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誓いは薔薇の園で【ハーレクイン・セレクト版】

誓いは薔薇の園で【ハーレクイン・セレクト版】


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・セレクト
価格:500pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 ジェニー・ルーカス(JENNIE LUCAS)
 本屋を経営する両親のもとたくさんの本に囲まれ、アメリカ、アイダホ州の小さい町で遠い国々を夢見て育つ。十六歳でヨーロッパへ一人旅を経験して以来、アルバイトをしながらアメリカじゅうを旅する。二十二歳で夫となる男性に出会い、大学で英文学の学位を取得した一年後、小説を書き始めた。現在、幼い子供ふたりの育児に追われながらも執筆活動を通して大好きな旅をしているという。

解説

父の会社が乗っ取られ、困窮したライアは友人である年上の伯爵の厚意で、形だけの結婚をした。やがて亡き夫の遺産を相続したライアは舞踏会で浅黒い肌の野性味溢れる豪腕実業家、ロアーク・ナバーラと出会う。大胆不敵にも彼は、ダンスフロアの真ん中でライアの唇を貪欲に奪った。「君が欲しい」彼女の体をしっかりと抱きしめ、ささやく。ライアは心ならずもキスに溺れた――誰あろうロアークこそが父の会社を奪った張本人だと知るのは、バージンを捧げたあとだった。1年半後、ライアは結婚式会場でロアークと再会。娘のルビーが彼の子だと知られてしまい……。

■名実ともにロマンスの新女王として、ハーレクイン・ロマンスのトップ作家の座に躍り出たジェニー・ルーカス。大人気のシークレットベビーがテーマの本作では、愛をくれないヒーローを愛したくないのに愛さずにいられないヒロインの切なさが胸に迫ります。

