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和書>小説・ノンフィクションハーレクインハーレクイン・ディザイア

海と天使と孤高の富豪

海と天使と孤高の富豪


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ディザイア
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 アンドレア・ローレンス(Andrea Laurence)
 文字が読めるようになって以来、ずっと読書と物語の執筆に夢中。世界中の人たちに自作の小説を読んでもらうのが長年の夢で、ロマンス小説作家として、現代物のみならずパラノーマル作品でも数々の受賞歴を誇る。10年来の恋人とともに、シベリアンハスキー犬や猫たちに囲まれ、幸せに暮らしている。

解説

想いはすれ違い、幸福は手からこぼれ落ちる。わたしたちはもう終わりなの?

大富豪の夫メイソンとの子供に恵まれなかったスカーレットは、養子縁組で迎えた赤ん坊まで心変わりをした実母に奪われ、失意のどん底に突き落とされた。夫婦仲も徐々に険悪になり、ついにメイソンは「別の男と幸せになってくれ」と言い捨て、家を出ていってしまった。離婚も時間の問題だった。そんなとき、死の床にある義弟から幼い一人娘の養育を託される。弟を安心させたいというメイソンの願いを聞き、スカーレットは彼と幼子を我が家へ迎え入れる決意をした。二人の情熱は再び燃えあがり、彼女は幸福に酔いしれた──“メイソンを信じてもいいの?”という心の声に耳を塞いで。

■巧みなストーリー展開と個性豊かなキャラクター描写で人気の作家、アンドレア・ローレンスが描く、夫婦の愛と再生の物語をお楽しみください。壊れかけた二人の絆を、1歳になったばかりのルナがどう結びつけていくのか……?ご注目ください。

抄録

 やがてエレベーターの手前で、廊下のベンチに座っているメイソンが見えた。初めて出会ったとき、日に焼けた黄金色の肌や海のように青い瞳、乱れたブラウンの髪のセクシーなサーファーに、スカーレットはたちまち魅せられてしまった。ほほえむと頬に浮かぶ彼のえくぼに、心がとろけた。これだけ長い年月がたってもまだ、こうして彼をちらりと見ただけで胸が高鳴ってしまう。
 けれども今夜、メイソンの顔に笑みはなかった。彼は力なくベンチに座り、両手で頭をかかえていた。ひどく落ちこんでいるようだ。スカーレットはこんな彼の姿を見たことはいままでほとんどなかった。ふだんのメイソンは自信に満ちあふれていた。〈スペンサー・サーフショップ〉のチェーンを成功させたCEO。決して失敗しない男。セクシーで大胆。その印象が崩れることはまれで、かつてたった三度だけだった。一度目は、彼には子供をつくることができないのがわかったとき。二度目は養子にした息子を産みの母親に返さなければならないという裁判所の決定をくつがえせなかったとき。そして三度目は、妻であるスカーレットを捨てて家から出ていったときだ。
 今夜のメイソンも、いつになく暗い表情だった。「メイソン?」スカーレットは夫に近づきながら呼びかけた。
 メイソンはぎくりとして体を起こし、充血した目をスカーレットに向けてすばやく立ちあがった。顎はこわばっていて、すぐにはしゃべることができなかった。彼は必死に感情を抑えているようだった。
「なにがあったの、メイソン? ジェイの具合が悪いの?」
 メイソンの弟、ジェイは末期の癌で入院していた。腫瘍はすでに全身に転移しており、積極的な治療はしばらく前にやめている。ジェイがついに病との闘いに敗れたのだとしても驚きではなかった。しかし、メイソンの顔に浮かぶ表情からすると、それ以上に悪いことが起きたようだった。
「違う」メイソンはようやく口を開いた。「レイチェルだ」
「ジェイの奥さん?」不安に襲われ、スカーレットの胸は締めつけられた。これまでレイチェルのことは義理の妹ではなく、本当の妹のように思ってきた。ひとりっ子だったスカーレットにとってレイチェルは大切な話し相手で、夫婦のあいだのさまざまなことを打ち明けあえる仲だった。
 ジェイが亡くなったあとは、レイチェルがひとりで娘を育てなければならない。スカーレットにはそれが気がかりだった。ジェイとレイチェルの娘、ルナはまだ一歳だ。父親の記憶は残らないだろう。
「そうだ。レイチェルは……」メイソンは絞りだすような声で続けた。「亡くなった」
 スカーレットは口に手をあて、悲痛なあえぎがもれるのを押さえた。そんなことがあるはずがない。人生がそれほど残酷だなんてありえない。ルナは父親を失おうとしているのに、母親も失うなんて。「どうして?」それ以外に言葉が出なかった。
「事故だった。レイチェルは洗濯物のかごを持ったまま階段から落ちたんだ。きっとジェイの病気のことで頭がいっぱいだったんだろう。運悪く、その衝撃で首の骨を折ってしまった。ハウスキーパーが彼女を見つけた」
 スカーレットは言葉を失った。メイソンから電話を受けたあと、いろいろな可能性が頭のなかを駆けめぐっていたが、レイチェルの死はまったく予想もしていなかった。それ自体が悲劇だが、ジェイの病状を思うといっそうつらかった。「ジェイは知っているの?」彼女は手を口にあてたままささやくようにきいた。
 メイソンはうなずいた。「ジェイが電話をくれた。彼から知らされたんだ」
 スカーレットは目をぎゅっと閉じ、首を振った。こんなことがあっていいはずがない。彼女自身の人生も混乱の極みだったが、ジェイとレイチェルは……。胸が締めつけられ、目に涙があふれてきた。一瞬のち、メイソンの腕がまわされてきたのがわかったが、スカーレットは拒まなかった。すなおに体を預け、彼のドレスシャツを涙で濡らした。こうしてまたメイソンの腕のなかにいるとどれほど心地いいかを、彼女は考えないよう努めた。どれほど彼のにおいを、ぬくもりを恋しく思っていたかを。
 おそらくメイソンは彼女を、そしてたぶん彼自身を慰めているだけだ。この抱擁にそれ以上の意味はない。そう考えると理性が戻り、スカーレットはそっとはなをすすって体を引き、一歩下がって彼から離れた。メイソンの瞳に事故とは関係のない痛みがよぎった。彼女があまりに早く離れたせいで、傷ついたかのようだった。本当はひと晩じゅうでも彼の腕のなかにいたかったが、そんなことをすれば彼を忘れることができなくなる。メイソンはもう彼女を求めていないと知りながら一緒にいるだけで、充分につらいのに。
 それにしても、どうしてメイソンは今夜わたしに電話をかけてきたのだろう? ふたりは離婚協議中で、二カ月前に彼がマリブのビーチハウスから出ていったあと、ほとんど話していなかった。メイソンには市内に家族や友人がいるから、この場につき添ってくれる誰かがいるはずだった。


*この続きは製品版でお楽しみください。

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