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片思いの第二章

片思いの第二章


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・イマージュ
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 アリスン・ロバーツ(Alison Roberts)
 ニュージーランド生まれの彼女は父親の仕事の関係で5歳のときから海外生活を経験した。帰国ののち小学校教師となり、医師の夫と結婚。クライストチャーチに移住後は医療関係の仕事に携わる。夫とスコットランドに滞在していたとき、小説を書き始めた。現在は救急隊員の資格を取るべく訓練中で、執筆の合間には、可能な限り現場に出ているという。

解説

運命の人と愛し愛され、結ばれる。それを叶えられるのは彼だけなのに……。

“10年後、おたがい独身だったら結婚しよう”ケイトは学生時代に友人ルークと卒業を祝った夜、そんな協定を結んだ。しかし、敏腕外科医となったルークの結婚でそれは無効となり、以来、ふたりは疎遠になったままだった。本当はずっと彼に片思いをしていたケイトの心も宙ぶらりんのまま。やがて仕事の一環で、彼女はルークと偶然の再会を果たす。奇しくもそのとき、ちょうど約束した歳月が過ぎ、しかもルークは妻の不義で離婚して独身に戻っていた。そして、ずっと密かに想いを寄せていたケイトの気も知らず、恋愛感情より“友情”に基づく結婚をしようと、協定の復活を宣言した!

■大好きなルークから女性として相手にされてこなかったケイトは、友情結婚を素直に喜べず、今一歩踏み出す勇気が出ません。そんなとき親友の妊娠が発覚し、刺激を受けた彼女は恋愛への幻想や憧れを捨てて前に進む決意を固めますが……。片思いの第二章、開幕!

抄録

 ルークは、砂煙を逃れて離れた場所に立つケイトのほうへ歩いていった。
「ここまでどんな調子だい?」
「上々よ」ケイトは生き生きと顔を輝かせている。何か言いたくてたまらなさそうにまた口を開いたが、はっと閉じると、残念そうに顔を曇らせた。「でも、まだ話せないわね」
「ああ」ルークはすぐには彼女の顔から目をそらせなかった。ケイトはそのくるくる変わる表情に、どれだけ気持ちがあらわになっているか気づいていないのだろうか? ケイトとの会話をすっかり忘れていた。それがどんなに楽しいかを。
 二人の見守る中、ジョージアは猛スピードで蛇行し、コーンを二つなぎ倒した。
「彼女、ちょっと大胆だな」
「むきになるところはあるわね」ケイトは認めた。「でもやり直せると思うわ。前のチームは三回やり直していたから」
 それならあと数分、二人でいられる。ほかに話すことはないのか?
「グラスゴーのどこで働いているんだったかな?」
「イースタン病院よ。産科と小児科の専門病院で、|小児集中治療室《PICU》の設備はスコットランド一」
 ルークはうなずいた。「そうだ、うちも外科の患者を移送したことがある。君は主にPICUにいるのか?」
「いいえ。小児科の専門医として病棟を担当しているわ。場合によっては救急科にもたまに入るけど」
「満足している?」
 ケイトは目を見開いた。「仕事のこと? もちろんよ。昔から子どもを診るのは好きだし」
 今ケイトの目に一瞬よぎったのはなんだ? 仕事以外の生活には満足していないということか?
「ああ、覚えている」ルークは言った。「君は最初から子どもたちとすぐに打ち解けていた。君自身はまだなのかい? ゆうべは答えなかったから……」
「私自身の何が?」
「子どもだよ」
「ええ」ケイトは視線をそらし、二回目のスタートをしようとしているジョージアに向けた。「でも、いつかは。それもまだ人生の目標よ」
 声がどこか寂しげだった。シャンパンに酔った夜の会話をケイトも思い出しているのだろうか? 輝かしいキャリアを積んで、理想の女性とその栄光を分かち合うという僕の目標も?
 ルークはふっと鼻から息をもらした。まあ、理想とするキャリアを築きつつあるのは確かだ。それからちらりとケイトに目を向けた。
「それで、もう父親候補はいるのかい?」
 ケイトは手をかざして日ざしを遮った。「前よりいいわよ、ジョージア。でもスピードがない……」
「パートナーとか」ルークは食い下がった。「恋人とか、そういう相手はいるのかい?」
 ケイトはうんざりしたようにため息をついた。「いないわ」
 ルークは一瞬黙り込んでその情報を消化した。ジョージアが審査員たちが立っている場所へと戻っていく。審査員はジョージアにもう一回走らせるべきかどうか話し合っているようだ。
 そうか、ケイトは独り身か。
 よかった、とルークは思った。つまり、二人で時間を過ごすのに障害もなければ、ダブルデートができるように誰かを見つける必要もない。
 よかったどころか、最高じゃないか。
「そして、三十五歳になった……」しまった、声に出してしまったか?
 ケイトがあきれたように鼻を鳴らしたことからすると、どうやら聞こえたらしい。
「君が覚えているとは思わなかった。あのときはずいぶん酔っていたからね」
 二本目のシャンパンを開けようと言いだしたのはケイトだった。それでもあの協定を覚えているとは……。
「どのみち、あれは無効よ。あなたは結婚したわ」
「あれは失敗だったな」ルークはあえて軽い口調で言った。「傷口に塩を塗らないでくれ」
「ごめんなさい」ケイトはほほ笑んだ。「でも子どもがいなくてよかったわね。それとも、いるの?」
「いない。おかげで、きれいさっぱり別れられた」
 一瞬の沈黙が落ちた。ジョージアはおそらく最終回となる運転技能テストに備え、位置についている。マッテオが車の窓から身を乗り出して、それを注意深く見守っていた。
 ケイトも固唾をのんで見守っている。だがルークは彼女をちょっとからかいたい気持ちを抑えられなかった。
「あの協定には、たしかなんの条項もついていなかったな」ルークは言った。「お互い三十五歳になってまだ独身だったら結婚すると本気で約束しなかったか?」
 ケイトが肩越しにそっけない目を向けた。「せっかくだけど、私はもう少し自分に猶予を与えるつもりよ。まだ諦めていないの。運命の人がきっとどこかにいるはずよ。まだ出会っていないだけで」
 ルークは低くうなった。「本気で信じちゃいないだろう? 運命の人と出会うだなんて」
 ケイトの肩がこわばるのがわかった。声は冷ややかだ。「私もあなたとナディアみたいな出会いを求めているのかもしれないわ」
「違う」自分でも思いがけず激しい口調で言い捨てていた。「そんなわけがない」
「でも最初はすばらしかったでしょう? あんなに幸せそうなあなたは見たことがなかったもの」
 またも声が寂しげな響きを帯びた。ルークの頭がルールを破り、愛の記憶を掘り起こす。愛するとはどういうことか。どれだけ魔法にかかったようになるか。ルークはすぐさまその記憶を頭から締め出した。今の自分にその手の魔法は必要ない。魔法はあくまで魔法。目くらましだ。誰かが指をぱちんと鳴らしたとたんに目が覚めて消えてしまう。
 ケイトが沈黙を破った。自分が不穏な空気を呼び起こしたと気づいたのか、今度は口調が優しかった。
「あなたは相手を間違っただけよ」
「君は間違えないと思っているのか?」
「そう願っているわ」
「どうしたら理想の人だとわかるんだ?」ルークは純粋に好奇心から尋ねた。


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