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愛なき君主の手に堕ちて

愛なき君主の手に堕ちて


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ロマンス
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 キャロル・マリネッリ(Carol Marinelli)
 イギリスで看護教育を受け、その後救急外来に長年勤務する。バックパックを背負っての旅行中に芽生えたロマンスを経て結婚し、オーストラリアに移り住む。現在も三人の子供とともに住むオーストラリアは彼女にとって第二の故郷になっているという。

解説

灼熱の愛は儚く消える――彼の最も輝ける日に。

「君を我がスイートへ連れていこうと考えている」ザジニア国の美しき王太子ケダの熱い視線に、臨時秘書のフェリシアは服をはぎ取られたような気分になった。私の仕事は彼を反対勢力の画策から守り、王位継承に導くこと。愛の営みなど、契約には含まれていない……。だが、彼女がケダの強烈な魅力に屈するのは時間の問題だった。無上の喜びの果てに小さな命を授かったフェリシアは、ふさわしい花嫁を娶る身のケダを思い、彼のもとを黙って去った。見返りのない愛に疲れ果て、深く傷ついた心を抱えて。

■人気作家C・マリネッリの異国情緒溢れるロマンスをお届けします。特殊な環境で育ったがゆえに感情を排して生きてきたフェリシア。そんな彼女がなすすべもなく絡め取られた身分違いの愛のゆくえは……。美しき傲慢ヒーローの絶対的な存在感をお楽しみください!

抄録

 寝室向きの声があるとすれば、それはケダの声だろう。
 いや、寝室だけではない。
 役員のオフィスにもふさわしい声だ。
 校長室に呼び出される生徒さながらの扱いを受けるのは、この一時間で二度目だった。
 ケダには人を従わせる力がある。フェリシアは一瞬、彼を無視してドアへ向かって歩き続けようかと思った。首根っこをつかんで引き戻されるかどうか試してみたいという、ばかばかしい欲求のためだけに。
 だが、フェリシアは知らなかった。落ち着き払った様子のシーク・ケダも、彼女と似たようなことを考えていたとは。
 フェリシアは、まさにケダの好みだった。
 彼女の後頭部を凝視し、こわばった肩を見つめ、背筋に沿って視線を走らせる。顔だけでなくヒップもハート型だ。ケダの目はしばらくそこに留まった。
 やがて彼は無理やり視線をそらした。
 個人秘書として雇う女性に魅了されて、これ以上状況を複雑にする必要はない。
 ベッドに誘うなら、やわらかくて甘い香りのする色っぽい女性が好きだ。作り笑顔であろうと、そんなことはどうでもよかった。
 結局のところ、ゲームにすぎないのだから。
 フェリシアとはどんなゲームができるだろう。
 彼女を膝に座らせ、仕事内容を説明しながら唇を奪いたい。
“私のホテルをすべて把握し、スタッフと顔合わせをしてマスコミに対応してくれ。王太子の地位を勝ち取るまで、私の世界を守ってほしい。さあ、ベッドへ行こう”
 もちろん、口にはしないが。
 これはビジネスであり、そこから逸脱するつもりはない。
「座りたまえ」ケダは言った。
 フェリシアは、頭のなかで彼女の服を脱がせているかのような彼の視線を意識して、息を吐き出した。下着の色まで見透かされている気分だ。今日の下着はベージュだった。彼女が冒険しないタイプだからではなく、たんに白いドレスを着たからなのだが。
 ああ、もうたくさん!
 このまま立ち去るべきだ。可能なうちに出ていくべきだ。だがフェリシアも、まだ終わっていないと感じていた。
 自分が呼ばれた理由を知りたかった。本当に個人秘書として働かせたいわけではないだろう。だから、フェリシアは振り返った。
「なぜ守秘義務契約を拒むんだ?」ケダがたずねた。先ほどの雰囲気は彼女の読み違いだったかと思うくらい、落ち着き払った口調だ。
「無意味だからです」プロらしい態度を取ろうと、フェリシアは咳払いをして答えた。「あなたが誰も信じないのなら、どれほど隙のない守秘義務契約を結ぼうと、あなたが完全に守られることはありえません」
「それでもある程度の安心は得られる」
「私には当てはまらないわ。もしも情報が漏れて、漏洩源が私だと疑われたら?」
 ケダは返事をしなかった。
「私はめったなことではショックを受けないけれど、あなたが許しがたい、いまわしいことをしたら?」挑むように言う。「沈黙を貫く契約を結んだからといって、見て見ぬふりをしなければならないんですか?」
「私は行いがいいとは言えないが」ケダが言った。「道に外れたことはしない」
 フェリシアは思わず微笑んだ。今度は、冷たい色の瞳にまで届く笑みだ。
「座りたまえ」ケダがもう一度言う。「この問題は試用期間の終わりに話し合えばいい」
「これ以上話すことはないわ。それと、試用期間はなしで」そう言いながらも、フェリシアはふたたび腰をおろした。「最低でも一年契約でなければサインしません」
「一年もきみを必要としないかもしれない」
 やはり問題を抱えているのだ。彼がそれをほのめかすのは初めてだった。もしかすると、打ち明けるのが気まずいのかもしれない。そんな慎み深さがあるとは思えない辛辣な目つきをしているが。かなり大きな厄介事なのだろうか? とんでもないスキャンダルとか?
 いずれにしても、駆け引きはもうたくさんだ。契約を結ぶ前に、自分が何に足を踏み入れようとしているのか知っておきたい。
「ケダ、私は被告側の弁護士じゃないわ」
 彼は無言でフェリシアを見つめている。これほど目を合わせてくる依頼人は初めてだ。
「どんなことであろうと私に話していいの」
 それでもケダは口を開かない。
「もうだいたいの目星はついているし」
「言ってみてくれ」彼が促した。
「評判の回復のために私が必要なのね」フェリシアは言った。「できるわ。数週間あれば、汚れのない教会の侍者みたいにしてあげる」
「侍者は勘弁してほしいな」
「それはそうでしょうけど……」
 フェリシアは口ごもった。仕事にふさわしくない、くぐもった低い声が出てしまったのだ。実際、このときまで一度も出したことのない声だった。男性とつきあっても、相手に振りまわされてどきどきするより、安心できる心地よい関係のほうが好きだ。


*この続きは製品版でお楽しみください。

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