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和書>小説・ノンフィクションハーレクインハーレクイン・ロマンス

大富豪とうたかたの蜜月

大富豪とうたかたの蜜月


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ロマンス
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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解説

この子とふたりで生きていく。私に愛される価値はないから。

プレイボーイ富豪ラムゼイの強烈な魅力に屈した翌朝、切ない想いをもてあましたノーラは彼のもとを逃げだした。さらに3カ月後、ノーラは妊娠に気づいて愕然とする。父にないがしろにされ続けた無価値な私にできるのは、この子を全力で愛することだけ――父に捨てられた母のように。幸せな家庭への切望を胸の奥に封じ込め、我が子を密かに産み育てる決意をしたノーラだったが、突然、目の前にラムゼイが現れた。魅惑的なグレーの瞳に、冷たい怒りをたぎらせて。

■注目の作家L・フラーは、登場人物の抱える心の傷を愛の力で昇華させる達人とも言われています。妊娠の事実を知るや否や解決策としての結婚を提示するラムゼイと、愛なき結婚におびえるノーラ。ふたりが徐々に歩み寄りはじめた矢先、厳しい試練が訪れて……。

抄録

 職場恋愛はトラブルのもと。しかも、相手がラムゼイ・ウォーカーならなおさらだ。その代償は計り知れないだろう。
 まあ、いずれにしろ彼とどうにかなるつもりはさらさらない。だいいち、〈RWI〉はアナと一緒に立ちあげた会社〈サイバー・エンジェルズ〉にとって、もっとも大きな取引先だ。そのうえ、現在アナはハネムーン中だから、何もかも自分ひとりで処理しなければならない。今は脳も体も完全に疲れきっている。男性にうつつを抜かす暇があったら、一分でも長く寝ていたい。
 ノーラは笑みを浮かべ、警備員に社員証を見せた。それからバッグのなかを探り、エレベーターのカードキーを取りだした。だが、うっかり手を滑らせて、オーダーメイドのイタリア製ローファーを履いた男性の足元にカードキーを落としてしまった。
「ぼくが拾おう」
 ふいに深みのある低い声が聞こえ、ノーラの体が一瞬固まる。彼女は顔に笑みを貼りつけ、声の主が差しだした手からカードキーを受け取った。
「ありがとうございます」
「どういたしまして」
 最低限の礼儀はつくし、ノーラは足早にエレベーターへ向かった。ラムゼイも一緒についてくる。
 エレベーターのドアが開いた瞬間、“やっぱり階段で行きます”と、口の先まで出かかった。だけど、オフィスは二十一階だ。階段を使って、そこまでたどり着ける自信はない。
「ずいぶん早い出勤だね」
 エレベーターに乗りこむなり、ラムゼイはイーストコースト独特のゆったりとした口調で話しかけてきた。狭い空間に響く彼の声に、ノーラの肌がざわめく。彼女は隣に立つ男性の顔をちらりと見あげ、たちまち後悔した。グレーの目が自分を見おろしている。口元にけだるげな笑みまで浮かべて。なんて魅惑的な唇なのかしら……。
 まさか、うっとりしていなかったわよね? 無表情だったことを祈るしかない。ノーラは軽く肩をすくめてみせた。「わたしは朝型なんです」
「そうなのか。ぼくは断然夜型だな」
 ふたりのあいだには張りつめた妙な空気が漂っている。ノーラはラムゼイから視線をそらし、まっすぐ前を見つめた。「でも今は朝ですよ。しかも、早朝です」
「たしかに。実は、昨夜パーティがあってね。早く帰るつもりだったんだが、なかなか抜けだせなくて……」
 ふと、ベントレーの助手席に座っていた鮮やかな赤毛の女性の姿が脳裏をよぎった。ノーラは横目でラムゼイをうかがった。彼は頭上に両腕を伸ばして、あくびをしている。眠る時間も惜しいくらい、彼女と楽しい夜を過ごしたに違いない。
「だから、家には戻らずパーティ会場からまっすぐ会社に来たほうがいいと思ったんだ。それで、きみは? パーティにはよく行くのか?」
 ノーラはラムゼイに視線を戻した。「いいえ、まったく。貴重な睡眠時間を無駄にしたくないので」そっけなく返す。
 彼がふっと笑った。「きみはもう少し肩の力を抜いたほうがいい。クリオは毎週のようにパーティを開いている。今度、ぼくと一緒に行こう」
「そんなことをしたら、クリオはどう思うでしょうね?」ノーラはつんと澄まして言った。ラムゼイは微笑んでいる――面白がっているみたいな笑み。その笑顔に、ノーラのうなじがぞくりとした。
「なんの問題もないよ。ぼくが楽しいと彼女も楽しいんだ」
 嘘ばっかり。楽しい人は泣いたりしない。最新号のゴシップ雑誌に、クリオが顔を涙で濡らし、彼の住むタワーマンションから出てくる写真が載っていた。ラムゼイ・ウォーカーにとっては、スーパーモデルでさえ何人もいるデート相手のひとりだ。
 ようやくエレベーターが止まり、ドアが開いた。ノーラはラムゼイに向き直り、顎をぐっとあげた。「誘ってくださってありがとうございます。でも、パーティには行きません。一緒に働いている人とは、職場以外で会わないことにしているんです」
 彼は眠そうな目でノーラを眺めている。「きっときみはその考えを変えるよ。ぼくは説得力にかけては自分でもかなり自信があるんだ」
 グレーの瞳にじっと見つめられ、ノーラの全身にじわじわとほてりが広がっていく。こんなまなざしを向けられたら、思わず前言を撤回してしまいたくなる。
「それはあり得ませんね。あいにく、わたしは仕事以外に興味はないので」
 捨て台詞を残してノーラがエレベーターから出た直後、ドアが静かに閉まった。
 心臓が破裂しそうなほど激しく打っている。ラムゼイに誘われたら、女なら誰だって有頂天になるだろう。だけど、わたしはコナーでもう懲りている。彼がわたしの前から去っていったときに、これからは仕事とプライベートは完全に切り離そうと強く心に決めた。二度と職場の男性とは付きあうものか。だから、彼らとはパーティにも行かない。
 とくに、ラムゼイ・ウォーカーとは。
 たしかにラムゼイはどこから見てもハンサムでセクシーな男性だ。おまけに敏腕実業家でもある。だけど、あまりに危険すぎる。彼とかかわったら、行きつく先はひとつだ。身も心もぼろぼろになるだけ。
 もちろん、社交欄の記事をすべて信じているわけではない。でも、彼の派手な女性遍歴はこの目でしっかり見てきた。デート相手は短期間でころころ変わった。まさに典型的なプレイボーイ。こういうタイプの男性には近づかないのが一番だ。
 だが、それは思っていたほど簡単ではなかった。事態はまったく想定外の方向へ流れていった。


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