*本書は、ハーレクイン・ロマンスから既に配信されている作品のハーレクイン・セレクト版となります。 ご購入の際は十分ご注意ください。

抄録

 ライアが生まれる前に何代もの人々が過ごしてきた広大な城のうら寂しさが胸の奥にこだまする。彼女は寝室に入り、指に輝くダイヤモンドの結婚指輪に目をやった。
 亡き夫からもらった指輪をつけていながら、ほかの男性とキスするなんて。恥ずかしさに襲われる。
 閉じた目から涙があふれそうになった。「ごめんなさい」ライアは声に出して言った。夫がその場にいて聞いているかのように。「あんなことを自分に許すなんて」
 私にはこれを指にはめる資格がない。ゆっくりと彼女は指輪をはずした。
 廊下の先にある夫の寝室に入り、伯爵が愛した先妻の肖像画の後ろに隠された金庫を開ける。指輪をしまい、扉を閉めると、金庫に鍵をかけ、ライアは肖像画に描かれた愛らしい女性を見つめた。
 最初の|伯爵夫人《コンテツサ》はぶらんこに座って笑っている。伯爵は妻のマッダレーナを心から愛していた。だからこそ、ライアと結婚したのだ。伯爵は二度とほかの誰かを愛することはないと言った。マッダレーナを永遠に愛しつづけると。
 ライアにとってそんな愛情を経験したことはなかった。これからもないだろう。彼女は深く息を吸った。寒い。凍えそうなほど寒い。
 もう温かさを感じることはないのだろうか?
「ごめんなさい」ライアはもう一度言った。「あなたを忘れるつもりはなかったの」
 それから日差しを浴びた薔薇園に出ていった。
 二メートルを超える古い石塀に囲まれた庭は、赤やピンクや黄色に咲き乱れる薔薇で埋めつくされている。ジョバンニお気に入りの場所だった。伯爵は自分で薔薇を育てていた。何時間も庭の手入れをして過ごしたものだ。
 だが、何カ月も放置された薔薇は育ちすぎ、なかば野生化していた。暖かい青空に向かって伸びた花は、古代ローマ帝国の創設期に造られた城壁の高さまで届くものもある。
 ライアは身をかがめ、大輪の黄色い薔薇の香りを嗅いだ。黄色は思い出の色。いちばん香り高いのもうなずける。ライアはジョバンニのぬくもりを、彼の優しさを偲んだ。ほんの一瞬でも彼を忘れたことが後ろめたい。あのキスのあいだ……。
 ライアは目を閉じ、薔薇の芳香を胸に吸いこんだ。高い木立を渡る風の音に耳を澄まし、トスカーナの暖かい陽光を顔に浴びる。
「こんにちは、ライア」静かな声がした。
 ライアははっと振り返った。
 彼だ。
 男性は錬鉄製の門のあいだから黒く光る瞳でライアを見つめてから門を押しあけ、ゆっくり庭に入ってきた。咲き乱れる薔薇のおびただしい色の氾濫のなかで、黒いシャツと黒いジーンズがくっきりと際立っている。近づいてくるその身のこなしは、肉食獣のようにしなやかで危険な雰囲気がある。ライアは彼の熱い視線を全身で感じた。
 なぜかニューヨークで会ったときよりさらにハンサムに見える。まわりを囲む森と同じくらい野性的で猛々しい。鋭いとげを持った薔薇のように自然のままの男性的な美しさだ。
 今、ここには二人のほかに誰もいない。
 彼はライアと庭の出入口のあいだに立っている。
 今度はタクシーもない。逃げ道はない。
 体の震えを抑えようと、ライアは思わず胸の前で腕を組み、あとずさった。「どうしてここが?」
「さほど難しくない」
「あなたを招待した覚えはないわ!」
「そうかな?」彼は冷ややかに言い、ライアの顔を見つめたまま手を伸ばし、黒い巻き毛を指にからませた。「本当に?」
 ライアは息ができなかった。中世の石塀はかつて侵入者を防ぐために築かれたものだ。その塀に彼女は今、閉じこめられている。
「お願い、近づかないで」彼を焦がれる思いに震えながら、ライアはささやいた。彼のぬくもりが欲しい。彼に触れてほしい。自分がまだ若く、女であることを感じさせてくれたあの感触が欲しい。ライアは乾いた唇を舌で湿らせた。「帰って」
「それは本心じゃないはずだ」
 彼はライアの顎を持ちあげ、キスをした。
 彼の唇は力強く、それでいて柔らかく甘い。中世の庭を飛びかう蜜蜂の羽音が聞こえる。崩れかけた石塀に隠された二人だけの秘密の世界。咲き乱れる薔薇の香りがライアのあらゆる感覚を包み、めまいを誘う。ライアはわれを忘れ、彼のとりこになった。いつまでもこのままでいたい。
 彼は藤の蔓に覆われた塀にライアの背中を押しつけ、強引にまたキスをした。彼女をじらし、奪い、求め、そそのかす……。
 結婚式でジョバンニがライアの額にした慎ましやかなキスからは想像もできない。大西洋を越える飛行機のなかで、ライアはずっと自分に言い訳していた。あのキスに応じたのは、一瞬正気を失っていたからだと。二度と起こらないと。
 だが、今の快感は前にも増して大きかった。願望が高まるほど、甘美な激情は増すばかりだ。悲しみも孤独も胸の痛みも、すべて遠ざかる。感じるのは、熱く求める彼の唇と手の心地よい愛撫だけ。
 彼は欲しいものを手に入れる。
 ライアは抵抗しようとした。けれど、それはクリスマスや幸せや楽しみを拒むようなもの。人生そのものを拒絶するようなものだ。
 いけないとわかっていながら、ライアは彼が欲しかった。
 最初はおずおずと、やがて相手と同じ貪欲さで彼女はキスを返した。自分の欲望が突き動かす大胆な力におののく。彼は自分に触れるよううながし、どんなにささやかなものでも彼女が愛撫を試みるたびに感謝の言葉をささやく。


*この続きは製品版でお楽しみください。

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