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ローレライ愛の調べ【ハーレクインSP文庫版】

ローレライ愛の調べ【ハーレクインSP文庫版】


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクインSP文庫
価格:400pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 ルーシー・ゴードン(Lucy Gordon)
 雑誌記者として書くことを学び、ウォーレン・ベイティやリチャード・チェンバレン、ロジャー・ムーア、アレック・ギネス、ジョン・ギールグッドなど、世界の著名な男性たちにインタビューした経験を持つ。また、アフリカで野生のライオンがいるそばでキャンプをするなど、多くの貴重な体験をし、作品にもその体験が生かされている。ヴェネチアでの休暇中、街で出会った地元の男性と結婚。会って二日で婚約し、結婚して二十五年になる。二人は三匹の犬とともにイングランド中部に暮らしている。

解説

ローレルはひとり、美しく悲劇的なローレライ伝説の地を訪れた。ライン河畔の城には、祖母の元恋人である老男爵が住んでいる。若き日のふたりは深く愛しあい、結婚を約束しながらも、身分の差に引き裂かれて、ついに結ばれることはなかったという。
男爵に祖母の形見を贈り、最期まで愛していたと伝えたい。庭にいた少年に声をかけ、導かれるまま城の中へ入っていくと、ローレルそっくりの女性が描かれた肖像画が目に飛び込んできた。これは昔の祖母……そのとき怒声が響いた。「なにをしている?」振り向くと、古い写真で見た男爵に瓜二つの男性が立っていた。

*本書は、ハーレクイン文庫から既に配信されている作品のハーレクインSP文庫版となります。 ご購入の際は十分ご注意ください。

抄録

「あやしい者なんかじゃないわ」ローレルはきっとなって言いかえした。「ちゃんとした訪問客です。すぐに男爵にお会いしなくてはならない、わけがあるんですから」
 コンラッドはあざ笑うように口もとをほころばせた。「それは聞いたよ。私的なわけだとね。だがどんなわけなのか話せないんだろう」
「男爵にしかお話しできないんです。ともかく会わせてください」
「きみはぼくに命令する気なのか?」
「そうじゃないわ――重大なことなんです。男爵にどうしてもお渡ししなければならないものを、預かっているんです」
「じゃあぼくに渡したまえ」
「それはだめです」あとずさりした。いくらなんだって、こんな冷血漢に大事なものを渡せるものですか。「直接ご本人にでなければ」
 ローレルのかたくなな態度は、コンラッドの怒りをかきたてたらしい。突然向かってきた彼を避けようとして、一歩また一歩とさがるうちに、彼女は部屋の奥の壁まで追いつめられてしまった。「もう一度言おう。面会は許されない。帰ってもらおう、今すぐ」彼はデスクの上から受話器をとりあげ、早口でどなった。「車を玄関にまわしてくれ」たたきつけるように受話器を置いて、彼女のほうに向き直る。「宿はどこかね?」
「言う必要があるんですか?」
「あるとも。きみを送りかえしたあとで、ほんとうに出ていったかどうか確かめなくてはならない」
「宿なんかありません。船旅をしてますから」
「船の名前は?」
「さあ――」
「名前があるだろう」
「“ベルゲン”号です」
「よし。すぐにもどるんだ」
 返事も聞かないうちに、ローレルの手首はがっちりとつかまれてしまった。ふりほどこうとしたが、地に足がつかないほどの速さで引っぱられていってしまう。「はなして」彼女は声をあげた。
「はなしたら、なにをされるかわからないからな」コンラッドはびくともしない。
「こんなしうちをするなんて正気とは思えないわ」
「よからぬことをたくらんでいる侵入者の処置としては、当然のことだね」
「わたしのことを知りもしないのに」ローレルは息をきらしながら言いかえした。
「きみの話は実にあいまいだ。あやしく思われてもしかたがないだろう」
 高圧的な言葉にかっとなったローレルは、ドアをぬける寸前に柱にしがみついた。その衝撃でコンラッドの手がゆるんだすきに彼女は走りだそうとしたが、すぐにつかまってしまった。「そうか、そっちがそういう気ならしかたがない」彼はいきなりローレルを腕に抱えあげた。夏服のうすい生地を通して、男の体温がじかに伝わってくる。片手で胸をつきのけようとしてむだな抵抗を試みたものの、もう片方の手はからだを支えるために、しかたなく肩につかまるしかなかった。巻きついている両腕が鋼のようにかたくしめつけてくるので、自分と同じぐらいに速く激しく高鳴っている相手の鼓動をもろに感じる。
 息がつまりそうになって、彼女は声をたてられなくなった。首をめぐらすと、目の前に形のいい唇の大写しがせまる。
 コンラッドはあわてたように、彼女を下におろした。ローレルは男のからだをあまりにも意識しすぎて、まわりの景色が目に入るどころではなかった。いつのまにかふたりは戸外に出ていて、そこには車がとまっている。「乗るんだ」助手席のドアを開けはなって、彼が命令した。
 憤りながらも、言われたようにするしかなかった。
 コンラッドは運転席に座るとすぐボタンを押して、ドアをすべてロックした。「これなら飛びだせまい」満足したようにつぶやく。エンジンがかかると同時に、車は開けはなたれた鉄の門に向かった。犬をしたがえた門番を見て、彼は窓を開け言葉をかけた。「この顔をよく覚えておくんだ、ボリス。また押し入ろうとしたら、こんどこそ警察を呼ぶんだぞ」
 河をめざして走っていく車のなかで、彼女は煮えたぎるような憤りをこらえて座っていた。
 ようやく棧橋に着くと、コンラッドは車をとめて言った。「ぼくが帰ったあとで、また船からぬけだそうなどと、だいそれたことを考えてるならむだなことだぞ。ハーゲンに二軒しかないホテルには、泊まれないように手配してある。覚えておくがいい」
「だれでも命令どおりになるとはかぎらないわ」ローレルはいどむように言いかえした。
 彼は冷笑を浮かべている。「張りあおうとしたってむだだ。野宿なんかすれば、逮捕されるだけだからな」
「そんなばかげたことが起こるわけないわ」声を荒らげる。「いったいなんなの、あなたは? 独裁者を気どっているつもり?」
 それには答えず、彼はドアのロックをはずした。「さあ、おりてもらおう」
「お願いだから話を聞いて――」
 コンラッドはさっさと車をおり、助手席側にまわってドアを開けると、ローレルの腕をつかんで言った。「出るんだ」彼女がおりたつと、じっと見すえる。「はっきり言っておく。今後どんなことがあろうと、フェルトシュタイン城には近づくんじゃない。このことはよく覚えておいてほしい。でないと後悔することになる」
 こちらの答も聞かず、コンラッドは車に乗りこみ、走り去った。ローレルは胸のなかで思いつくかぎりの悪態をつぶやきながら見送った。


*この続きは製品版でお楽しみください。

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