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この結婚からは逃げられません〜放蕩伯爵は淫らな策士〜

この結婚からは逃げられません〜放蕩伯爵は淫らな策士〜


発行: ヴァニラ文庫
シリーズ: ヴァニラ文庫
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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解説

身体から愛情を育むっていうのはどう?
放蕩伯爵と政略結婚のはずが溺愛されて!?

「僕が君を好きなことを疑わないで」結婚が決まったアレクシアのお相手は“放蕩者”として知られる侯爵子息で伯爵のジョエル。何人も恋人がいると言われていたのに、昼夜を問わずアレクシアに愛を囁き、甘く淫らな愛撫で身体を蕩かせてくる。一途に惜しみない愛をくれるジョエルに惹かれていくが、彼の愛人と噂されている女性が現れて!?

※こちらの作品にはイラストが収録されています。
 尚、イラストは紙書籍と電子版で異なる場合がございます。ご了承ください。

抄録

 結婚式のときを別にすれば、これが初めてのキスだった。
 あのときもだけれど、今も柔らかいものが触れているという感触以外何も感じない。心が空洞になったかのように虚しいだけだ。
 ついばむように何度も重ねられると、(いつになったら先に進むのかしら?)とよけいなことが脳裏をよぎった。
 すると、ジョエルがキスをやめて問いかけてくる。
「僕のキス、気持ちよくない?」
 質問の意味がよくわからなかったけれど、アレクシアはとりあえず謝罪を口にした。
「申し訳ありません。お気になさらずお続けください」
 すると、ジョエルはため息をついてアレクシアから離れた。
 気に入らないことでもあったのだろうか。初夜など当然初めてなので、何をどうしたらいいかわからない。
 そろりと目を開けると、間近に彼の困ったような微笑みが見えた。
「嫌なら嫌だって、正直に言ってくれていいんだよ。夫婦になったんだから、思うことはなんでも話してほしい。お互いの気持ちを話し合って、歩み寄れたらいいって思うんだ」
 誠意ある言葉に一瞬ほだされたけれど、アレクシアはすぐに思い直した。
 ジョエルのような放蕩者が妻一人で満足できるわけがない。浮気しないでと頼んだところで、その場で「わかった」と言っても、すぐ浮気に走るに決まっている。
 そんな男性の妻になったアレクシアが自分を守るための唯一の方法は、最初から夫を信じないことだけだ。信じなければ、裏切られ傷つくことはないからだ。
 アレクシアは伏し目がちに視線を逸らし、淡々と答えた。
「わたしのことはお気になさらず。どうぞあなたはあなたの役目を果たしてください。わたしもわたしの役目を果たします」
 わずかな沈黙のあと、ジョエルは抑揚のない声で言った。
「役目って、つまり子をもうけること?」
 そのとおりだ。ジョエルは侯爵家の跡継ぎで、国のため、領地のために人生を捧ぐ。その役目を引き継ぐ子孫を残すのも大切な役目だ。そんなジョエルの妻となったからには、子をもうけることは最も重要な役目だと心得ている。
 アレクシアは、毅然とジョエルを見据えた。彼が言ったとおり、正直な気持ちを口にしてやったという高揚感と、生意気な口を利いてしまったという不安とがせめぎ合う。
 まじまじと見詰めてくるジョエルの表情からは、彼が何を考えているのか読み取れなかった。その表情が怒りを露わにされるより恐ろしく感じるが、アレクシアは負けずに視線を返す。
 気詰まりな状況がしばし続いたあと、ジョエルは再び身を屈めてアレクシアと視線を合わせた。それから優しげな表情と声音で話しかけてくる。
「誤解のないように言っておくけど、僕は国王陛下に命じられたから君と結婚したんじゃない。君が好きだから結婚したんだ」
「……は?」
 思いがけないことを言われ、アレクシアは目を瞬かせる。
 初めて出会ったときにアレクシアがしたことを思えば、嫌われる理由はあっても好かれる理由はどこにもない。それ以降に会ったのは結婚を命じられてからのことで、しかも顔を合わせていた時間はほんのわずかだ。だというのに、そんなことを言われたって信じられるわけがない。
 そうなると、別の理由を想像せずにはいられない。脳裏に嫌な考えがよぎって、アレクシアはおずおずと口を開いた。
「それは仕返し、ですか……?」
「は?」
 今度はジョエルがぽかんとした。その驚きぶりからして、仕返しなんて思いつきもしなかったといった感じだ。
 でも、それ以外にジョエルがアレクシアと結婚したい理由を思いつけない。
 アレクシアは遠慮がちに説明した。
「以前わたし、あなたに無礼なことをしましたよね? びしゃびしゃの布を顔に落として、高飛車な態度で話したりして。そのときのことに腹を立てているのかと」
 聞き終えたジョエルは、苦笑交じりに言った。
「僕は君が好きだって言ったんだよ? それがなんで仕返しに結びつくの?」
「えっと……好意を持っているふりをして、わたしを油断させてからトドメを刺す、みたいな?」
 ジョエルは身体を起こし、頭痛がするかのように額に手を当てた。
「ああ、なるほど……僕の一世一代の告白は、そうやって曲解されちゃうわけだね?」
 そんな冗談口で一世一代と言われても信じ難い。アレクシアはむっとして言った。
「だいたい、いつどこで何故わたしのことを好きになったというんですか? 結婚が決まる前にお会いしたのは、わたしが嫌みを言ったあのときだけじゃないですか」
 どんな答えが返ってくるかとアレクシアが身構えると、ジョエルは腕を組んで考え込むような仕草をした。
「うーん、それを今言ったところでなぁ……」
「何それ?」
 ジョエルに礼儀正しく接することをあきらめ、アレクシアは遠慮ない物言いをする。
 敬語も使わなくなったアレクシアの顔をジョエルは楽しげに覗き込んだ。
「まあそのうち話すよ。君が僕を好きになったころにね」
 アレクシアは目を逸らしてぼそっとひとりごちる。
「……そんな日が来るとは思えないけど」
 吐息も重なるくらい近くにいるのだから、ジョエルに聞こえないはずがなかった。
「それは君が好きだと言った僕への挑戦状?」
 すかさず言われ、アレクシアはまたぽかんとした。
 そういうことになるのだろうか?
 困惑するアレクシアに、ジョエルは思わせぶりな笑みを浮かべて言った。
「その挑戦、受けて立とう。──必ず僕を好きにならせてみせる」
 傲慢なことを言われたのに、アレクシアの胸は何故かどきんと跳ねる。
 どうしてしまったのだろう。キスされたときでさえ、こんな胸の高鳴りを感じたりはしなかったのに。


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