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やどりぎの下のキス ベティ・ニールズ選集 22

やどりぎの下のキス ベティ・ニールズ選集 22


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・イマージュベティ・ニールズ選集
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 ベティ・ニールズ(Betty Neels)
 イギリス南西部のデボン州で子供時代と青春時代を過ごした後、看護師および助産師としての教育を受けた。戦争中に従軍看護師として働いていたとき、オランダ人の男性と知り合って結婚。以後十四年間、夫の故郷オランダに住み、ベティは看護師、夫は病院事務と、ともに病院で働いた。イギリスに戻って看護師の仕事を退いた後、よいロマンス小説がないことを嘆く女性の声を地元の図書館で耳にし、自ら執筆を決意した。1969年、「赤毛のアデレイド」を発表して作家活動に入る。穏やかで静かなロマンス、その優しい作風が多くのファンを魅了した。2001年6月、惜しまれつつ永遠の眠りについた。彼女が生みだした作品は百三十以上にも及んでいる。好きな映画は『逢いびき』(英1945年)、尊敬する人物はウィンストン・チャーチルだったという。

解説

憧れの彼から突然のキス――見上げるとそこには、やどりぎがあった。

病院で電話交換手をしているエミーはある日、人に頼まれて、高名なオランダ人医師で教授のルエルドに書類を届けた。初めて会う教授はよそよそしくて人を寄せつけない雰囲気で、追い払われるように部屋を後にした彼女は、しょんぼりと家路に就いた。ところがその後、ルエルドは夜勤明けのエミーを家まで送ってくれたり、子猫を拾って上司に叱られているところをかばってくれたりした。なぜ地位も名誉もある魅力的な彼が、地味で平凡な私に親切を?エミーは喜びと困惑の間で揺れた――彼には、美しい婚約者がいるから。なのに、ルエルドはなぜか彼女をクリスマスのオランダに招待し……。

■本作は、クリスマスの季節に訪れた小さな恋物語です。西洋では、やどりぎの下でキスした男女は、結婚して幸せになるという言い伝えがあります。ルエルドに口づけされたエミーは思わずその意味を問いますが、彼の答えはつれなくて……。

*本書は、ハーレクイン・イマージュから既に配信されている作品と同内容となります。 ご購入の際は十分ご注意ください。

抄録

 エミーが次に教授に会ったのは、夜勤明けの日曜日の朝だった。明日からやっと連休だ。エミーは病院を出たところで足をとめ、目を閉じて朝の空気を吸いこんだ。排気ガスのにおいがしたが、頭の中では自分が田舎にいるところを想像した。
 しかし、目を開けると教授がじっとこちらを見ていたので恥ずかしくなった。「こんなところでぐずぐずしてるなんて驚きだな、アーメントルード。一刻も早く病院から離れたいんじゃないのかい?」
「おはようございます」エミーは礼儀正しく言った。「外に出たら気持ちがよかったものですから」ちらりと視線を走らせると、教授はセーターにカジュアルなスラックスといういでたちだった。「一晩中病院にいらしたんですか?」
「いや、一時間くらいだ」教授はほほえんだ。そして、彼女は疲労のせいか顔色が悪いと思った。「通り道だから家まで送ろう」
「私の家の前を通るんですか? 本当に? ありがとうございます」
 教授はなにも答えずにエミーを車に乗せ、ひとけのない通りを走りだした。そして、彼女の家に着くと言った。「鍵を貸してくれ」
 彼は玄関のドアを開けてから助手席のドアを開け、エミーのバッグを持って彼女のあとから家の中に入った。ジョージは二人の姿を見て喜び、スヌードルズを押しのけてうれしそうに足元にまとわりついた。
 教授はキッチンに行き、犬と猫を庭に出してやってからやかんを火にかけた。まるでここに住んでいるみたいだと、エミーは思った。これほど疲れていなければ口に出してそう言っただろうが、彼女は黙ったままあくびをした。
 教授はきびきびと言った。「朝食を食べよう」そして、上着を脱いで椅子にかけた。「君が動物たちに餌をやっている間に、僕が卵をゆでておくよ」
 エミーは言われたとおりにした。逆らう気力もなかった。朝食に誘った記憶はなかったが、きっと教授はものすごくおなかがすいているのだろうと思った。エミーが動物たちに餌をやっている間に、教授はおぼつかない手つきでトーストとゆで卵を作った。
 二人はテーブルにつき、まるで年老いた夫婦のように朝食を食べた。教授は受け答えをする必要のない、とりとめもないことを話し、エミーはほとんど無言でトーストを食べた。まだ疲れていたが、紅茶と食べ物のおかげで元気になった。「朝食を作ってくださってありがとうございます。本当に感謝しています。ちょっと疲れていたので」
「忙しい一週間だったんだろう。ご両親はもうすぐ戻ってくるのかい?」
「ええ、明日に」エミーは眠たそうに教授を見た。「そろそろお帰りになりたいのでは……」
「すぐに帰るよ。君は二階に行きなさい。シャワーを浴びて眠るんだ。ここは僕が片づけておく」
「あなたはお皿を洗ったことなんてないんじゃありませんか?」
「もちろんある」それは嘘ではなかった。ビーカーがいないときには、たまに自分でカップやグラスをすすがなくてはならないからだ。
 教授はきちんと食器を洗い、ふきんを干し、動物たちを家の中に入れ、キッチンから庭に出るドアの鍵を締めた。家の中は静まり返っている。二階に上がってそっと彼女の名前を呼んでみたが、返事はなかった。しかし、階段の踊り場に面したドアの一つが半分開いていた。
 小さな部屋だったが、家具はひととおり揃っており、とてもきれいに片づいていた。エミーは枕に髪を広げてぐっすり眠っている。耳元でブラスバンドがコンサートでも始めない限り、起きそうもない。教授は階下に下り、彼女の家を出た。
 そして、チェルシーに向かいながら腕時計を見た。十一時前には家に着くだろう。アンネリーゼを連れて、友人に会いに出かけよう。戻ってきたら、彼女は将来のことを話したがるだろう。僕は疲れきっているが、アンネリーゼは静かに家で夕食をとるなんて納得しないに違いない。昨日もいろいろ仕事があって忙しかった。ああ、田舎で一日のんびりできたらどんなにいいだろう……。
 教授が玄関のドアを開けると、ビーカーが迎えに出てきた。「おかえりなさいませ」その声にはかすかに非難の響きがあった。「病院で引きとめられていたんですか? いつもの時間に朝食の支度をしておりました。すぐにご用意いたします」
「その必要はないよ、ビーカー。朝食は食べてきた。シャワーを浴びて着替えるから、ミス・ファン・モウルが来る前にコーヒーを頼むよ」
「病院で朝食を食べてこられたんですか?」
「いや、違う。たっぷりの濃い紅茶にゆで卵とトーストを食べてきた。人を家まで送ったんだ。二人とも空腹で……その場で朝食をすませてしまったほうが理にかなっているように思えたんだよ」
 ビーカーは首を傾げた。ゆで卵に濃い紅茶――ベーコンもマッシュルームのソテーもスクランブルエッグもなしの朝食なんて。彼は身震いを抑えた。私の焼いたおいしいビスケットとアンチョビペーストをはさんだサンドイッチを、コーヒーと一緒にお持ちしよう。


*この続きは製品版でお楽しみください。

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