和書>小説・ノンフィクション>ボーイズラブ小説>御曹司
著者プロフィール
遠野 春日(とおの はるひ)
2月5日生まれの水瓶座。出身地は西方、東京都在住。血液型は「調べてないけどO型のはず」。趣味は舞台鑑賞、習い事はヨガと英会話。おもな著作に<茅島氏>シリーズ、<情熱>シリーズ、<貴族>シリーズ、<金曜紳士倶楽部>シリーズ他がある。月刊体制といえるほどの執筆をこなしながら、さらに同人誌活動も行うなど、精力的な活躍を続ける人気作家。
2月5日生まれの水瓶座。出身地は西方、東京都在住。血液型は「調べてないけどO型のはず」。趣味は舞台鑑賞、習い事はヨガと英会話。おもな著作に<茅島氏>シリーズ、<情熱>シリーズ、<貴族>シリーズ、<金曜紳士倶楽部>シリーズ他がある。月刊体制といえるほどの執筆をこなしながら、さらに同人誌活動も行うなど、精力的な活躍を続ける人気作家。
解説
おまえの屈辱に喘ぐ姿が見たい……。平民出身でありながら誇り高く美しい千坂暁彦は、かつて多くの学生たちの憧れ、高嶺の花のような存在であった。葉室侯爵家の子息・貴諠もまた、彼を意識していた下級生のひとりだった。しかし、千坂家の没落で暁彦が葉室家で書生として暮らすことになり、ふたりの関係は大きく変わった。美しいからこそ穢したい。暁彦を乱れさせたい。そんな昏い欲望にとりつかれた貴諠は、暁彦を強引に組み敷くのだが……!?
※ 電子版には挿絵は収録されておりません。ご了承ください。
※ 電子版には挿絵は収録されておりません。ご了承ください。
抄録
やおら椅子から立ち上がる。
つられたように暁彦が顔を上げ、貴誼を振り仰いだ。
「いいだろう、続きは俺の部屋でしてやる」
「若さま……!」
暁彦の顔がはっきりと強張る。
「ついてこい、暁彦」
まさか、とたじろぐ暁彦に頓着せず、貴誼は手荒く細い腕を掴んで椅子から引き立たせた。
身長も体重も貴誼の方が歴然と勝っている。腕力にものを言わせると、暁彦は易々と貴誼の意のままになる。
「およしください」
ぐいっと乱暴に腕を引くと、暁彦は体勢を崩してつんのめりかけた。
「ご正気ですか!」
暁彦の狼狽は、貴誼が気を変える気配を見せず、そのまま手荒に暁彦を連れて廊下を歩きだしたとき、如実《にょじつ》になった。
「騒ぐと家の者が出てくるぞ。三俣も何事かと上がってくるやもしれない」
南側のベランダに面して並ぶ居室の前を通り過ぎる際、貴誼は低めた声で揶揄混じりに言った。
掴んだ腕がビクリと震える。
誰かに知られてもいいのかという脅しは、暁彦に覿面《てきめん》だった。暁彦が不本意ながら貴誼の言いなりになるのは、ひとえに秘密を守りたいからに違いなかった。ばれれば暁彦は即刻書生を辞めさせられて侯爵家から放逐《ほうちく》される。そうなると、学業を続けることはもちろん、病弱で寝たきりのまま、独身の叔母の家に厄介になっているという母親の薬代を工面するのも難しくなるだろう。
貴誼は暁彦の苦しい状況を承知したうえで、暁彦に無茶を強いていた。
我ながら卑劣な真似をしていると思う。
思うが――何かにつけて暁彦を屈服させたい、汚したいという情動を抑えきれない。
あからさまに抵抗できなくなった暁彦を、貴誼は南西の角部屋に当たる自室に連れ込んだ。
隣は侯爵夫人が普段過ごしている居間だが、夫人はすでに、廊下を挟んだ向かいにある夫妻の寝室に引き取っていて、そちらから人の気配はしない。
「よかったな、暁彦」
腕を放すや暁彦をベッドに突き飛ばして倒し、貴誼はにこりともせず言った。
「隣に人がいたら声を抑えないとまずかっただろうが、その心配もない」
「お願いです、もうこんなことはやめてください」
ベッドの上に片肘を突いて身を起こし、暁彦は貴誼に真剣に訴えた。
理知的で思慮深く気高い暁彦の性質がそっくり表れた瞳に、戸惑いと恐れが浮かんでいる。
相手の加虐心を煽る目だと感じ、貴誼は全身がざわりと粟立った。
*この続きは製品版でお楽しみください。
つられたように暁彦が顔を上げ、貴誼を振り仰いだ。
「いいだろう、続きは俺の部屋でしてやる」
「若さま……!」
暁彦の顔がはっきりと強張る。
「ついてこい、暁彦」
まさか、とたじろぐ暁彦に頓着せず、貴誼は手荒く細い腕を掴んで椅子から引き立たせた。
身長も体重も貴誼の方が歴然と勝っている。腕力にものを言わせると、暁彦は易々と貴誼の意のままになる。
「およしください」
ぐいっと乱暴に腕を引くと、暁彦は体勢を崩してつんのめりかけた。
「ご正気ですか!」
暁彦の狼狽は、貴誼が気を変える気配を見せず、そのまま手荒に暁彦を連れて廊下を歩きだしたとき、如実《にょじつ》になった。
「騒ぐと家の者が出てくるぞ。三俣も何事かと上がってくるやもしれない」
南側のベランダに面して並ぶ居室の前を通り過ぎる際、貴誼は低めた声で揶揄混じりに言った。
掴んだ腕がビクリと震える。
誰かに知られてもいいのかという脅しは、暁彦に覿面《てきめん》だった。暁彦が不本意ながら貴誼の言いなりになるのは、ひとえに秘密を守りたいからに違いなかった。ばれれば暁彦は即刻書生を辞めさせられて侯爵家から放逐《ほうちく》される。そうなると、学業を続けることはもちろん、病弱で寝たきりのまま、独身の叔母の家に厄介になっているという母親の薬代を工面するのも難しくなるだろう。
貴誼は暁彦の苦しい状況を承知したうえで、暁彦に無茶を強いていた。
我ながら卑劣な真似をしていると思う。
思うが――何かにつけて暁彦を屈服させたい、汚したいという情動を抑えきれない。
あからさまに抵抗できなくなった暁彦を、貴誼は南西の角部屋に当たる自室に連れ込んだ。
隣は侯爵夫人が普段過ごしている居間だが、夫人はすでに、廊下を挟んだ向かいにある夫妻の寝室に引き取っていて、そちらから人の気配はしない。
「よかったな、暁彦」
腕を放すや暁彦をベッドに突き飛ばして倒し、貴誼はにこりともせず言った。
「隣に人がいたら声を抑えないとまずかっただろうが、その心配もない」
「お願いです、もうこんなことはやめてください」
ベッドの上に片肘を突いて身を起こし、暁彦は貴誼に真剣に訴えた。
理知的で思慮深く気高い暁彦の性質がそっくり表れた瞳に、戸惑いと恐れが浮かんでいる。
相手の加虐心を煽る目だと感じ、貴誼は全身がざわりと粟立った。
*この続きは製品版でお楽しみください。
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