マイリストに追加

和書>小説・ノンフィクションハーレクインハーレクイン・ヒストリカル・スペシャル

孤島の花嫁【ハーレクイン・ヒストリカル・スペシャル版】

孤島の花嫁【ハーレクイン・ヒストリカル・スペシャル版】


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ヒストリカル・スペシャル
価格:700pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
みんなの評価 未評価
◆レビューを書く

¥0サンプル
XMDFのファイルをご覧になるにはブンコビューア最新版(無料)をインストールしてください。

「書籍ファイルが壊れています」と表示される場合は、ブンコビューアを最新版にアップデートしてください。
購入する


著者プロフィール

 マーゴ・マグワイア(Margo Maguire)
 どこへ行くにも本が手元にないと落ち着かないという。たとえば、二十キロ以上もあるバックパックを背負ってカナディアン・ロッキーを周遊するときも、出発前に入念に持っていく本を選ぶ。お気に入りはスタインベックやディケンズの小説だが、もちろんロマンス小説も欠かせない。看護婦として、またボランティア・ワーカーとして精力的に活動してきたが、現在は小説を書く仕事に没頭できて幸せだと語る。作家を目指したきっかけはヨーロッパ旅行で多くの史跡を見て回ったこと。これを機に歴史への視点が開け、歴史の学位を取るために大学に戻った。講義を聴くうちに小説よりも奇なる史実がたくさんあることを知り、ますます執筆熱が高まったという。米デトロイト近郊に、夫と三人の子どもたちと一緒に住んでいる。

解説

無垢な花嫁はまだ知らなかった――その純粋さが、伯爵を遠ざけることを。

両親が相次いで亡くなり、クリスティアーヌはただひとり、スコットランドの小さな町で迫害を受けていた。伯父の計らいでイングランドの孤島の伯爵家に嫁ぐことになったが、そこでも彼女は、島民から悪意に満ちた目を向けられる。このつらい境遇もしかたのないことなのかもしれない。スコットランドとイングランドの血を半分ずつ受け継いだ身だから。両国の争いが終わった今なお、双方から目の敵にされてしまう。クリスティアーヌの居場所は、もはやどこにもなかった。島の領主で伯爵のアダムも、島民と同じく、私を花嫁と認めないだろう。悪漢から守ってくれた彼に、私は心を奪われてしまったというのに……。

■波瀾万丈の物語に定評のあるヒストリカル作家マーゴ・マグワイアの珠玉作を初リバイバル!どこにいても針のむしろに座らされる思いをしている不遇の娘が、“つらい暮らしの島”と呼ばれる孤島の伯爵に捧げる愛は、いつか報われるときがくるのでしょうか?

