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ダイヤモンドの政略結婚

ダイヤモンドの政略結婚


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ロマンス
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 アンディ・ブロック(Andie Brock)
 イギリス南西部ブリストルに夫とリルという名の猫と暮らす。4歳くらいのころから架空の“友達”をたくさん家に招いては、母親に彼らのぶんも夕食を作るよう頼んだり、ドライブに行く際には車中で席を詰めるよう頼んだりして、家族を困らせたという。そして大人になった今も、同じことをしているわと笑う。現実の友達もいるけれど、頭の中で架空の友達を作り上げては、彼らが物語の中で恋に落ちるのを楽しんでいるの、と。

解説

父と国のために、政略結婚を受け入れ、夫に所有される。そこに愛は、ない。

パリのセーヌ川にかかる橋の上で、アナは震えていた。昨日会ったばかりの異国の王に嫁いで、困窮する国と父王を救う。でも前の婚約で、私は女として役立たずだと言われた。ベッドをともにできず、ののしられた心の傷はまだ残っている。同じ恥はかけないと逃げだしたのは、本当は結婚したくないから?そこへ一人の男性が追いかけてきて、アナを捕らえた。スキャンダルにはなるけれど、もうほかに方法はない。アナはどきどきしながら、精悍でハンサムな彼に唇を押しつけた。その男性が結婚するはずだった王の弟、ザヒールとも知らず……。

■『鷹王と純潔の踊り子』でデビューを飾り、1作ごとに着実に人気を獲得しているアンディ・ブロック。愛を求める純粋無垢なヒロインと、大切にしたいあまり彼女を遠ざけてしまう“野獣”と呼ばれる異国のプリンスの、切ないすれ違いをお楽しみください!

抄録

 どうなってもかまわないわ。
 ぎゅっとこぶしを固め、爪先立ちになって、手すりから身を乗りだした。このいまいましい指輪を、川に投げ捨ててやる。私の運命を決めるのは私自身よ――。
 その男性はどこからともなく現れた。筋肉質の熱く重い体がふいにのしかかり、花崗岩の壁のような胸に押しつぶされたせいで、アナは息ができなくなった。見えるのは黒い人影だけで、感じられるのはきつく締めつける両腕の力強さだけだ。ショックのあまり、アナは体の力が抜け、骨がとけてなくなったかと思った。ただ心臓だけが激しく打ち、必死に生きつづけようとしていた。
「おい、だめだ、やめろ」
 なにをやめるの?
 アナは酸欠状態の頭を無理やり働かせた。むしろこちらが、この頭のおかしな男性に、なにやめるべきか教えたほうがいいんじゃないの? たとえば、私を窒息するほど強く押さえこんではいけないとか。
 アナは必死に体を動かした。すると、腕がさらにきつく締まり、気がつけば口のすぐそばに男性の素肌があった。その気になれば、香辛料と汗がまじったような男らしい味を舌に感じられそうだ。唇に触れているざらついたものは胸毛に違いない。アナはどうにかこうにか口を開き、思いきり男性に噛みついた。
 やったわ! 男性が飛びあがり、大声で悪態をつく。聞き慣れない外国の言葉だ。
「どうして君は……」男性はほんの少し力をゆるめ、刺すような目でアナをにらみつけた。「君はいったいなんなんだ? 動物か?」
「私が?」信じられない。アナは恐怖も忘れ、男性を見つめ返した。彼は何者で、なにを求めているの? 目をこらすと見覚えがある気がしたけれど、しっかり見極められるほど身を引くことはできなかった。「私を動物呼ばわりするの? そっちこそ、獣みたいに暗がりから飛びかかってきたくせに!」
 男性の黒っぽい目が細くなり、きらりと光った。刺激するのは、得策ではなさそうだ。
「ねえ」なだめるような声を出そうとしても、死ぬほど強く抱きしめられているせいで、くぐもった声しか出てこない。「お金がめあてなら、あいにく持っていないの」
 本当だった。パーティから逃げだすことしか頭になくて、アナにはクラッチバッグをつかむ余裕さえなかった。
「金などいらない」
 だったら、なにがほしいのかしら? 恐怖で息が苦しくなる中、アナは必死に頭を働かせた。なんとかして、男性の気をそらさなければ。その瞬間、指輪を思いだした。試してみる価値はある。「でも、指輪があるの。この手の中に」見せようとしたけれど、腕は自由にならなかった。「放してくれたら、あなたにあげるわ」
 あざけるように鼻を鳴らす音が聞こえた。
「何千ドルもの値打ちがあるのよ。もしかしたら、何百万ドルかもしれないわ」
「その指輪の価値なら、よく知っている」
 アナはほっとした。つまり、この人が狙っていたのは指輪だったのだ。だったら大歓迎で、いい厄介払いができる。これであっさり、婚約からのがれられるといいけれど。
 アナが指輪を差しだそうともがいていると、男性がふたたび口を開いた。「当然だ。小切手に署名したのは僕なんだからな」
 アナはぴたりと動きをとめた。なんですって? この人、いったい何者なの? たくましい腕の中で身をよじると、わずかに力がゆるんだので、背筋を伸ばして男性の顔を見つめる。その瞬間、心臓がとどろくように打ちはじめた。
 怖いくらいに端整な顔立ちだ。鋭くて高い頬骨も、まっすぐな鼻も、花崗岩を彫ったように頑固そうな顎も、街灯のオレンジ色の光のせいでいっそう際立って見える。男性の全身からにじみでる力強さに、アナは身を震わせた。
 たしかに見覚えがある。今夜のパーティ会場のどこかで、この男性を目の端でとらえていたことを、アナはようやく思いだした。黒い人影にすぎなかったのに、見のがすことはできなかった。彼はめだたない場所にそびえるように立ち、周囲に目を配っていた。アナのことも見ていたけれど、視線が合うと彼女は顔をそむけた。ボディガードか用心棒か、そんなところだと思ったからだ。そういえば、男性はアナの婚約者ラシッド・ザハニのそばをけっして離れず、つねに一歩下がってはいたものの、どういうわけかすべてをとり仕切っているような雰囲気を漂わせていた。
 でも、ボディガードが王の婚約指輪を選ぶかしら?
 この力の象徴のような長身の男性が、トレイに並んだ宝石の前で逡巡する姿なんて、どうにも想像できない。しかし、そんなことはどうでもよかった。大事なのは、彼に手を離させること。そうすれば私は固い決意を貫き通し、人生をめちゃくちゃにできる。
「強盗じゃないなら、理由を話してもらえる? 暗がりから私に飛びかかかって、死ぬほど怖がらせたのはどうしてなのか。私を解放しないのはどうしてなのか。たぶん、私が誰なのか知っているのね?」
「そのとおりだ、プリンセス」
“プリンセス”という言葉が男性の歯の間から聞こえると、アナは胃の中でなにかが腐った気がした。男性が腕の力をゆるめ、自分の両手を上に移動させる。アナの肩に置かれた手はずっしりと重く、焼けるように熱かった。
「それと、いまの質問への答えだが、僕は君が愚かきわまりないまねをするのをとめたんだ」
「これを川に投げこむのを?」アナはさげすむように頭を振り、手を開いてみせた。
「それと、君自身をね」
「私自身を? それって……まさか……」
「君が身投げしようとしていると思ったのかって? ああ、そうだ」
「どうして私がそんなことをするの?」


*この続きは製品版でお楽しみください。

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