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和書>小説・ノンフィクションハーレクインハーレクイン・ディザイア

白紙にしたはずの愛

白紙にしたはずの愛


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ディザイア
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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解説

愛する人を失うのは、もういや。だから、彼との未来はあり得ない……。

セージは展覧会の初日レセプションに現れたタイスを見て茫然とした。3年前、世界的な名声を得つつあったタイスと出会った瞬間、セージは燃えるような恋に落ち、欲望の赴くまま彼と体を重ねたが、6週間後、濃密な関係に自ら終止符を打ったのだった。幼いころ両親を亡くし、最愛の養父の死に直面したばかりの彼女は、愛する人を失う悲しみをもう味わいたくなかったのだ。それなのに驚愕の再会を果たした夜、セージはタイスに求められるままベッドをともにした。抱き寄せられ、熱いキスを浴びせられたとたん、我を忘れてしまったから。3カ月後――セージはお腹に小さな命を宿していることに気づく。

■人気沸騰中の作家ジョス・ウッドが健筆を振るう、ニューヨークの名門バランタイン家のきょうだいたちの華麗なロマンス。今回は、『なくした記憶と愛しい天使』と『家なきナニーの子守歌』で気になる登場のしかたをしていた一番下の妹、セージがヒロインです。

抄録

「またしても引っぱたくつもりか?」
「さあね。まだ夜は始まったばかりだから」
 タイスはセージの隣のバースツールに腰かけると、バーテンダーにウイスキーを注文してから元恋人に顔を向けた。普段は巻いている長い髪をつややかなポニーテールにまとめているので、大きな目が際立って見える。今夜の虹彩は紺色に縁取られた青紫色だった。その日の気分によって、紺、青、あるいは珍しいモロッコブルーにもなる。
 彼女の目を見ると、どんなときでも膝が崩れそうになった。神はまったく不公平だ。何しろ、その息をのむほど青い目を完璧に近い顔――ハート形に高い頬骨、官能的な口、生意気そうなあごと組み合わせ、そのうえスリルを求めて、その頭を生まれつきしなやかで、きわめて女らしくセクシーな体の上に置いたのだから。
 タイスは彼女の顔を愛してやまなかった。体も、もちろんセックスも……。あの口にキスをして、肌にしゃぶりつき、滑らかで温かく、よい香りのする肌をいつまでも愛撫していたかった。
 三年間も待たされたあげく、たったひと晩をともにするのは、脱水状態の男に水を一滴やるようなものだった。とにかく彼女の脚を腰に巻きつけ、耳元でやわらかな喘ぎ声を聞き、あの熱く甘い口に舌を滑りこませたかった。
 彼のズボンがどんどんきつくなり、肺が息を吸うのに苦労していることなど、セージは気づきもしなかった。ただグラスに口をつけ、例のごとく魅力的に鼻にしわを寄せる。「引っぱたいたことは謝るべきだと思うけど、あの一件が新聞に載ったおかげで、ただでさえ成功していたあなたの展覧会の宣伝になって、ただでさえ高騰している値段がとんでもなく跳ね上がったでしょう」
 高騰している? タイスは眉をひそめ、肩をすくめた。一瞬、そう思わないでもなかった。自分の作品につけられる値はばかばかしいほどだ。といっても、現代のピカソやレンブラントというわけではない。単にスチールと木を無造作にくっつけ、世間受けを狙ってキャンバスに絵の具をまき散らしているだけだ。美術評論家やエージェント、ギャラリーのオーナーたちは、自分たちがこぞって称賛する作品がどれだけ手間のかけられていないものかを知ったらショックを受けるにちがいない。
 タイスがほとんどの時間をきわめて精緻な肖像画を描くのに費やしていることは誰も知らない。心血を注ぎ、人物を細かくありのままに表現する肖像画は、自分を取り戻すと同時に無我夢中になれるものだった。この世に知られぬ肖像画の多くはセージのものだったが、それが何を意味するのか、タイスは知らなかったし、考えもしなかった。
 ふたりのあいだに沈黙が流れ、彼は部屋を見まわした。セージからバランタイン家のカクテルパーティとジュエリーの展示会に招待するメールが届いたときには驚いた。しかも、彼が当然来るものと決めてかかっていた。もっとも、このうえなく珍しく、驚くほど高価な指折りのコレクションを見る機会を与えられれば誰でも飛びつくだろう。彼もセージがデザインした新作を見たかった。そして案の定、すばらしかった。個性的だがモダンで、女性らしいのに力強く、いかにもセージらしい。そのうえ男としては、彼女の誘いがベッドを軋ませる激しいセックスへと進展することを期待していた。
 確かめる方法はひとつしかない。「で、あれが目的なのか?」
 セージは目をぱちくりさせた。「なんのこと?」
「またやりたくて、ぼくを呼び出したのか?」
「いいかげんにして」彼女の目が怒りできらめき、顔が赤くなる。「頭がおかしいんじゃない?」
 そうかもしれない。だとしたら、彼女の得も言われぬ目と、すばらしい体と、ふたりの相性がぴったりなせいだ。
「つまり、連絡してきたのは熱い夜を過ごそうと口説くためじゃなかったのか?」落胆するふりをするまでもなかった。セージを撫で、味わい、愛したときの記憶が何度となくよみがえるせいで、このところまともに寝ていない。彼女の香り、やわらかく滑らかな肌、舌に感じる味だけを思い出すのならよかったが、あいにく危険な領域にまで考えが及んだ。毎朝起きて彼女の顔を目にし、寝る前にやさしい“おやすみなさい”を耳にするのはどんな気分だろう。だが、セージとの生活を思い描くなり、そうした考えを頭から追い出した。
 彼女は成功した華麗なる一族の人間だ。といっても、バランタイン家の莫大な財産が問題なのではない。家族というものや、その一員であることが何を意味するのか、セージも兄弟たちも心得ている。
 だが、タイスには想像もつかなかった。彼の理解するかぎり、バランタイン家はきちんとオイルを差した機械のように機能し、その過程において、各部品はそれぞれ重要な役割を果たしている。
 タイス自身は、長らく家族を動かすエンジンだった――つねに故障寸前の。ラクリンに必要なものを与えるために精いっぱい努力をしたが、生活するのに必死で、妹のことはほったらかしだった。セージのパートナーには相手の感情を理解する能力が求められる。バランタイン家に溶けこみ、その立場にふさわしく振る舞う。彼女の結婚相手は家族のひとりとして貢献することが必要だ。


*この続きは製品版でお楽しみください。

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