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公爵さまの捕虜にされました〜令嬢騎士は溺愛困惑中〜

公爵さまの捕虜にされました〜令嬢騎士は溺愛困惑中〜


発行: ヴァニラ文庫
シリーズ: ヴァニラ文庫
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
みんなの評価 ★★★☆☆1
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解説

――身体検査をさせていただきます
捕らえられたのに超溺愛!?騎士公爵と淫らなシークレット・ラブ

殺さなければいけなかった敵国の騎士・エリオスに捕らえられたノンナ。騎士として育てられたノンナだったが、身体検査と称しながらも全身をエリオスに愛でるように触れられて、知らなかった感情に目覚めていく。甘やかな言葉と蕩けるような愛撫が、空虚だったノンナを満たしていく。しかしエリオスには祖国に婚約者がいると聞いてしまい……。

※こちらの作品にはイラストが収録されています。
 尚、イラストは紙書籍と電子版で異なる場合がございます。ご了承ください。

抄録

 心がざわめいて居心地が悪いはずなのに、もっとその笑顔を見つめていたくなって、そんな自分がさっぱり分からなくなっていた。
「食べられるようでしたらこちらも少しいかがでしょう? 簡単なもので申し訳ないのですが」
 エリオスはそんなノンナを確認し、前よりも更に柔らかい口調と共に盆を差し出した。
 上に載っているのは少しばかりの肉と豆の入ったスープと堅パン、レーズンとナッツ。
「ええとその……申し訳ありません……」
 羞恥に俯きながら、ノンナは盆を受け取ろうと手を伸ばす。
 しかしエリオスが差し出したのは盆でも皿でもなく、スープをすくったスプーンだった。
「あの……」
「どうぞ、ご遠慮なく」
 ノンナは困惑したようにスプーンを見つめるが、エリオスは平然とスプーンを差し出してくる。
 その手元は微動だにせず、スープの表面は鏡のように穏やかだった。
 このまま食事を受け取るためには、エリオスから強引にスプーンを奪い取るか、それとも子供のように口を開けるしかない。
 しかし、スプーンを奪い取ればその振動でスープは零れてしまうだろう。
 それは、エリオスの心遣いを無下にしてしまうようで躊躇われた。
「わたし……その、自分で食べられますから……」
「貴女の処遇は全て私に一任されています。食事の手伝いも当然私の任務だと思いますが?」
 なんとか断りを入れようとするが、エリオスは涼しい顔でそう告げる。
「それでも、あの、このようにしていただくのはあまりにも申し訳なくて……」
「貴女は怪我をしています。これくらいは当然です」
「でも……」
「──食器は武器にもなり得ます。失礼ですが、これを持った貴女が部下や……貴女自身を傷つける可能性がある以上、渡すことはできません」
「あ……」
 きっぱりとそう告げられ、ノンナははっと息を呑む。
 言われてみれば、たしかにエリオスの言うとおりだった。
 あまりにも丁寧な扱いを受けつい忘れそうになってしまっていたが、ノンナは客人として迎えられたとはいえ、エイオン王国に囚われた身──いわば捕虜も同然。
 気軽に食事を摂らせてもらえる立場ではない──その事実に気付き、緩んでいた自分を改めて恥ずかしく思う。
「──貴女を疑うような真似をしてすみませんが……」
「いいえ、部隊を預かる身として当然のことです。わたしの方こそ、ここまで丁重に扱っていただいたのに自分の立場を見極めることができず、申し訳ありません」
 丁寧に頭を下げるエリオスに、ノンナは慌てて謝罪する。
 そして、エリオスを見つめるとはっきりと宣言した。
「こちらにいる間、わたしはあなたの決定に全て従います」
 祖国と養父母には恩がある。任務についても忘れたわけではない。
 だが今は、それ以上に目の前にいる騎士から受けた礼に礼をもって返さなければいけない。
(それが、わたしの騎士としての矜持……!)
 今まで抱いてきた戸惑いは一旦置いておくことにして、ノンナはそう心を決めた。
「ありがとうございます。貴女の決断に、、心から敬意を表します」
 まるで立場が逆転しているかのように、エリオスは丁寧にノンナに礼を言う。
「それでは──どうぞ」
 そして改めて、エリオスは温かいスープをスプーンに取ってノンナに差し出した。
「あ……」
 エリオスの決定に従うということは、食事をエリオスの手ずから食べなくてはいけない。
(それは、少し……いいえ、かなり、恥ずかしい……)
 今さっきそう宣言したばかりなのに、ノンナは自分の浅慮に後悔する。
(でも、もう決めたことだもの……)
 覚悟を決めたノンナは恥ずかしさを堪え、ゆっくりと口を開けた。
「あ、あーん……」
「はい、どうぞ」
 唇に温かいスプーンが触れた瞬間、ノンナの身体がびくりと震える。
 次の瞬間、ノンナの口の中にスープが入ってきた。
「いかがですか?」
「おいしい……です」
 久しぶりの温かい食事。
 隣にはエリオスがスプーンを構え、窓辺に綺麗な花が揺れている。
(なんて、温かい空間……まるで太陽に照らされているみたい……)
 いつの間にかノンナは微笑んでいた。
 戦場では──そしてアクシア帝国にあってもほとんど見せたことのない笑顔。
 スープが終わると、エリオスはパンに手を伸ばす。
 それをちぎって差しだそうとするのを見て、ノンナは今度こそ慌てて手を差し出した。
「あの……パンは、わたしが自分で……」
「保存用のパンのためとても堅いのです。力を入れて傷に障るといけません」
 そう言うと、エリオスは平然とパンを裂きノンナに差し出す。
「あ……ありがとうございます」
 口元に運ばれたパンを、ノンナはなんとか手で受け取って食べた。
 パンの次はナッツ。
 小さなナッツを持ったエリオスの指が、ノンナのバラ色に染まった小さな唇に触れる。
「あ──」
 日々、剣を握っているにも拘らず美しいエリオスの指の感触を直に感じ、ノンナの胸が奇妙な音を立てる。そして次の瞬間、はっと気がついた。
「あの──あの、それは食べさせていただかなくても大丈夫なのでは?」
「ああ……そういえばそうですね」
 レーズンとナッツを持ったまま、エリオスは大したことでもないように笑う。
 しかしノンナは必要もないのに子供のように口までナッツを運んでもらった事実に加え、唇に感じてしまった指の感触に心臓が激しい音を立てて止まらない。
 指先が震えてレーズンを掴めないノンナに、エリオスは心配そうに問う。


*この続きは製品版でお楽しみください。

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