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桃色新婚生活〜旦那さまからは逃げられない〜【SS付き電子限定版】

桃色新婚生活〜旦那さまからは逃げられない〜【SS付き電子限定版】


発行: ヴァニラ文庫
シリーズ: ヴァニラ文庫
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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解説

一度きりだなんて、誰が決めたんだい?
愛に目覚めた公爵の溺愛は刺激が強すぎ!?

父公爵を亡くしたばかりのセルゲイを励ましに行ったアナスタシア。そこでいきなり求婚され結婚することに!優しげな言葉とは裏腹に、どこまでも愛を沁みこませるような激しい初夜。所構わずアナスタシアを欲しがるセルゲイの愛欲に困惑しながらも蜜月は幸せだった。しかし、セルゲイに渡したプレゼントがきっかけで彼の浮気疑惑が浮上して…!?

★SS付き電子限定版★

※こちらの作品にはイラストが収録されています。
 尚、イラストは紙書籍と電子版で異なる場合がございます。ご了承ください。

抄録

「……抱きしめてくれないか」
「えっ……? ええ……」
 アナスタシアは一瞬戸惑ったが、それがセルゲイの望みならと、広い肩を両手で覆った。
 もとよりセルゲイのためになにかしたくて訪れたのだ。セルゲイがそう望むなら、やぶさかではない。
「呆気ないものだな、命なんて。まさかこんなに早く父が亡くなるなんて、思ってもいなかった」
 アナスタシアのウエストに回った手が、かすかな震えを伝えてくる。
「俺はひとりになってしまった……」
「セリョーガ、そんなふうに思わないで。私たちがいるわ。お兄さまたちも、お父さまもお母さまも。あ、お母さまも一緒なのよ。向こうでお茶を飲んで、お喋りでもしましょう。おじさまを悼むのも大切だけれど、少しは気を紛らわせなくてはいけないわ」
「情けない男だと思うだろう?」
「そんなこと!」
 アナスタシアは思わずセルゲイの頬に両手を添えた。長い睫毛が揺れて、宝石のような緑色の瞳がアナスタシアを映す。
 アナスタシアは突然自分の気持ちに気づいた。もう憧れではない。自分はセルゲイを愛したい。いや、愛している。
 愛しているからこそ、悲しみ苦しんでいる彼のそばにいたいと思い、失われた家族の分も自分が見守って、幸せにしたいと思っているのだ。
「とても悲しいことだもの。つらいのは、あなたがおじさまを心から愛して慕っていたからよ。心の痛みが癒えるには時間がかかるわ。ああ、私にできることがあるかしら? 少しでもあなたを慰めることができたら……」
 セルゲイのこんな顔は見たくない。笑顔が見たい。それがアナスタシアに向けてのものでなくてもいい。
「あなたに……笑って、幸せになってほしい……」
「……ナーシャ……そう言うきみが泣いているじゃないか」
 セルゲイは驚いたように目を瞠って、アナスタシアの頬を伝う涙を指先で拭う。
「あなたの分も私が泣くわ。だから……」
 セルゲイはアナスタシアの両手を握ると、そこにキスをした。
「ありがとう、なんて優しい子なんだ。しかしそれなら、きみはいつも俺のそばで様子を窺っていなければならなくなるよ」
「いいわ。そばにいて、あなたが悲しいときは代わりに泣いてあげる」
 セルゲイがそう望むならアナスタシアに否やはなかったし、軽口だったとしても拒むような言葉は言いたくなかった。
「本当に?」
 緑色の瞳がきらめいて、それに見惚れたアナスタシアは、握る手の力が強くなったのにも気づかなかった。
「嘘なんて言わないわ」
 ふいにセルゲイが立ち上がり、アナスタシアは驚きをもってその長身を見上げた。最近はこんなに近くで向き合ったことがなかったから、セルゲイの背が高いと認識してはいても、身をもって感じたのはこのときが初めてだった。
「よし決まりだ。じゃあ、そうしてもらおう」
 セルゲイはようやくかすかな笑みを浮かべ、そのことに安堵したアナスタシアの唇に掠めるようなキスをした。
 ……えっ……?
 まるでバラの花びらが触れたようなかすかな感触に、セルゲイが元の距離に戻っても、アナスタシアは呆然としていた。
 キス……だったわよね? 今の……でも、どうして? セリョーガが私に……。
 セルゲイはショールをアナスタシアの肩にかけて、耳元で囁いた。
「これ以上は、そのときまで取っておくことにしよう」
 取っておく? なにを、いつまで?
 依然として不可解さに包まれたまま、気づけばアナスタシアはセルゲイに誘われて、サロンへと移動していた。
「ああ、セリョーガ。ご迷惑かと思ったけれど、気になって押しかけてしまったわ」
 母のオクサナが椅子から立ち上がって近づくと、セルゲイはその手を取って貴公子らしく一礼した。
 記憶にある限り、セルゲイがアナスタシアの母に対して、正式な作法をしたのは初めてだ。これまでは軽く抱擁して頬を合わせていた。
「お気づかいいただき感謝いたします、侯爵夫人」
「新しい公爵さまね。頼もしいこと。お父さまもご安心でしょう」
 涙ぐむ母を見ながら、アナスタシアは、ああ、そうなのだ、と思った。
 頭では理解していたけれど、セルゲイはもうジリノフスキー公爵となったも同然なのだ。ほどなく承認を受け、正式に公爵となる。
 サンルームで縮んだと思っていた距離が、また大きく開いてしまう。そして、きっともう二度と縮まることはないのだろう。セルゲイもアナスタシアも、おとなとしてそれぞれの人生を歩んでいく。
 急に寂しいような気持ちに見舞われて、アナスタシアはセルゲイにエスコートされるまま、俯いて椅子に座った。
「ナーシャが騒がしくしたのではなくて? ごめんなさいね、いつまで経っても子どもで……」
「とんでもない。ナーシャが来てくれて、父が亡くなって以来、初めて心が晴れました。いつの間にか、こんなに思いやりのある美しいお嬢さんになっていたのですね。まるで白バラの妖精のようだ」
「あらあら、そんなに褒めていただいて、どうしましょう。チェリーとサワークリームのケーキを召し上がって」
「ありがとうございます。ああ、懐かしいな。これも大好物なのですが、もっと好きなものがありまして、先にお伝えしておこうかと――」
 ふたりの会話こそ耳に入っていたが、アナスタシアはティーカップの中で揺れるジャムをぼんやりと見つめていた。
「ええ、もちろん。次のときには持ってまいりますよ」
「ナーシャを……アナスタシア・ペトロヴナ嬢を、ぜひ我が妻として迎えたく思っています」


*この続きは製品版でお楽しみください。

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