和書>小説・ノンフィクション>ボーイズラブ小説>王子
著者プロフィール
遠野 春日(とおの はるひ)
2月5日生まれの水瓶座。出身地は西方、東京都在住。血液型は「調べてないけどO型のはず」。趣味は舞台鑑賞、習い事はヨガと英会話。おもな著作に<茅島氏>シリーズ、<情熱>シリーズ、<貴族>シリーズ、<金曜紳士倶楽部>シリーズ他がある。月刊体制といえるほどの執筆をこなしながら、さらに同人誌活動も行うなど、精力的な活躍を続ける人気作家。
2月5日生まれの水瓶座。出身地は西方、東京都在住。血液型は「調べてないけどO型のはず」。趣味は舞台鑑賞、習い事はヨガと英会話。おもな著作に<茅島氏>シリーズ、<情熱>シリーズ、<貴族>シリーズ、<金曜紳士倶楽部>シリーズ他がある。月刊体制といえるほどの執筆をこなしながら、さらに同人誌活動も行うなど、精力的な活躍を続ける人気作家。
解説
「おまえ、俺から逃げようとしているだろう?」
バヤディカ王サファドの幼馴染みで一番の側近でもあるルカイアは、同時にサファドと夜をともに過ごす恋人でもあった。けれど自信と魅力に溢れたサファドは浮気癖が直らない。どれほどサファドを愛しく思っても自分だけの恋人にはなってくれない、そんな状況にルカイアは自分が本当に愛されているのか信じられなくなっていく。このままでは苦しすぎる、いっそ離れてしまったほうがいいのでは…… 悩んだルカイアは母方の祖父を訪ねるため国を離れるのだが!?
※ 電子版には挿絵は収録されておりません。ご了承ください。
バヤディカ王サファドの幼馴染みで一番の側近でもあるルカイアは、同時にサファドと夜をともに過ごす恋人でもあった。けれど自信と魅力に溢れたサファドは浮気癖が直らない。どれほどサファドを愛しく思っても自分だけの恋人にはなってくれない、そんな状況にルカイアは自分が本当に愛されているのか信じられなくなっていく。このままでは苦しすぎる、いっそ離れてしまったほうがいいのでは…… 悩んだルカイアは母方の祖父を訪ねるため国を離れるのだが!?
※ 電子版には挿絵は収録されておりません。ご了承ください。
抄録
「細いな、おまえは」
それは誰と比べているのですかと聞きたくなったが、ルカイアは堪えて唇を引き結ぶ。嫉妬する自分をあからさまにしたくない。屈辱的だし、狭量だ。サファドにしてみれば、ルカイアにそんなことで責められる謂われはないのだ。
「今度は何が不満だ。何を拗ねている?」
「誤解です」
ルカイアはサファドの腕の中で身を捩った。
本当はサファドの言うとおり、ルカイアは不満を抱いて拗ねているだけなのかもしれなかったが、認めることはできない。
「私は祖父に会うためにしばらく休暇をいただいただけです」
「むろんそれが一番の理由なのはわかっている。だがなルカイア、俺はごまかされないぞ」
サファドはぴしゃりと断じると、胸を抱いていた腕を上げ、喉に手をやり顎をぐいっと反らせてきた。
「おまえ、俺から逃げようとしているだろう?」
鋭く見抜かれて、ルカイアはぎくりと全身を強張らせた。
違うと否定することができない。
「なぜだ。俺に飽きたか。それとも愛想が尽きたのか。俺が戯れにべつの男を可愛がったのが、そんなに嫌だったか」
サファドはルカイアがよそよそしい態度を取った訳をすでに察していた。まずかったという自覚があるのだろう。それだけ気にかけられていると思えば嬉しかったが、開き直ったような物言いは癇に障った。本気で抱いているのはおまえだけ、といくら言われても、どうせこの場限りのこと、口先ばかりだとしか思えない。信じたいのに信じさせてくれないサファドが恨めしかった。
「機嫌を直せ、俺のルカイア」
耳朶に口を寄せ、蠱惑的《こわくてき》な甘い声で囁かれる。
ルカイアはぞくっと感じてサファドの胸に自ら身を擦り寄せた。
体が熱く疼いてサファドを求めている。甘美で淫らな誘惑に抗えない。「俺のルカイア」と呼ばれると、抵抗する気がいっきになくなった。狡い、ひどい人だと思う。わかっていても振り回されてしまう自分の愚かさに、ほとほと嫌気がさす。
「言っただろう。俺はおまえを愛している。離す気はない」
サファドは慣れた口調で愛を告げる。
声は真摯に聞こえたが、ルカイアは怖くてサファドの目を見ることができなかった。自分に自信がない。体のいい決まり文句を言っているだけなのが瞳に表れていたら、さらに落ち込み、辛くなりそうで、勇気が出なかった。
*この続きは製品版でお楽しみください。
それは誰と比べているのですかと聞きたくなったが、ルカイアは堪えて唇を引き結ぶ。嫉妬する自分をあからさまにしたくない。屈辱的だし、狭量だ。サファドにしてみれば、ルカイアにそんなことで責められる謂われはないのだ。
「今度は何が不満だ。何を拗ねている?」
「誤解です」
ルカイアはサファドの腕の中で身を捩った。
本当はサファドの言うとおり、ルカイアは不満を抱いて拗ねているだけなのかもしれなかったが、認めることはできない。
「私は祖父に会うためにしばらく休暇をいただいただけです」
「むろんそれが一番の理由なのはわかっている。だがなルカイア、俺はごまかされないぞ」
サファドはぴしゃりと断じると、胸を抱いていた腕を上げ、喉に手をやり顎をぐいっと反らせてきた。
「おまえ、俺から逃げようとしているだろう?」
鋭く見抜かれて、ルカイアはぎくりと全身を強張らせた。
違うと否定することができない。
「なぜだ。俺に飽きたか。それとも愛想が尽きたのか。俺が戯れにべつの男を可愛がったのが、そんなに嫌だったか」
サファドはルカイアがよそよそしい態度を取った訳をすでに察していた。まずかったという自覚があるのだろう。それだけ気にかけられていると思えば嬉しかったが、開き直ったような物言いは癇に障った。本気で抱いているのはおまえだけ、といくら言われても、どうせこの場限りのこと、口先ばかりだとしか思えない。信じたいのに信じさせてくれないサファドが恨めしかった。
「機嫌を直せ、俺のルカイア」
耳朶に口を寄せ、蠱惑的《こわくてき》な甘い声で囁かれる。
ルカイアはぞくっと感じてサファドの胸に自ら身を擦り寄せた。
体が熱く疼いてサファドを求めている。甘美で淫らな誘惑に抗えない。「俺のルカイア」と呼ばれると、抵抗する気がいっきになくなった。狡い、ひどい人だと思う。わかっていても振り回されてしまう自分の愚かさに、ほとほと嫌気がさす。
「言っただろう。俺はおまえを愛している。離す気はない」
サファドは慣れた口調で愛を告げる。
声は真摯に聞こえたが、ルカイアは怖くてサファドの目を見ることができなかった。自分に自信がない。体のいい決まり文句を言っているだけなのが瞳に表れていたら、さらに落ち込み、辛くなりそうで、勇気が出なかった。
*この続きは製品版でお楽しみください。
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形式
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