和書>小説・ノンフィクション>ボーイズラブ小説>白衣
著者プロフィール
安曇 ひかる(あずみ ひかる)
安曇ひかるです。ボーイズラブ小説投票からの有料配信化第1号ということで、まずは本作に投票してくださった皆さまに、心より御礼申し上げます。本当にありがとうございました。有料配信にあたり、かなりふくらませたシーンなどもありますので、お楽しみいただけたらと思っています。
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解説
小児科医の望月智は、行きつけのジャズバーで酔っ払い男にからまれる。回し蹴りでその場は逃亡したものの、翌日、勤務先の病院で再会してしまう。実は男は、赴任してきたばかりの凄腕救急救命医・富樫朔矢だったのだ。おまけに小児科部長・西倉との愛人関係までも知られてしまい……。
<2008年度Charade新人小説賞受賞作品>
Charade&パピレス<BL人気投票>の読者選考にて、多数の支持を獲得した作品です! 大幅加筆で、待望の電子書籍化!
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Charade&パピレス<BL人気投票>の読者選考にて、多数の支持を獲得した作品です! 大幅加筆で、待望の電子書籍化!
抄録
「どうして」
智は、歩調を弛める。
「どうしてそんなに僕に構うんですか。家まで送ってくれたり、嘘ついてまで待ち合わせの邪魔をしたり」
同じく歩く速度を緩めた富樫が、背中で答えた。
「それは、お前があまりにもバカで、腹がたって仕方ないからだ」
「僕は……」
「バカじゃないってか? それで利口なつもりなのか。お前のやってることはな、バカの典型だ。見本だ。死んだらホルマリンに漬けられて、地下の資料室に飾られるぞ。『大バカ(オス)』ってラベル貼られてな」
「……」
「そんなにボロボロの身体で、また今夜もあの男に抱かれて、そんでまた同じように階段から落ちるつもりなのか。お前、先月当直何回やった? 八回か? 十回か? 激務だ戦場だと悪名高い救命だって、五回以上当直のある月なんて滅多にないってのに。貴重な昼休みの時間を上司との不倫なんぞに当てやがって、それをバカと言わないでなんて言うんだ。えっ?」
「それは……」
「今夜だって、どうせ食事なんかよりセックスがメインなんだろ」
「勝手に決めつけないでください」
「そんなに溜《た》まってんのかよ。仕事中に、あんなにフラフラになるまでヤラレて、それでもまだあの男に突っ込まれたいのか」
上目遣いに睨み上げた富樫の顔は、いつになく真剣で、眼光は静かな怒りに満ちていた。
「ちがっ、」
「違わねえだろ」
富樫の瞳が次第に別の色合いを孕《はら》み始めたことに、智は気づくのが遅れた。
「俺が抜いてやるよ」
「え?」
「そんなに、ヤリたくてたまんねぇほど溜まってんなら、俺が今ここで抜いてやる」
「誰がそんなっ、あ、やめ、」
「おとなしくしてりゃ、すぐに済む」
「なっ、ちょ、うわっ、何すん、」
智の渾身《こんしん》の抵抗など、この男の力の前にはヒグマに圧《の》しかかられた子ギツネのようなものだ。暗い路地裏の薄汚い壁にその身体を押しつけられ、智はあっという間に唇を塞《ふさ》がれる。
「ん、やめ、……ンンッ」
厚顔無恥なところが持ち主にそっくりな舌は、初めてだというのに遠慮もなしに智の口蓋奥深く侵入した。そして我が物顔で上顎《うわあご》の敏感な部分を嘗《な》め回す。
「……ンフッ、ムッ……」
噛み切ってやれと脳は命令を下すのに、身体はその熱い舌に翻弄され、すでに理性とは反対の方角に走り始めている。
「や、めろっ、……んく……」
噛みつくような荒っぽいキスの合間に、吐息と一緒に抗議の言葉を零しても、もうあまり真実味はなかった。
*この続きは製品版でお楽しみください。
智は、歩調を弛める。
「どうしてそんなに僕に構うんですか。家まで送ってくれたり、嘘ついてまで待ち合わせの邪魔をしたり」
同じく歩く速度を緩めた富樫が、背中で答えた。
「それは、お前があまりにもバカで、腹がたって仕方ないからだ」
「僕は……」
「バカじゃないってか? それで利口なつもりなのか。お前のやってることはな、バカの典型だ。見本だ。死んだらホルマリンに漬けられて、地下の資料室に飾られるぞ。『大バカ(オス)』ってラベル貼られてな」
「……」
「そんなにボロボロの身体で、また今夜もあの男に抱かれて、そんでまた同じように階段から落ちるつもりなのか。お前、先月当直何回やった? 八回か? 十回か? 激務だ戦場だと悪名高い救命だって、五回以上当直のある月なんて滅多にないってのに。貴重な昼休みの時間を上司との不倫なんぞに当てやがって、それをバカと言わないでなんて言うんだ。えっ?」
「それは……」
「今夜だって、どうせ食事なんかよりセックスがメインなんだろ」
「勝手に決めつけないでください」
「そんなに溜《た》まってんのかよ。仕事中に、あんなにフラフラになるまでヤラレて、それでもまだあの男に突っ込まれたいのか」
上目遣いに睨み上げた富樫の顔は、いつになく真剣で、眼光は静かな怒りに満ちていた。
「ちがっ、」
「違わねえだろ」
富樫の瞳が次第に別の色合いを孕《はら》み始めたことに、智は気づくのが遅れた。
「俺が抜いてやるよ」
「え?」
「そんなに、ヤリたくてたまんねぇほど溜まってんなら、俺が今ここで抜いてやる」
「誰がそんなっ、あ、やめ、」
「おとなしくしてりゃ、すぐに済む」
「なっ、ちょ、うわっ、何すん、」
智の渾身《こんしん》の抵抗など、この男の力の前にはヒグマに圧《の》しかかられた子ギツネのようなものだ。暗い路地裏の薄汚い壁にその身体を押しつけられ、智はあっという間に唇を塞《ふさ》がれる。
「ん、やめ、……ンンッ」
厚顔無恥なところが持ち主にそっくりな舌は、初めてだというのに遠慮もなしに智の口蓋奥深く侵入した。そして我が物顔で上顎《うわあご》の敏感な部分を嘗《な》め回す。
「……ンフッ、ムッ……」
噛み切ってやれと脳は命令を下すのに、身体はその熱い舌に翻弄され、すでに理性とは反対の方角に走り始めている。
「や、めろっ、……んく……」
噛みつくような荒っぽいキスの合間に、吐息と一緒に抗議の言葉を零しても、もうあまり真実味はなかった。
*この続きは製品版でお楽しみください。
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