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侯爵夫人と呼ばれて【ハーレクイン文庫版】

侯爵夫人と呼ばれて【ハーレクイン文庫版】


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン文庫
価格:500pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 リン・グレアム(Lynne Graham)
 北アイルランド出身。七月三十日生まれの獅子座。十代のころからロマンス小説の熱心な読者で、初めて自分でロマンス小説を書いたのは十五歳のとき。大学で法律を学ぶと同時に、十四歳のときからの恋人と卒業後に結婚。この結婚生活は一度破綻したが、数年後、同じ男性と恋に落ちて再婚するという経歴の持ち主。イギリス郊外に家と五エーカーの森林を持ち、そこで現在、スリランカとグアテマラからの養子を含めた五人の子供を育てている。時間のあるときは大好きな庭仕事に励み、得意のイタリア料理に腕をふるう。小説を書くときのアイデアは、自分自身の想像力とこれまでの経験から得ることがほとんどで、彼女自身、今でも自家用機に乗った億万長者にさらわれることを夢見ていると話す。ロマンス映画も大好きだが、ハッピーエンドでないものは好きではないという。

解説

うら若きソフィーは、清掃や内職をしながら身を粉にして働き、亡き姉が遺した幼い娘を育てていた。
ある日、姉の亡夫の兄、アントニオ・ロチャ侯爵が訪ねてくる。姉の遺児――自分の姪の存在を知り、一族に迎えたいというのだ。帝王のように傲慢な侯爵とは、姉の結婚式で出会ったきりだ。引け目を感じる16歳のソフィーを一方的に誘惑したのに、ふしだらな女と罵って、突然ごみのように捨てた。それなのにいま、苦々しげな顔で、彼女に結婚を申し出たのだ。ただし夫の浮気に口出ししないという、屈辱的な条件で。

*本書は、ハーレクイン・ロマンスから既に配信されている作品のハーレクイン文庫版となります。 ご購入の際は十分ご注意ください。

抄録

 金色に光る黒い目が、ソフィーの紅潮したハート形の顔と明るい緑色の目をじっと見つめた。なんと感情の起伏が激しい女性だ。全身に電流のような怒りが走り、ソフィーは抑えがきかなくなっている。あの夜の自分の正当な非難を、三年近くたった今でも彼女が恨んでいることを知って、アントニオは残酷な満足感と意外な喜びをおぼえた。
「違うね。きみはむしろ、僕に本当の姿を知られたことを怒っているんだ」
 ソフィーは身震いした。「本当の姿?」
「知りたくないだろうな」アントニオは物憂げに言い、ソフィーをさらに挑発しようとした。激しい怒りに興奮状態の彼女を見ていると、自制心をすべて失うまで追いつめたいという誘惑にかられる。
 ソフィーはすばやく二人の距離を詰め、繊細な顔で彼を見上げた。「いいから言って!」
 アントニオは肩をすくめ、決定的な言葉を口にするのをわざと引きのばそうとした。「男として奔放な女性は好きだが、フリーセックスは嫌いだ。僕とそういう機会を持てなくて残念だったな」
 ソフィーは手を振りあげた。平手打ちをお見舞いしたかったのに、アントニオははるかに背が高く、おまけに彼がすばやくよけたので、悔しいことに手は肩をかすめただけでなんの成果もなかった。
「最低!」激しくののしる。「私が残念がったとでも思うの?」
「三年近くたっても、その点をつつかれて怒ること自体、きみの気持ちを物語っているじゃないか」抑えた声で言いながら、自分はなぜこんなに楽しんでいるのだろうとアントニオは思った。
 自分の行動にショックを受けたと同時に、彼の痛烈なあざけりに耐えられず、ソフィーはドアに向かった。「あなたとはもうこれ以上話したくないわ」
「少し頭を冷やして、この話し合いに子供の将来がかかっていることを考えてみるんだな」
 その言葉が背中に突きささり、ソフィーの足が止まった。罪悪感と羞恥心に襲われる。彼女はぎこちなく振り返り、アントニオには目もくれず、もとの椅子に戻った。
「ありがとう」アントニオが穏やかに言う。
 ソフィーは拳を握りしめた。今のアントニオほど憎らしいと思った人はいない。ここまで自分を身勝手な愚か者に感じさせた人は初めてだ。
 アントニオは弁護士を呼び戻した。よけいなことを言って落ちこまないよう、初めのうちソフィーは黙っていたが、あとで質問するつもりだった。だがその必要もなかった。ソフィーがききたいことは全部アントニオが問いただした。彼女が聞きたくない答えばかりだった。
 リディアに関することはすべて、ソフィーとアントニオ双方の合意によって決定される。どちらもリディアへの責任や権利を拒否したり放棄したりすることは可能だ。しかし必要と思われる場合は、遺言の執行人たる弁護士が、リディアの人生にいちばん望ましい状況を整えるため、社会福祉事業の担当者に助言を求める権利を有する。当然、リディアの生活を支える適切な援助や資金のことも考慮しなくてはならない。
「つまり、私は貧乏でアントニオにはお金がある以上、姪に対する権利も平等じゃないってことね?」ソフィーは厳しい口調で答えを迫った。
「そうではありません」あまりにもあけすけな質問に弁護士はうろたえ、助けを求めるようにアントニオを見た。
 早くこの場を去りたくてソフィーがそそくさと立ちあがると、アントニオも悠然と席を立った。「なぜミス・カニンガムと円満に合意できないのか、さっぱりわからない」抑制のきいた冷静な口調で言う。それは、相手に完全に勝利したことを確信する者の口ぶりだった。「今夜リディアに会いたいんだが。七時でどうかな? きみの家に行く」
「私に選択の余地はないのね」ソフィーは苦々しげに言った。
 完全に主導権を握ったアントニオは、彼女を狭い廊下へ連れだした。「お互い、こんな関係でいるのは間違っている」
「ほかにどんな関係になれるというの?」ソフィーは間髪を入れず言い返した。
 アントニオとの距離はあまりにも近く、手を伸ばせば届きそうだった。深みのある穏やかな声は信じられないほどセクシーだ。ソフィーは思いきって顔を上げたが、それが失敗だった。彼を見たとたん息が止まり、まわりの世界が揺れはじめた。一瞬のうちに時がさかのぼり、三年前に戻っていく。思わず引きこまれそうな黒い瞳を見つめて、彼女は身を震わせた。意に反して興奮のとりこになる。
 永遠にも思えたその瞬間、間近にアントニオを感じたせいで、引きしまった力強い体に触れまいと我慢するのは拷問にも等しかった。彼の荒い息づかいが聞こえ、形のいい唇が自分の唇に熱く重なるところを想像する。
 かろうじて現実に引き戻されたのは、前に言われた侮蔑の言葉を思い出したからだ。ソフィーは自分の弱さが腹立たしく、恥ずかしかった。
「昔のうわべだけの魅力が、まだ私に通用すると思っているの?」ソフィーは軽蔑するように言い、アントニオのわきを抜けてすばやく歩き去った。そのまま廊下の突き当たりを曲がり、あっというまに姿を消す。
 アントニオは、彼を知る人が聞いたら驚くような汚いののしり言葉を長々とつぶやいていた。


*この続きは製品版でお楽しみください。

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