きっと、その全部だ。
 アレクシスは冷静な目で、黒のオーダーメイドのスーツをまとったナタリアの華奢な肩、細いウエスト、引きしまったヒップを検分した。突き刺さりそうな踵のハイヒールが、極薄のストッキングに包まれた脚の美しさを強調している。
 メイクは最低限だが、女らしい顔の輪郭と表情豊かな褐色の瞳、ふっくらとした唇を美しく見せるにはじゅうぶんだった。
 堅苦しいシニョンにまとめたナタリアのブルネットの髪を見ると、アレクシスの指はうずうずした。ヘアピンを引き抜いて、豊かに波打つ髪が彼女の顔にかかるところを見たい。
 目の前の女性は、いかにもアシスタント然とした冷静沈着なたたずまいを見せている。
 その姿は、元気いっぱいで楽しいことが大好きだった、無邪気な昔のナタリアとは大違いだった。陽気な笑みをふりまくやわらかな唇の曲線も、冗談を言うときの瞳のきらめきも、ふれ合わせた唇から魔法のようにあふれ出した情熱も、過去のどこかにおいてきたかのようだ。
 アレクシスは皮肉っぽく片方の眉を上げた。「なにか言いたいことは、ナタリア?」
 どこから始めてほしい、というように誘いかける。


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