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不埒な子爵の初恋 神々の悪戯 I

不埒な子爵の初恋 神々の悪戯 I


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ヒストリカル・スペシャル神々の悪戯
価格:700pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 アニー・バロウズ(Annie Burrows)
 つねに本を読んでいるか、頭の中で物語を創作しているような子供だった。大学では英文学と哲学を専攻し、卒業後の進路は決めかねていたところ、数学専攻のハンサムな男性と出会い、結婚する決心をしたという。長年、2人の子供の子育てを優先してきたが、彼女の頭の中にある物語に興味を持ってくれる人がいるかもしれないと思い、小説を書きはじめた。

解説

惨めな娘は途方に暮れた――彼の瞳がまぶしすぎて。

ロンドン社交界の息苦しさに耐えかねたハリエットが早朝の公園で秘密の朝駆けを楽しんでいると、不意に暴れ馬が現れて乗り手の男性が振り落とされた。泥酔した様子のその男性は、心配してかがみ込んだハリエットをあろうことか娼婦と誤解し、巧みなキスとともに組み敷いた。ハリエットは驚いて逃げ去ったが、舞踏会の夜に彼と再会する。男性の正体は麗しの子爵、ベコンソール卿ジャック・ヘスケスだった。彼にダンスを申し込まれ、友人たちに紹介されて戸惑いながらも、生まれて初めて人目に留まったハリエットは喜びを覚えていた。ジャックが彼女を賭の対象にしているなどとは夢にも思わずに。

■超人気作家A・バロウズの3連作、米読者絶賛の〈神々の悪戯〉シリーズ第1話をお届けします!愛に臆病なふたりが織りなす不器用な恋の行く末は……?気になる脇役、無慈悲な“ゼウス”の恋物語が描かれる第2話は豪華記念号です。

抄録

 頭の中で、異なる二つの声が正反対の答えをささやいた。一つめは、伯母のレディ・ターブルックの声だった。
“助けを呼びに行きなさい”しっかりしなさいとでも言いたげだ。“レディは濡れた草の上に膝をついたり、紹介されていない相手に触れたりするものではないわ”
 ハリエットは心の中で鼻を鳴らした。伯母なら、私がここにいること自体が間違いだと言うだろう。ロンドンに来てからわかったのは、絶対にしてはいけないことが百も千もあるということだ。伯母の言うなりになっていたら、一日じゅうソファに座って、刺繍をしたりファッション誌を読んだりする以外は、できることがなくなってしまう。
 すぐあとに続いた二つめの声は、母親の声にそっくりだった。“もっと近くで彼を観察なさい”読んでいる最新の科学誌から、さっと目だけを上げる姿が思い浮かぶ。“そして、怪我の具合を正確に把握するのよ”
 そのほうが効率的なのは確かだ。助けを呼びに行くのは、そうする必要があるとわかってからでいいし、その際も、男性の状態について、はっきりしたことを言えたほうがいい。
 ハリエットは男性の脇にひざまずくと、全身にさっと目を走らせた。腕や脚に明らかな骨折は見当たらない。どこかから出血している様子もない。落馬するところを見ていなければ、意識を失っているのではなく、ただ寝ているだけかと思うところだ。口元にはかすかな笑みまで浮かんでいる。
 咳払いをしてみたが、男性が反応しなかったので、ハリエットは手袋をした手で肩を優しく揺すった。
 すると彼は不満げなつぶやきをもらした。
 もう少し強く揺すってみる。男性がぱっと目を開けた。驚くほど深い青色をした目だ。目尻にしわがあるのは、彼がよく笑うからだろうか。それとも、日に焼けた顔から考えて、太陽の下で目をすがめることが多いからだろうか。典型的なハンサムではない。顔の形は少し角張っているし、鼻も主張が強い。だがそれでも、非常に魅力的な顔であるのは確かだ。
 そのとき、男性がハリエットに笑いかけた。まるで彼女を知っていて、会えたことを心から喜んでいるかのようだ。彼の態度は、みぞおちに広がるくすぐったいような感覚や胸が締めつけられる感覚と相まって、ハリエットを困惑させた。
「僕は死んで、天国に来たらしいな」
 男性の言葉とともに、甘い匂いがハリエットを包みこんだ。ブランデーだ。
 身を引こうとしたが、間に合わなかった。ひどく酔っぱらっているにもかかわらず、男性が素早い動きでハリエットを抱き寄せたため、彼女は上半身を男性に預ける格好になった。驚きに息をのむ間もなく、今度は後頭部に片手が添えられる。顔が引き寄せられたかと思うと、彼女は唇を奪われていた。
 それも、技巧を尽くしたやり方で。
 ハリエットはこれまで誰にもキスをされたことはなく、自分に初めてそういうことをした相手が目の前の酔っぱらいだという事実にショックを受けてもいたが、彼に多くの経験があることは想像がついた。なぜなら、ぞっとする代わりに、どちらかというと心地よい感覚が全身を駆け巡っていたからだ。もちろん、そうあるべきではないこともわかっていた。
「口を開いて、かわいい人」
 男性が言うと同時に、ハリエットにかけられていた魔法が解けた。
 とっさに唇を引き結び、首を横に振りながら、本来なら抵抗しているべきであることに気づく。
 男性がくすりと笑った。そして二人の位置を入れ替えるかのように、体を反転させ始めた。ハリエットはようやく我に返った。好奇心に任せて、ただ魅力的な男性の唇を味わうことと、相手が自分を組み敷くのを許すことは、まったく別の話だ。
 最初からこうしているべきだったのに。ハリエットは右手を動く範囲で動かし、短鞭で男性を叩こうとした。だが、しっかりと抱き寄せられているせいで、短鞭は淡い茶色の髪をかすめただけだった。ただそれでも、彼の意表を突くことはできた。
「放してちょうだい、このけだもの!」可能なかぎりの侮蔑を込めて言い、もがき始める。
 腹立たしいことに、男性は驚いた顔をしたものの、あっさりと彼女を放した。とはいえ、乗馬服のトレーンが両脚に絡みついているせいで、簡単には彼から離れることができない。
「ああ……」男性がため息をついた。「いいよ。たまらない」ハリエットの下で彼が伏し目がちになり、瞳が揺らめく。
 起き上がろうという必死の努力が、彼の男性的な本能を刺激しているだけなのは明白だった。
「この……この、けだもの!」ハリエットはもう一度短鞭を振り下ろした。
 今度は納得のいく攻撃ができ、男性も顔をしかめて打たれた腕をさすっていたが、彼女自身は勢い余って、再び男性の胸に倒れこんだ。
「僕にこっちの趣味はないよ」男性が抗議した。「それよりも、もっとキスをして、それから……」
 ハリエットは両手を思いきり彼の胸に突いて、上半身を起こした。
「それからなんてないわ」少し後ろに下がったが、トレーンの絡まり具合がひどく、半ば転がるようにして座りこんだ。「馬から落ちたとき、怪我はしなかったようね。もっとも」スカートの生地をあちこちへ引っぱって、脚を自由にしながら言う。「首の骨が折れていても、自業自得だったと思うけれど」
「なあ、ちょっとひどくないか?」男性は片手で頬杖をつき、眠たそうに彼女を眺めた。


*この続きは製品版でお楽しみください。

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