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魅せられた都【ハーレクイン文庫版】

魅せられた都【ハーレクイン文庫版】


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン文庫
価格:500pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 キャロル・モーティマー(Carole Mortimer)
 ハーレクイン・シリーズでもっとも愛され、人気のある作家の一人。1978年にイギリスでデビューして以来、これまでに刊行された作品は実に百冊を超える。十四歳のころからロマンス小説に傾倒し、アン・メイザーの作品に感銘を受けて作家になることを決意した。キャロルは三人兄妹の末っ子としてイギリスはベッドフォードシャー州の小村で育った。一時は看護師を志したが、転倒した際に痛めた背中が治りきらず断念。その後、某有名文房具メーカーのコンピューター部門に勤め、そこで働く間に時間を見つけて小説を書くようになった。物語を書くときに一番楽しいのは、ヒロインとヒーローの性格を考えるとき。書いているうちに徐々に主導権がヒロインとヒーローに移り、いつのまにか彼らが物語を語りはじめるのだという。現在キャロルは“イギリスで最も美しい場所”マン島に、夫と子供たちと住む。

解説

シュザンヌが16歳のとき、大富豪だった父が亡くなった。父は再婚した若き後妻に骨抜きにされ、財産も底をついていた。
それから3年、いまやつましく暮らすシュザンヌは、次なる獲物を探す継母に連れられ、高級ホテルに宿をとることに。そこで待ち受けていたのは、麗しのイタリア伯爵チェーザレ。シュザンヌはときめくが、しょせん叶わぬ恋だ。ところが、部屋に戻ると伯爵の姿が。さしものシュザンヌも混乱するが、さらに継母が、この娘には男を連れ込む悪い癖があると伯爵に吹き込み――当然、彼は蔑みの目でシュザンヌを見た。

*本書は、ハーレクイン・プレゼンツ作家シリーズ別冊から既に配信されている作品のハーレクイン文庫版となります。 ご購入の際は十分ご注意ください。

抄録

 マルティーノ伯爵は、完璧な男らしさと王者の威厳を見せながら、例の大またでシュザンヌの方に近づいて来た。そして彼女が差し出した手をとると、そのすんなりした指の上に体を低くかがめた。「ごきげんよう」その冷たい灰色の目は彼女のとまどった顔をじろじろと眺めた。そして彼女の手を放して一歩退くと彼は言った。「あなたはわたしだとは思わなかった。わたしがお待ちしているとボーイは言わなかったのですか?」
 待つって、どうして? ゆうべはあんなに人を侮辱しておいて。「あの、あたし、あなたが……」シュザンヌは言葉に詰まった。ほかの人間だと思った、などというのはいかにも不作法だ。
「わたしがヴィダルだと思ったんですね」と彼が図星をさした。「しかしボーイはヴィダルではなくチェーザレ・マルティーノだと言わなかった?」
 シュザンヌは乱れた髪の毛を気にして手を上げた。プールから上がったままなのでそれはハート形の顔の周りに行儀悪くはねている。ああ、カルロが言うのをよく聞くんだったわ。彼は訪問者がだれかを言おうとしたのに。「言ったと思いますわ」彼女がいつまでも黙っているのを解せない面持ちで見ている相手に気がついて、シュザンヌはあわてて言った。「イタリア語で早口で言われたものですから。あたしのイタリア語は教科書だけで、それをうんとゆっくり話してもらうのならわかるんですけど、それ以外はだめなんです」
「しかし外国人の従業員でもみんな英語だけを話すように言い付けられているんです」と伯爵は機嫌を損ねて言った。
「あの、どうぞお怒りにならないで。彼はのぼせてたんです、あなたが伯爵でいらっしゃるので」彼女はほとんど何も着ていないような自分の体を見た。「だから、彼は、あたしがひどい格好してるって言ったんですわ」
 伯爵の浅黒い顔が怒りで曇った。「そんなことまで言ったんですか? ボーイ風情が、お客さまに、ひどい格好だなどと言った? わたしのホテルで、そんなことがあっていいものか!」
 シュザンヌの頭に入ったのは一つのことだけだった。「あなたのホテル? このホテル、あなたが持ってらっしゃるんですか?」
「そのとおり。それから、これと似たようなのをヨーロッパやアメリカにたくさん持っています。残念ながらアメリカにはまだ足りない……そこでグラントの契約が必要というわけです。が、そんなことはどうでもよろしい。わたしは商売の話をしに来たのじゃない。昨夜のおわびを言いに来たのです。ヴィダルを不愉快にさせるのはかまわんが、あなたに対する振る舞いはけしからんものでした」
「おわびには及びませんわ」とシュザンヌはあわてて言った。「よろしいのよ」
 彼女は心底驚いていた。マルティーノ伯爵がこのホテルの所有者だったなんて! シレストはロンドンに来てこの特別なホテルに泊まろうと決めたときに、それを知っていたのかしら? だから、ヴィダル・マルティーノが早晩ここに泊まると狙いをつけて、待っていたのかしら? きっと知っていたのだわ。マルティーノの家族についても、きっとあたしが考えているよりよけい知っているのかもしれない。でももしそうなら、マルティーノ伯爵という、美貌もお金も、それにもまして爵位まである人がいることだってわかるはずなのに。なぜヴィダル・マルティーノに興味ありげな顔するのかしら? わからない。全くわからないなあ。
「それでは、許していただけるのですね?」
「もちろんですわ、伯爵。ほんとにおわびをおっしゃるようなことじゃありませんのよ」
 彼はシュザンヌに、ラウンジのりっぱな椅子の一つに座るように促した。座りながら、彼女は顔を赤くした。ほんものの伯爵さまの前で、ももまでのビーチローブなんて、いくらなんでもふさわしいとは言いかねる。カルロの言うことをきくんだったわ! 急いで上に行って、着替えて来られたのに。と言っても後の祭りだけど。
「ロンドンは前にもいらっしゃいましたか」とだしぬけに彼がたずねた。
「いいえ」
「気に入りましたか?」
「まだそれほど見てはいないんです」
「ロンドンには着いたばかりですか?」
「一週間たちます」と悪いことでもしたかのようにシュザンヌは答えた。伯爵がそういう顔で彼女を見ているからだった。すごいわ、伯爵、ヴェネチアの貴族だなんて! 頭のてっぺんからハンドメイドの革靴をはいた足の先まで伯爵だなんて!
「ああそう」彼は形のいい唇を不満そうにきゅっと引き締めた。「わたしはなんとなく、あなたを観光客のように思っていた」
「あら、そうですわ。あたしほんとはとっても見物したいんですけど、あいにく継母が、観光が好きじゃないんです。面倒くさがって」
「それであなたはやむなくそれにつきあっていらっしゃる?」
 シュザンヌが屈託なく楽しそうに笑ったので、彼の灰色の瞳がいっそう細くなった。「全然! 継母にはあたしは必要ありませんもの。それに今みたいに……」言いさして、彼女はやめた。そうだわ、この人には言えないわ。ヴィダルのお兄さんだし、それに赤の他人にこんなこと言うべきじゃない。それにしてもこの赤の他人のハンサムですてきなこと。


*この続きは製品版でお楽しみください。

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