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和書>小説・ノンフィクションハーレクインハーレクイン・ロマンス

無垢を摘んだ皇太子

無垢を摘んだ皇太子


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ロマンス
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 キャロル・マリネッリ(Carol Marinelli)
 イギリスで看護教育を受け、その後救急外来に長年勤務する。バックパックを背負っての旅行中に芽生えたロマンスを経て結婚し、オーストラリアに移り住む。現在も三人の子供とともに住むオーストラリアは彼女にとって第二の故郷になっているという。

解説

愛を否定する皇太子との甘美な一夜。里子の私が望んでいいのはそれだけ。

異国の砂漠での星空観賞ツアー後、マギーは眠っていたところを外へ引きずり出され、ヘリコプターで豪華なテントへさらわれた。そこで待っていたのは、その国の皇太子イリアスだった。彼によれば弟王子を誘惑し、脅迫している女こそマギーだという。違う。それは誤解で、弟王子とは話をしただけだ。するとイリアスは侍女に、マギーの身繕いをするよう命じた。私が砂だらけだから?いいえ、この国にはハーレムがある……。マギーは青ざめた。この人は私を寵姫に加える気でいるの?24歳で男性経験がないくせに、彼の魅力の虜になっている私を。

■ハーレクイン・ロマンスとイマージュで活躍するC・マリネッリ。そんな作家ならではの、両シリーズにまたがった物語をお届けします!今作では異国の皇太子に惹かれながら、2日後には帰国するヒロインが切なく描かれます。関連作もどうぞお楽しみに!

抄録

「スザンヌ」
 それは私の名前じゃない。
「マギー」
 目を開けてイリアスを見た彼女の瞳は、怒りに燃えていた。「あなたのものはなにも口にしないわ。なにか入っていたらどうするの?」
「薬を盛ろうとは思っていない、マギー。信じていい」
「どこで聞いたかは忘れたけれど、夜中に誘拐して砂漠のテントへ連れてくるような人を信じてはいけないと、誰かが言ってたわ」
 相手が無表情なので、マギーは説明したほうがいいと思った。「ちなみに、皮肉よ」
「わかっている」
 イリアスは杯に水を注ぎ、呼ばれてもいないのにマギーの隣に座った。横になったまま、緊張して硬くなっている彼女の隣で、中身を飲みほす。その喉の動きに、マギーはどきりとした。
「見ただろう」イリアスは言った。「なにも入ってはいない」
「あなたは耐性があるのかも……」
 イリアスは笑みを浮かべた。歯科医のコマーシャルに使えそうなほほえみでもなければ、普通のほほえみでもなかったが、水に濡れた口角はかすかに上がっていた。
 突然、マギーのおへその下が震えた。表向きはなんでもない顔を保ったものの、まるですべてがはぎ取られ、むき出しにされた気分だった。イリアスをなによりも意識しながら、マギーは横になったまま、必死に自分の体の反応を抑えつけようとした。
 ああ、どうして彼にこれほど魅力を感じているの? ほかの男性には生ぬるい感情を抱くのがせいぜいなのに、なぜこの人をひと目見たとたんに体に火がついたの?
 彼が手に鉤をつけた、乱杭歯の醜い誘拐犯だったらよかったのに。それに、エキゾチックで刺激的で清潔な香りしかしないのは、どういうわけ?
「飲むんだ」イリアスはそう言って、ふたたび水を満たした杯をテーブルに置いた。それでもマギーは従わなかった。
「私はいつ解放してもらえるの?」
「誰も、どこへも行けない」彼は答えた。「シムームが急速に近づいていて、ヘリコプターは着陸できないからな。とりあえず、なにか飲むんだ。安全は保証する」
「あなたを信用できると思う?」
「飲まなければだめだ。飲むまではここを離れない」
「好きにすれば」マギーはシルクの枕に頭をのせて、目を閉じた。その間もずっと、イリアスがそばにいるせいで、少しも気は休まらなかった。目を閉じても、神経は刺激されつづけていたからだ。
 いいえ、よけいに刺激が強くなったかも。
 驚くほど魅力的で強烈なまなざしを避けていると、イリアスの香りと、腿のすぐそばに座る彼の気配が気になってしかたなかった。
 イリアスは適当な距離を置いているのに、そのうちマギーはこらえきれなくなり、寝返りを打って横を向いた。
「マギー」
 本名で呼ばれても、彼女は無視した。
「僕は頼んでいるんじゃない。命令しているんだぞ」
「そういうことなら……」マギーは目を開け、杯に手を伸ばしたものの、言われたとおりにする代わりにわざと倒した。杯がじゅうたんを敷いた床に落ちる。
 この女性は猫のようだ。彼女の挑戦的な目を見て、イリアスは思った。
「私はなにも飲まないから」マギーが言った。「この前、アル=ラジム家の人がいるときに飲み物を勧められて、だまされたんだもの」
 イリアスは長いことマギーを見つめ、その言葉は本心だと悟った。飲み物にアルコールが入れられていたという話が本当なら、疑い深くなってもしかたない。だが、まもなく夜明けがくる。そして彼女を捕らえたのは、夜中の十二時過ぎだ。
 砂漠では栄養補給がなにより大事だ。
 イリアスは床から杯を取り、横たわったまま見あげるマギーの前で、もう一度水を注いだ。枕に広がる赤毛に手を伸ばすとマギーはびくりとしたが、彼はゆっくりと彼女の身を起こさせた。
 マギーの反応は貴婦人らしいとは言いがたかった。しかし、もがいても無駄だった。イリアスはマギーの口元に杯をあて、水を飲ませた。マギーが抵抗しても、彼は力をゆるめなかった。しかし、彼女が抵抗をあきらめた理由はほかにあった。あまりにもイリアスが近くにいたからだ。乱れた息づかいを聞きながら後頭部に手を感じていると、彼がそばにいる現実にどうにかなりそうだった。
 つまり、水を飲んだほうが安全だったのだ。
 イリアスも二人の間の変化に気づいていた。さっきまでマギーに水を飲ませようと奮闘していたのに、今では彼女にキスをしないよう自分を制していたからだ。しかしありがたいことに、マギーは急に言うことを聞き、水を飲んだ。ほとんどは首と胸にこぼしていたが。
 イリアスはまだマギーを支えていたものの、もはや前のように冷静ではいられなかった。
「さあ、飲んだわ」マギーは言ったものの、その声は奇妙だった。イリアスに触れられて、声帯さえも緊張しているようだ。
 イリアスもまた、平常心を保とうと苦労していた。ここへ来た理由を思い出せ。
 マギーから手を離し、もう一度水を注ごうとして、心変わりをする。こぼれた水で彼女のスリップが濡れ、透けていたからだ。布はマギーの胸の片方に張りつき、硬くなった胸の先が浮かびあがっている。そのようすに気づいて、イリアスはぶっきらぼうに言った。「いつまでもこうしているつもりはない。僕に世話をやいてほしくないなら、眠る前にたっぷり水を飲んでおくんだな」


*この続きは製品版でお楽しみください。

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