*本書は、ハーレクイン・ヒストリカルから既に配信されている作品のハーレクイン・ヒストリカル・スペシャル版となります。 ご購入の際は十分ご注意ください。

抄録

 レイノールドが現れ、応戦しながらアダムのそばまでやってきた。アダムはすばやく向きを変え、一気に二段駆け上がるとクリスティアーヌを抱き寄せた。いともたやすそうに片方の肩に彼女をかつぎ上げると、急いで部屋へ飛び込み、ばたんと戸を閉めて錠前を下ろした。
 暖炉にわずかばかりの火が燃えていたので、アダムはその明かりでなんとかつまずかずにすんだ。彼はすばやく部屋のすみにある寝台にクリスティアーヌを下ろした。
「大丈夫か?」
 答えがなかったので、彼はクリスティアーヌの前にひざをついて両手をとった。その手は氷のように冷たく、ぶるぶる震えている。しかしアダムはフォールカークで戦ったスコットランド人ほど野蛮でないとは思わなかった。半分イングランド人の血は混じっているかもしれないが、とにかくあいつらのもとで育ったのだ。
 けれども、クリスティアーヌが黙っていることに当惑して、彼は部屋の外の騒ぎに耳を澄ませながら彼女の手をこすり始めた。だれも殺されはしなかったが、流血はあった。そしてクリスティアーヌの見せた反応は恐怖だ。その蒼白な顔を見れば、否定しようがない。
 くそっ! 中のようすを知りながら、どうしてこんなところに来たのだろう? もう一晩、野宿してもよかったではないか。そうすればクリスティアーヌはテントの中で安全に眠ることができたのだ。少少雨が降っていたからといって、それがなんだというんだ? これよりもっとひどい天候でも無事に過ごしてきたではないか。
「もう大丈夫だよ、クリスティアーヌ」彼は優しく言った。「もう心配はない」
「ええ」彼女はうつろな目で彼を見上げながら小さな声で言った。肌が青白いので、頬の赤い傷跡がいっそう目立っている。「わかっています」
「きみはここで眠ればいい。われわれが起きて見張っているから」
「わかりました」
「どうかな……その、服がすっかり濡れている」彼は言った。「脱いだほうがいいな。ちょっと外に出ていよう……」
 クリスティアーヌは彼の手をつかんだ。「行かないで!」いままでになく強いスコットランドなまりを響かせて彼女が言った。「どうか……」
 アダムは濡れた髪を手でかき上げ、どうしたら彼女を落ち着かせることができるだろうと考えた。
「それじゃここにいよう……あのドアのそばに」彼はようやくそう言って、つかまれていた手を引き抜いた。「後ろを向いているから、そのあいだに脱げばいい」
 クリスティアーヌがごくりとつばをのみこむ音が聞こえた。彼女の村で何があったのかは聞いていなかったが、この前の戦いの惨状は見ている。先ほどの反応から察すると、クリスティアーヌ・マクデューはひどく恐ろしい経験をしたのかもしれない。スコットランド人の血が半分混じっているとはいえ、あんな虐殺行為を目にして何の影響も受けなかったということはないだろう。
 アダムは暖炉の火格子の前に立って燃える火を見つめながら、彼女がひもをほどいて服を脱ぐ物音を聞いていた。しばらく続く衣擦れの音を聞いているうちに、アダムの体は勢いよく反応し、自分でもその激しさに驚いた。こんな激しい欲望のうねりを感じるのは……何年ぶりだろう?
 こんなことをしてよかったのだろうか。またしても、そう思わずにはいられなかった。
「もうこちらを向いてもけっこうですわ」彼女が言った。
 寝床の中に潜り、幾重にもなったぶ厚い毛布の下にいる彼女は、小さくてひどくかよわく見えた。そんな姿を見ていると、とても粗暴なスコットランド人には思えない。セントオルンの憎悪に満ちた村人たちの間を、あんなふうに誇り高い態度で歩いていた女とは思えなかった。
 目の前にいる彼女はただの女、怯えた弱々しいひとりの女にすぎなかった。
 アダムはあらゆる理性的な考えを押しのけて彼女を抱き寄せ、慰め、安心させてやりたかった。
 だがそうはせずに、寝台のそばの濡れた衣服を拾い上げて暖炉の前に広げた。ヨークのレディ・エリザベスが書いてきたとおり、クリスティアーヌは気丈な娘だと、アダムは思った。彼女は短期間のうちに父と母を立て続けに失った。村中の者が去っていく彼女に敵意しか見せなかったし、いまはこうして三人の知らない男に伴われて、行ったこともないはるかな地へ連れていかれようとしている。それを思えば、驚くほどしっかりしている。
 アダムは部屋の反対側まで行って、戸に寄りかかって腰を下ろした。床の上に剣を置いて、落ち着こうと努力した。道中、彼女と密着してこなければならなかったが、これは実につらいことだった。同じ馬の背に揺られて、長い一日を彼女を抱きかかえながら行き、そのみずみずしい女らしい香りを嗅ぎ、絶えず鼻とあごを彼女の髪になぶられながら行くのは……。こんなにつらいこととは思ってもいなかった。
 座って見ているうちに、彼女の衣服が暖炉の火でどんどん乾いていく。それにしても、どうしてこんなことを考えるんだ。あの美しいクリスティアーヌ・マクデューが裸でいる姿など想像したくもない。


*この続きは製品版でお楽しみください。

本の情報

形式

【XMDF形式】

XMDFデータをご覧いただくためには専用のブラウザソフト・ブンコビューア最新版(無料)が必要になります。ブンコビューアは【ここ】から無料でダウンロードできます。
詳しくはXMDF形式の詳細説明をご覧下さい。

対応端末欄に「ソニー“Reader”」と表示されている作品については、eBook Transfer for Readerで“Reader”にファイルを転送する事で閲覧できます。
海外版の“Reader”は対応しておりませんので予めご了承くださいませ。

【MEDUSA形式】
MEDUSA形式の作品はブラウザですぐに開いて読むことができます。パソコン、スマートフォン、タブレット端末などで読むことができます。作品はクラウド上に保存されているためファイル管理の手間は必要ありません。閲覧開始時はネットに接続している必要があります。

詳細はMEDUSA形式の詳細説明をご覧下さい。