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和書>小説・ノンフィクションハーレクインハーレクイン・イマージュ

シンデレラの子守歌

シンデレラの子守歌


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・イマージュ
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 マリオン・レノックス(Marion Lennox)
 オーストラリアの農場で育ち、ロマンスを夢見る少女だった。医師との結婚後、病院を舞台にしたロマンス小説を書くことからスタート。現在はハーレクインの常連作家として、作品の舞台も多様になり、テンポのよい作風で多くの読者を得ている。トリシャ・デイヴィッド名義でも作品を発表していた。

解説

捨てられた小さな天使、そして……愛を知らぬ富豪とシンデレラの二都物語。

ホテルの清掃係のサニーは、とある客室で修羅場を目撃した。新生児を乗せたベビーカーを押していきなり入りこんできた美女が、その部屋の客、魅力的な大富豪マックス・グレイランドを相手に、赤ん坊の父親であるマックスの老父をさんざん罵って出ていったのだ――にわかに事態をのみこめず呆然とする彼に、幼子を押しつけて。それは、急逝したマックスの父親が女性に産ませた子だという。彼がこちらの存在に気づかぬよう、サニーはじっと息を殺していた。だが、マックスはすかさず彼女に目を留め、鬼気迫る声で言った。「その掃除用具を置いて、この子を受け取ってくれ!」サニーは退けられなかった――彼の無茶な願いも、胸のときめきも。

■サニーは早くに母を亡くし、遺された4人の弟妹を大学に行かせるため、15歳で学校をやめて働きに出た苦労人。どういうわけか、厄介事を背負いこんでしまう彼女は、今度もまた、無垢な赤ん坊とその異母兄であるハンサムな大富豪を放っておくことができず……。

抄録

 サニーには、マックスの緊張が手に取るようにわかった。この人はマスコミによれば世界有数の大物実業家だそうだけれど、今は扱い方を知らない赤ん坊を押しつけられた、ただの男。
 それがどんな気持ちか、わからないわけではない。
 そこでミルクを作るのを手伝い、肌で温度の確かめ方をやって見せ、もっと科学的な方法があるはずだという意見にも同意した――だが、午前四時に誰が温度計を探してくれる? マックスがおむつを替えるのを見守りながら、ホテルの売店から余分に取り寄せておいてよかったと思った。三度目にようやく失敗しないでテープを貼れた。
 それからサニーはソファに戻り、マックスが窓辺のデスクで妹にミルクを飲ませている間、枕に寄りかかって贅沢なひとときを過ごした。
 前回授乳した際、フィービーは極度の疲労と空腹で必死に乳首を吸っていたが、今は落ち着いている。快適で、おなかがすいたらすぐにミルクがもらえ、満足げに自分を抱いている人物を見上げている。
 部屋の照明をつけていないのでサニーはマックスの緊張が解けていくのを月明かりで見ていた。フィービーも世界が順調に進んでいるのを察知している。
 いつもこんなに簡単にいくとは限らない。これからどんな試練がこの人を待っているのだろう? ミルクを飲んだあとに起こる腹痛や、夜泣きなど、育児にはさまざまな困難がつきものだ。彼はそんな事態に立ち向かうのだろうか?
 そんなわけはない。必死で助けを求めて清掃係のサニーを雇ったくらいだ。手配がつき次第、すぐにもっとふさわしい者を雇うだろう。
 それでも大目に見よう。この人がオーストラリアに来たのは父親の葬儀のため。世界中が知っている。コリン・グレイランドはオーストラリアの鉱山王だった。息子は何代も続く金融帝国のうち、論争の種にならない分野を引き継いだ。おとなしくしているようで、息子のほうはほとんど世間の噂に上らない。時折彼がこのホテルにやってくると女性従業員たちが騒ぎ立てる。これだけゴージャスな億万長者なのだから無理もない。それに彼の滞在中、決まって父親がホテルに押し入っては騒ぎを起こしていた。
 オーストラリアで、コリン・グレイランドは常に論争の的だった。露天鉱山をずたずたにし、環境保護も顧みず、価値ある資源を取りつくしたあとは、土地を元通りに修復しようともしない。絶大な権力と財力を有するために、法的な手段をもってしても、彼を止めることはできなかったようだ。
 だが息子は父親のやり方に異を唱えていたらしい。親子の対立は多くのゴシップ記事になっていた。
「それで、明日はお父様の葬儀で、どんな話をするの?」きいてしまった。清掃係が財界の大物に弔辞で何を述べるか尋ねるなんて。でも、この人は追悼文を書くために起きたと言っていた。何か役に立てるかもしれない。サニーは膝を抱えて待った。
「わからない」マックスはそっけなく言った。
「そう」フィービーはミルクを飲み続けている。ほぼ暗闇で、妙に親密な雰囲気だった。パジャマパーティみたいだと、サニーは思った。でも違う。彼の大きな手は妹を抱いて哺乳瓶を持っている。パジャマパーティではなく父親と母親のようだ。父親がその役目を果たしている。
 そのどちらかでも知っているの? パジャマパーティなど、したことがない。役割分担する両親? そんなものには、まったく縁がなかった。
 でも今はそんな話をするときじゃない。実際ほとんど自分の生い立ちを口にしたことがない。今は目の前の男性と彼の差し迫った問題に集中するべきだ。
 新聞によれば、大規模な葬儀になるらしい。有力な開発業者、出世を狙う政治家、政府高官までがこぞって参列する。老家長が亡くなっても、グレイランド家の影響力は絶大だからだ。
 この人は七時間もしないうちに、その葬儀の場で追悼文を読み上げなければならない。
「わたしなら、怖くて逃げ出しそう。あなたは即興でできそう?」
「なんだって? マイクの前に立ってから、何を言うか決めろって言うのか?」
「このままだと、そうなるでしょう」
「ぼくに考える時間もくれず、ぼくの子供にミルクもやってくれない人が、よく言うものだ」
“ぼくの子供”自分がそう言ったことに気づいて、ショックを受けたマックスの顔に恐怖が浮かんだ。
「あら、追悼文を考えるのは喜んで手伝うわ」サニーは急いで言った。「そんなに難しいの?」
 マックスの顔に決意が見えた。抱いている子供から話をそらそうと決めたのだろうか? 「父とは折り合いが悪かったなんてものじゃない。父の私生活をほとんど知らなかったくらいだ」
「どうして?」サニーはためらいがちに言った。そんなことをきく権利も必要もないけれど、マックスがいやなら答えなくていいし、なんとなく話したがっている気がした。子供の話以外ならなんでも。


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